ハロウィーン・ブーム──日本社会に浸透する古代ケルト人の祭り(2006年10月6日)
今年もハロウィーンの季節がやってきました。
カトリックでは11月1日は諸聖人を祝う万聖節で、ハロウィーンはその前夜祭です。アメリカではクリスマスに次ぐ祝祭とされています。
大きなカボチャをくり抜いて作った提灯に火をともし、お化けに扮装した子供たちが「トリック・アンド・トリート(何か、くれ。さもないと悪さするぞ)」とご近所の家に押しかけると、ご近所さんは「ハピー、ハロウィーン」といって歓迎し、用意したお菓子を渡します。休日でもないのに、国民の半数がパレードや仮装大会に参加するほど、国中がお祭りムードに包まれます。学校やレストラン、銀行でも仮装大会が開かれるのだとか。
このキリスト教の祝祭が、クリスチャンが50人に1人もいない日本でここ数年、ブームになっています。
20年ほど前に有名玩具店が呼びかけ、日本で最初のハロウィーン・パレードが実施された「若者の街」、東京・原宿をはじめ、長野・塩尻、神奈川・川崎、東京・六本木などで各種イベントが今年もおこなわれ、商店街などが主催する行事は年々、広がりを見せているようです。
ハロウィーンは元来、2000年以上前の古代ケルト人の祭で、秋の収穫を祝い、冬の訪れを前に悪霊を追い払う意味がありました。ケルトの暦では10月31日が大晦日に当たり、その晩、死霊がやって来ます。悪霊から身を守るために仮面をかぶり、魔除けの焚き火をたいたのが今日のパレードの起源で、アメリカにはアイルランド系移民が持ち込んだといわれます。
ハロウィーンは「子供たちの大晦日」ともいわれますが、子供たちが主役のお祭りなら、日本にも「小正月」があります。
本来の「年越し」とされる小正月に子供たちが「ほとほと」とか「ことこと」などの唱えごとを唱え、あるいは鶏の恰好で鳴き声を真似ながら各家をまわり、餅やお菓子をもらう風景がかつてはごく普通に見られました。年の変わり目に神霊・祖霊がやってくると信じられたことがこの行事の背景にあり、その意味ではケルト起源のハロウィーンとよく似ています。
しかし、カトリックの祭りとされるハロウィーンが非キリスト教社会である日本に年々、浸透しつつあるのに対して、日本古来の小正月行事は最近、見かけなくなったのはどうしてなのでしょう。