見出し画像

やはり増えている陛下のご公務──「拝謁」は減らず、「ご説明」は大幅増。皇太子殿下にご名代を求める必要あり(2009年06月09日)

(画像は陛下のご日程。宮内庁HP)


 今上陛下のご公務が減る気配がありません。

 宮内庁がご公務削減の具体的な削減策を打ち出したのは(平成21年)1月末。それから4か月が経ちました。すでに2~4月について、件数において減るどころか、増えていることをこのメルマガでお伝えしてきましたが、5月についても増加傾向が続いています。

 宮内庁はいったい何をしているのでしょうか? 自分たちの仕事に疑問を感じないのでしょうか?

▽1 拝謁が減らない


 宮内庁が公表しているご日程から、過去3年間について1~5月期のご公務の件数を単純に足し算してまとめてみると、次のようになります。明らかに増えています。

    19年  20年  21年
1月  41   49   55
2月  41   33   34
3月  53   55   61
4月  50   59   72
5月  39   51   52

 一昨年の件数が少ないのはヨーロッパご訪問(5月21~30日)のためです。例年2月は葉山でご静養されるのですが、19年はご進講の多い年でした。

5月期についてご公務の中身を見てみると、次のようになります。「国際親善」は除いてあります。

                 19年 20年 21年
[1]宮中のご公務など      37  48  51
1─1ご執務など         6   8   9
1─2新年祝賀の儀・新年一般参賀 0   0   0
1─3天皇誕生日祝賀・一般参賀  0   0   0
1─4首相・最高裁長官の親任式  0   0   0
1─5大臣ほか認証官の任命式   1   1   2
1─6大綬賞などの親授式     1   1   1
1─7新任外国大使の信任状捧呈式 0   3   0
1─8元首ご会見・その他ご引見  1   4   5
1─9国内功労者の拝謁お茶ご会釈 22  25  28
1─10海外賓客の午餐・晩餐   0   3   4
1─11春秋2回の園遊会     0   0   0
1─12宮中祭祀         4   1   1
1─13その他(稲作など)    2   3   1
1─14ご結婚50年祝賀関連   0   0   0

[2]行幸啓など          2   5   4
2─1都内の式典ご臨席      0   2   0
2─2式典ご臨席の地方行幸啓   0   0   1
2─3その他の都内お出まし    2   2   0
2─4その他の地方行幸啓     0   1   2
2─5地方ご静養         0   0   1

 増えているのは、4月までと同様、宮内庁が意識して減らしているはずの国内関係者の拝謁です。

▽2 大きく増えた「ご説明」


 宮内庁は1月末にご公務と宮中祭祀に関してご負担軽減のための具体案を発表しました。

1月29日の宮内庁発表

〈http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/kohyo/gokomu-h21-0129.html〉

 とくに各界功労者の「拝謁・お茶」について、「回数が年間約100回に及んでいる」と指摘し、とりわけ春・秋の叙勲が「年間の拝謁の3分の2」を占め、「合わせて50回以上、7日間あるいは8日間にわたって連日行われる」ので、「拝謁手順の見直しなどを通じて、回数・日程を縮減する」という方針を立てたのですが、ほとんど実行されていません。

 春の勲章・褒賞受賞者の拝謁は、19年と20年は7日間、8回でしたが、今年は6日間、7回に変わっただけです。「拝謁手順」はともかく、少なくとも「回数・日程」は「縮減」とほど遠いといわざるを得ません。

 削減どころか、大きく増えたのが、専門事項などについて大使や官僚、研究者がご説明するご進講・ご説明です。表にまとめると以下のようになります。

専門事項などをご説明するご進講    19年 20年 21年
(ア)研究者・官僚などのご進講    0   2   2
(イ)大使・官僚・研究者のご説明など 2   5   7
(ウ)ご静養先県知事の県政ご聴取   0   0   0
(エ)官僚などのご懇談        0   0   1
 小計                2   7   10

▽3 皇太子殿下の出番


 中身を見ると、今年5月は以下のような官僚たちによる「ご説明」がありました。

1、 平成21年5月7日(木)
天皇皇后両陛下 ご説明(外務省儀典長(シンガポール大統領閣下及び同令夫人[国賓]ご来日につき,訪日日程・行事次第並びに賓客及び公式随員について))(御所)
2、平成21年5月7日(木)
天皇皇后両陛下 ご説明(在シンガポール大使(シンガポール大統領閣下及び同令夫人[国賓]ご来日につき,シンガポール事情について))(御所)
3、平成21年5月12日(火)
天皇皇后両陛下 ご説明(最高裁判所長官(裁判員制度について))(御所)
4、平成21年5月18日(月)
天皇皇后両陛下 ご説明(アジア大洋州局長(第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議について))(御所)
5、平成21年5月20日(水)
天皇皇后両陛下 ご説明(横浜開港150周年記念式典実行委員会委員長,横浜市 開港150周年創造都市事業本部長(横浜開港150周年記念式典について))(御所)
6、平成21年5月20日(水)
天皇皇后両陛下 ご説明(外務省儀典長他(外国ご訪問第二次事前調査について))(御所)
7、平成21年5月25日(月)
天皇陛下 ご説明(在カタール大使(カタール皇太子殿下「公式実務訪問」来日につき))(御所)

 これらを見ると、海外賓客のご接遇や式典御臨席、外国ご訪問など、ご公務に関する事前説明が多いことが分かります。だとすると、陛下のご名代として皇太子殿下にお出まし願い、ご公務そのものを大胆に削減するというような方法を採らなければ、ご負担の軽減は覚束ないということになりそうです。


いいなと思ったら応援しよう!