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【映画感想】ゴーン・ガール

昼夜は完全に逆転してしまって、ナイトショーでもやらんわという時間にゴーン・ガールを観始めてしまった。

感想をまとめる。ネタバレを気にしないで書くので、未見の人は読まないでゴーン・ガール観てくればいいじゃんと思う。


2020年12月2日現在『ゴーン・ガール』配信中のサービス
(見放題)Netflix
(レンタルあり)Amazonプライムビデオ、TSUTAYA TV、dTVなど

http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

『ゴーン・ガール』2014年製作/148分/R15+/アメリカ/
監督 デビッド・フィンチャー


フィンチャー監督作品はファイトクラブに続いて2作目。
セブンをまだ見ていないタイプの人間です。

面白かった!
148分飽きずに、むしろどんどん引き込まれて行ったのはすごいよね…

途中で何回も「ここで終わるかな?」「こうなってラストかな?」と思うんだけど、続く。終わらない。終わらなくて終わらなくて……そして切れる。

物語は終わらず、そして続く。しかしフィルムはここで切れている。という着地だった。この着地がめちゃくちゃ後に残る。
エンドロール流れ始めた瞬間、ものっそい顔をしかめてしまった。


人間万華鏡

この映画、語り尽くせないほどいろんな側面から楽しめるのだが、特に私がすごいと思ったのは登場人物の見せ方だ。

冒頭、事件が起こる。主人公は戸惑い、振り回され、憔悴していく。

こういう場合、大抵私は主人公に対して「かわいそうに……」みたいに寄り添っていくのだが、この映画では少し違った。

なんか怪しいな、なんかこの男信用できないような気が……いやかわいそうなんだけど。みたいな、そういう気持ちになっていたのだ。

そして実際画面の中でも男はそういう扱いを受ける。警察も、妹も、失踪した妻の両親も、みんな「なんか違うな…」みたいな態度をする。

最初は誰にも感情移入しない(できない)タイプの作品なのかなと思って観ていたが、しかしそれはどんどん覆っていく。

男の浮気が判明する。このヤロー!ふざけんな!画面の中で男を詰る観衆たちに自分が同化する。
しかしその後、妻の罠に嵌った男がなんとか死刑を避けようと足掻く姿を応援している。声高に男を追い詰める観衆に嫌悪感を覚える。

それは数分前の自分の姿なのに。

浮気男を見事に騙し、逃げた女をかっこいいと思う。しかしその後、この女をサイコパスとして観ている自分がいる。女に騙される人々に「目を覚ませ」と言いたくなる。

登場人物たちへの見方が、展開ごとに本当にまるっきり変わってしまう映画なのだ。展開を楽しむというより、展開であらわになる登場人物たちの新たな一面を楽しむ作品だったように私は思う。


完璧な結婚

エミリーは完璧な人生を強要されてきた。誰に?世間にである。
もし自分がエミリーのような境遇に置かれたら、不良とかになっちゃうんじゃないかなと思う。
自分と絵本のエミリーは違う!と表現したくて、わざと非行に走ってしまう……みたいな。

しかしエミリーの解決策は違う。「演じる」のだ。

完璧なエミリーを人前ではやり切る。嘘をついてでも、他人を利用してでも、何がなんでも……そんなパワー系の解決策で生きてきたのだ。

そしてぶつかった難題が「結婚」だった、と私は解釈している。

結婚は一人ではできない。なんということだろう!
つまりエミリーの求める完璧な結婚には、協力者……もとい共犯者が必要だったのだ。

この映画は、完璧な人生を求めるエイミーが、完璧な結婚相手を手に入れるまでのサクセスストーリーなのかもしれないなと今思った。人が一人死んでいますが……


外面と内面

私は日々、当たり前に人と話し、コミュニケーションをとり、生きている。
しかしその時に他人と話をしているのは、外向けの自分である。

自分の内面は、こうやってパソコンに向かっている時さえ出てこない。
この文章だって、「他人から良く見られたい」という私の欲望が乗っている。

ゴーン・ガールという映画は、この「他人から良く見られたい」という欲望を過剰に、しかし地に足がついているように描き出す。

だから、見終わった後渋い顔になってしまうのだろう。だって心当たりがあるから。
ニックとエイミーは愚かで滑稽に見える。つまりわたしも、そうなんだろうなと思う。はぁ〜あ


なんかため息出てきてしまった。そして一気に書く気が失せてしまった。
どうせこの文章も、承認要求なしでは生まれていないのだ。むなしい〜〜!


とにもかくにも、ゴーン・ガール、名作でした。
そろそろセブンも観ようかな。

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