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世代間分断の時代へ〜ウクライナ侵攻とコロナ禍〜

 どうも、今回はウクライナ侵攻について書こうと思いますが色々と状況を見ているコロナ禍と繋がるような部分があると思いました。結論から言うとこの数年で世代間価値観の違いが浮き彫りになり、性別や人種だけではない新たな分断が始まると思います。ではどうしてそう思ったのか、そしてどの様な形になるのか考えていきましょう。

若年層ロシア人がこの侵攻をどう見ているのか

 先月2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は日を追うごとに激化しています。民間人の犠牲者も増えており、この侵攻が止まらない限り増える一方です。またロシアも民主・自由主義陣営による経済制裁によって、国民生活も困窮していくのではという予測も出ています。この様な状況下で当事者であるロシア国民がどう思っているのか。こんな記事が上がっていましたので紹介します。

 この記事では夫をロシア当局に暗殺された奥さんを取材した記事ですが、その中でプーチン氏を支持する層と西洋化されたリベラル層でプーチン氏に反対する若年層に別れていると指摘しています。

 「西洋化され、海外旅行したり、いろいろな映画を観たりすることが好きな若い世代はウクライナで起きたことを理解している。そしてモスクワや他の都市で反戦デモに参加して拘束されている」
 「しかしロシアの大半は違う。お年寄りはプーチン氏に洗脳されている。情報統制下に置かれ、ウクライナで起きている真実は何も見ることができない。ロシア人の多くはウクライナがロシアと戦争をしたがっていると信じている。プーチン氏のプロパガンダを信じている」
 「50代以上の人たちはソ連が崩壊した大変な時期をみんな覚えている。数年間は食べ物さえも十分ではなかった。犯罪も多発していた。それに比べると今は安定しているように見える。しかしそれはプーチン氏のおかげではなく原油・天然ガスの価格が上昇したからだ」

ついにオリガルヒたちが、プーチンを「見放す」兆候…「独裁者」の足元が崩れ始めた
newsweek 3/5 Yahoo news配信

 若い世代は海外の情報やSNSから国の実情を把握し、自分の頭で考えて行動している人が多い。一方で情報統制化にある国内メディアを受容し、それを元にプーチン支持を考えている人もいる。その層はソ連が崩壊した状況を体感していて、今の方がマシだと。わざわざプーチン政権を倒して、また混乱の時代に戻りたくないという心理が働いているのではとも思えます。
 他にも家庭内でも意見の対立が起きる事態も発生したりと混乱した状態になっていることが伺えます。

 この世代間での情報をアクセスする場や価値観の違い、人生の経験度合いなどで考え方や意思決定の違いが起きるのは他の事例でも起きているのではと思います。

コロナ禍における若年層

 この2020年から始まったコロナ禍。その中で一番あおりを食らっているのは若年層だと思います。例えばコロナによって相次ぐ学校行事の中止、延期または内容の変更や大学においてはオンライン授業やサークル活動の規制などコロナ禍以前の形態が取れなくなっている事態にもなっています。そして一部ではコロナを理由とした中退が増えています。

新型コロナウイルス感染症を理由とした中退者の内訳は、「学生生活不適応・修学意欲低下」が30.3%ともっとも多く、前年度より10.3ポイント増加した。

コロナ理由の中退は1.4倍、休学は1.3倍に増加…大学等調査
リセマム 3/2 Yahoonews 配信

 またTikTok上では修学旅行が中止になった女の子が嘆いている動画を投稿し、大きな反響を受けている。文筆家の御田寺圭氏は

ワクチン接種は「頼むからこれで手打ちにしてくれ」というメッセージが込められた、最後の献身だったのである。だがその献身は顧みられなかった。2月に入り、修学旅行をはじめとする各種行事の縮小・中止が次々と通告され、若者たちは「裏切られた」ことに憮然としている。

「TikTokに溢れる中高生の涙を見たか」修学旅行中止をあっさりと決めてしまう"コロナ対策"の罪
「大人は信用できない」と恨み続ける
PRESIDENT Online 2022/2/20 配信

 このワクチン接種は若年層の中では希望の一筋の光として賭けたが、一向に改善されず、それどころか自分たちの学校生活が壊され、大人たちは何もしないという怒りが発露していると御田寺さんは指摘しています。
 このコロナ禍で肉体的・物理的な犠牲が発生しやすいのは高年齢層や基礎疾患を持っている方たちが多いですが、他方精神的な苦痛を発生しやすいのは若年層だと証明しています。さてこの様な状況で何が起きるのか考えてみましょう。

果てしない分断の先にあるのは

 御田寺さんの記事ではこのようにも指摘しています。

20代の若者を中心として、仲間内だけを信頼して生活の確立を目指すような、「マイクロ共同体主義」的な価値観が急速に広がっているのか。それは私たち大人の側が、かれらの声なき声に耳を貸さなかったからだ。大人たちから犠牲を強いられ、感謝もされず、ついには「感染拡大の立役者」のような扱いすらも受けたかれらは、社会に対する基本的信頼感を失っている。(中略)社会に対する基本的信頼を棄損された世代がやがて大人になったとき、かれらはこの社会に対して貢献しようと思うだろうか。自分の生み出してきたリソースを公共のための使おうとか、次の世代のために分け与えようと考えるだろうか。この2年間に失ったものは、経済や人命だけではない。目には見えない、大切なものが失われてしまった。

「TikTokに溢れる中高生の涙を見たか」修学旅行中止をあっさりと決めてしまう"コロナ対策"の罪 「大人は信用できない」と恨み続ける
PRESIDENT Online 2022/2/20 配信

 いわば国や地域、組織を無視し、自分たちの身内を大切にして生活していこうという流れです。日本国内ではコロナによって自分たちの生活を守るには他者に影響を与えないように生きようと同時に他者にも配慮したくないという感情も生まれてきてるのではと考えます。一度選挙についての記事を書いてみたんですがなぜここまで投票率、特に若年層が上がらないのは希望を持てないからというのも納得です。

 さてこの若年層と中年・高齢層の分断は加速していくのではと考えます。これはなぜかというとウクライナ侵攻では情報をどこで得るかでスタンスは変わってくることはわかってきます。つまり情報機器やどのメディアを触れるかで、誰に影響されるかが変わってきます。恐らくロシアの庶民で中年以上の層は国営メディア、いわゆるロシア内で社会的信頼を得ているメディアを信用していると考えられます。一方でロシア人の若年層は実態がつかみにくく、心理的距離の遠いかつプロパガンダ色の強い大手メディアよりも心理的距離が近いSNSの動画やメッセージに感化されるのではと思います。またインターネット文化に広く親しんでいる若年層は海外のメディアをチェックし、ロシア国内から出ている情報と比較することも大きいのではと思います。
 一方日本では総務省が発表した令和元年情報通信白書によると

我が国における各メディアの信頼度について年代別に調査した結果によると、若年層も含めてインターネットへの信頼度はマスメディアと比べて相対的に低くなっている。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd114120.html 
総務省令和元年情報白書 

 全体的にインターネットへの信頼度は低く、若年層も例外ではないと指摘しています。ニュース・社会時事などの情報は概ね全世代で共有は出来ているのではと思います。しかしそれ以外でのSNSでは御田寺さんの記事が指摘するように若年層の怒りが渦巻いています。但しTicTok上では見受けられましたが、Twitter上では見受けられずむしろ親御さんが怒っているケース多く感じ、世代による使うSNSも別れているのではと感じました。
 この使う情報機器や触れるメディア、SNSつまりテクノロジーの進歩によって全く違ってきます。新しいテクノロジーを使う世代は我々の世代の見ている情報や価値観と全く違い、180度変わるかもしれません。更に今後メタバースが登場し、その仮想空間上でビジネスやもう一つのライフスタイルを送る人も出てくることも予想され、そこに乗れるか乗れないかで人生が大きく変わってしまう事態に発展していくのではと思います。またその仮想空間の中で共同体が発生し、国家や地域を凌駕する世界が発展し、そこで若い世代は生きるのではと、SFとかに影響され過ぎだとツッコミが入りそうなことを考えた次第です。

 さて今回のコロナ禍やウクライナ侵攻は人類史上にとって2つの異常事態です。この状況を見ている10代から20代後半の子たちはどう思っているのだろうか、気になります。
 そしてここで重要になるのが私を含めた30代以上の世代がどう日本や世界を作っていきたいのか、どう動かしていくのかを考えることが重要だと思います。少しでも深くなった溝を埋めていくためにも。

 ここまでご覧頂き、ありがとうございました。

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