【研究/ 実践メモ】組織開発の“社内政治的側面”を、”したたかに”どう乗り切るか?~ATD‘s Organization Development Handbook ~ ROTHWELL Chapter 02: Working Inside and Outside the Organization からの学び
ATD‘s Organization Development Handbook ~ ROTHWELL Chapter 02: Working Inside and Outside the Organization からの学びです。
本章では、組織開発(Organization Development: OD)に取り組む上で、社内実践者/ 外部支援者/ それらのハイブリッドが主体となる際のメリットデ・メリットや、社内政治的な観点からのODを捉えることの重要性について述べられています。
記載されている各主体のメリット・デメリットは、とっても現場感があり、納得感があります(日本と欧米での文化的な差異はあるかとは思うのですが・・・)。記載したいところなのですが、ブログ執筆時間の関係でちょっと割愛(笑)
”組織の変⾰において「政治」というものが持つ影響⼒は常に存在し、それを無視することは変⾰のための努⼒が失敗することを指し⽰すともいえる。なぜなら変⾰は既得権益を脅かすものである。組織開発の実践者は利害関係者に与える影響と、その利害関係者が持つ権⼒、スタッフ、予算,、リソース維持のためにどんな⼿段を講じるかに注意深くある必要がある”
という記述はとっても大切な観点かなと思いました。
組織において、何かを”変える”ということは、大なり小なり、利益を得る人がいる一方で、不利益を被る人がいるということです。
今、進めている取り組みが、誰にどの様な利益・不利益をもたらすのかについての感度を高めておく必要があります。不利益を被る人たちには、”慣れ親しんだ方法を手放すことになって面倒”というライトなものから、”所属している部署がなくなってしまう”といった、組織図の変更を伴うハードなものもあるかも知れません。いずれにせよ、表立ってはOD的な取り組みに反対しなかった(している様に見えなかった)としても、怖れや不安、いらだたしさといった後ろ向きな気持ちを感じやすいことは確かです。
そうした方々の感情に寄り添い、変化の先にある当人が感じられる利益の提示や丁寧な説明、巻き込み等、意識的に働きかけていくことが重要になります。
また、本章では、組織政治を扱う上で確認すべき問い(ポイント)も明記されていました。
こうした問いに答える中で、公式/ 非公式のリーダーとして、誰を巻き込むことが、必要になるのか? リーダーたちはどのような困りごとを抱えているのか? プロジェクトの中で実利としてそうした課題も解決できないか? 等々、戦略的に考えていくことが重要かと思います。
個人的には、プロジェクトに臨む上で、経営陣からの直接の関与がない場合、プロジェクトリーダーは、どの程度、上位レイヤーに対してどこまでパワーが及ぶのか? 経営陣は経営に取り組む上で、どんな問題意識を持っているのか? 等々、とても気になります。
組織開発のようなボトムアップで、会社を変えていくアクションは、当事者性を高める、現場のニーズや問題意識を踏まえて、施策を検討できる、とても大切な取り組みだと思います。
ただ、その一方で、”会社”という組織構造を考えるとき、社長や経営陣が、大きなパワーを持っていることもまた事実です。彼/ 彼女たちの意向を踏まえることなしに、プロジェクトを推し進めたとしても、経営チームからの必要なサポートが得られず、プロジェクトが止まってしまうことも・・・
これは経営陣の意向を丸のみするという意味ではありません。どうしも、ボトムアップの動きで取り組むと、”現場 vs 経営”みたいな構造になりやすいですが、組織は、両方の視点を統合し、昇華していかなければ、適切な意思決定はできなと思います。
経営的な視座から見たときに困っていることを、組織開発のプロジェクトでも解決を支援できないか? と頭の片隅で考え、経営陣をフォロワーとして巻き込んでいく、いい意味での”したたかさ”はとっても大事な観点かと思います。
これは、人を貶めるとか、罠にはめるとか、後ろから刺すとか、梯子を外すとか、そういう意味ではなくて(笑)、周囲のニーズを踏まえた上で、いかにそれらとプロジェクト/ 自分が持つニーズを調和させていくかを、粘り強く探っていく姿を意味します。
経営陣には経営陣のニーズが、現場には現場のニーズがあるわけですが、それらの共通点をうまく繋ぎながら、その重なりを増やしていくともいえるかも知れません。
それはときに、経営陣と現場にの双方に”いい顔をしている”ととらえられるかもしれませんが、組織開発の成果は、非常に多義的なので、各主体が求める成果を強調してお話をすることは、必ずしも誠実さを欠くことにはならないのではと、私は思います。
むしろ、ドットをうまくつなぎ合わせて、ストーリーとして語れる、ストーリーテリングの能力が非常に重要とも言えます!
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話は少し変わりますが、ODのプロジェクトに取り組む上で、全社から部門横断でメンバーを募り、中心的な役割を果たしてくださるチームを組成することが多いです(Cross Functional Teamとも言ったりします)。本章では、「ドリームチームアプローチ」と呼ばれていました。最大12名、理想は7名で、1名は批判的で異なる意見を持つ人に入ってもらうことで、グループシンクに陥ることを防げるとのことです。個人的にも、サブグループを3~4個作れる12名くらいが、進めやすいかと思うのですが、一つの視点として参考になりました。
※本ブログは、読書会でのゆーやさんのレジュメ・発表を大変参考にさせていただきました。わかりやすい整理、ありがとうございました!!