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【研究メモ】 創業者→2代目の承継が一番大変・・・事業承継における経験学習サイクルをどう回していくか?~Ibrahim et al.(2001) 大規模なファミリービジネス企業における事業承継の研究 からの学び vol.03 事業承継の促進行動編

前回・前々回に続き、Ibrahim et al.(2001) 大規模なファミリービジネス企業における事業承継の研究 からの学びの整理です。

今回は、事業承継を前に進めるための示唆を中心に。
論文の中では、本件の事例を踏まえた上で、5点ほどの示唆が提示されていました。

一つひとつは確かに重要な内容だなと思います。
特に、非同族幹部の巻き込みや、コミュニケーションの仕組み化など、ファミリーが以外の第3者を巻き込みながら、コミュニケーションの場を持つことで、感情的になりやすい状況を少し落ち着けながら話ができるかなとも思います。番頭さん的な方でなくても、社労士さんや会計士・税理士さん、顧問弁護士、金融機関の担当者等々、ある程度ニュートラルに意見が言えるということが大前提ですが、対話の場に入ってくださることで、また違った話の展開があるかと。

ただ、創業者が大きなパワーを持ち、各施策についてネガティブな考えを持っている場合、現実的にはなかなか実施は難しいかなとも。

なかなか気長な話になるかも知れませんが、その場合は、”効果的・効率的に事業承継を進めたい”と思う、経営者の代で、こうした仕組みも含めて、形作っていくことが大切だなと思います。

先日、事業承継をご経験された方にお話を伺った際に、大きな示唆を得ることができました。

そちらの会社は、現在は3代目が経営を担われているのですが、創業者から2代目への承継の際に、経営の進め方や株式の承継等で、大変ご苦労されたそうです。そのご経験もあり、2代目が、3代目への承継に向けて、承継が進めやすいように積極的に動かれて、大変スムーズに進んだとのことでした。
(貴重なお話をありがとうございました!!)

そのお話を伺って、時間軸は長いですが、”事業承継にも経験学習的なサイクルが回る”のだなと感じました。各世代間での承継に際して、”手痛い経験”をしたがゆえに、次の代にはそういう経験をさせないと、事業承継についての整備が進んでいく。

先行研究の中でも、”創業者から2代目への承継が一番大変だ”と言われているのですが、初めての経験なので、あらゆるステークホルダーが、みんな手探りで進めている側面はあるのだと思います。長寿企業と言われるような、業歴が長い会社さんだと、徐々に事業承継のプロセスが洗練され、仕組化が進んでいる会社さんもありますよね。

3代目以降の承継の際は、経営について先代から学ぶことに加え、”事業承継のプロセス”についても、回顧的に、先代に話を聴いて、当時の苦労や、そこから導き出される示唆を共有してもらうというのは、後継者からプロアクティブに動きやすいところかもなと思いました。

”世代を超えた事業承継の経験学主的な側面”、ちょっと整理してみたいなと思います!

#事業承継
#ファミリービジネス
#経験学習


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