第4回_自分の"好き"をまちづくりにつなげる方法_レポート
はじめに
こんにちは。
さいと未来のまちづくり会議 運営事務局の田上沙慧美です!
10月28日(土)13:00~15:00に開催した、第4回 まちづくり会議の内容を綴ったnoteです。
これまで3名の講師の方々からは、「起業家精神」「場づくり」「商店街活性化」という具体的なテーマで宮崎県内の先進事例の作り方や考え方を学びました。
今年のまちづくり会議も後半に入ったこの第4回からは、まちづくり会議で学んだことを活かしながら、自分らしいまちづくりの種の見つけ方やはじめ方、育み方の学びにつながるテーマを設定しています。
第4回は、「自分の好きをまちづくりにつなげる方法」というテーマで、株式会社GARTENの事例を取り上げて、どのようにブランディングの視点を取り入れているかを学ぶことで、後半は"自分らしい" "西都ならではの"まちづくりの種を考えます。
講師紹介
今回、講師に迎えたのは、「季節の楽しみと小さな工夫」をコンセプトに掲げるコミュニティメディア「NEXTWEEKEND」の運営をはじめ、連動した雑誌の刊行や週末イベント、ECストアの運営、その他空間や商品などのプロデュースを手掛ける株式会社GARTENの代表、村上萌氏。
横浜市出身の村上氏は、結婚を機に神戸・札幌・大阪と移動し、現在は長崎在住。東京のオフィスとで10年間に渡る2拠点生活を継続されています。
仕事の作り方
コミュニティメディア「NEXTWEEKEND」は、単に週末の情報を発信するのではなく、次の週末に取り入れたい理想の暮らしとして、今ではなく、いつかでもない。手が届きやすい次の週末を"どう過ごすか"を叶えられる方法を発信しています。しかし、無料のコミュニティメディアの運営だけでなく、他団体からのプロデュースの依頼も株式会社GARTENの仕事です。
1. ”どう過ごすか” ”どう過ごせるか”を丁寧に紐解く
【空間プロデュースの事例】
ポジティブでもネガティブでもない、みんなが無関心な場所。
西都市の中でも、他のまちでも思い浮かぶ場所があるのではないでしょうか。
株式会社GARTENがプロデュース・運営する「COMMON FIELD」も、以前はみんなが無関心な場所だったそうです。しかし、そんな場所を「みんなが家族になれる大きな庭」というコンセプトを立て、プロデュースしたことで、人が集まるようになりました。
そこは、生活者の「私が住みたかったまちってこういうまち。」を実現させた空間に。そこから、住む人だけが集まるのではなく、そんな理想のまちになったら人を連れて来たくなるー。
そして、どんどん人が集まることで、「じゃあ自分も何かできるんじゃないか?」とポジティブな循環が生まれる場所になっているそうです。
2. 生活者の、「そうそう!そういうことなの!」を表現する
【体験のプロデュースの事例】
全国に展開するビジネスホテル。そんな企業でもビジネスホテルから脱却できない課題を感じていたそう。
しかし、様々な地域でサービスを展開しているからそこ、そこに宿泊するだけでなく、「その土地を選ぶ人は、どんな体験を求めているのか」を突き詰め、ホテルを寝泊まりする機能だけではなく、ホテルに泊まりながらその地域でできる体験や過ごし方を含めて発信。生活者の「私は、このまちでこういうことがしたかったの」を正確に汲み取った。
【美容器具の事例】
たくさんの商品、様々な企業から様々な充実した機能が販売されています。その中から差別化するには、機能性だけではなく、”どんなシーンにこれがあったら楽しくなるか?”を考え、生活者の「私の理想の生活はこうなんだ!」を正確に当てられると、その先は、生活者がその商品が自分の生活にあるシーンを想像できるようになり、購買に繋がっていったそうです。
3. 世界観の言語化でカルチャーを作る
株式会社GARTENがタイアップの企画やブランディング、プロデュースで大事にしていることは、NEXTWEEKENDらしい季節の工夫の世界観ではありません。
一番大事なのは、相手の企業や団体の中心にある『思想』をどう汲み取るか。
生活者に対して、”どういう気持ち” ”どういう風に"なって欲しいのか。
その、「相手の企業や団体の思想(=実現したい世界観)」と「生活者(消費者)が叶えたい理想の生活」とが重なり合い、双方にとっての「そうそう、これこれ!」と思ってもらえることをどう言語化するか?
この「世界観を言語化すること」によって、その世界観に共感する人に共通言語が生まれ、カルチャーが生まれると言います。
【事務用品の事例】
事務用品で競合も多く、差別化が難しい商品です。プリンターという、無機質でワクワクしないものをどうワクワクさせるかという課題に対して、プリンターの性能や価格による差別化ではなく、”印刷された紙で、どんな暮らしを実現したいか”に着目したそうです。「プリンターがあることで、ちょっと丁寧な一工夫で作れる暮らし」を発信した結果、プリンターの周りにカルチャーが生まれ、プリンターが憧れのものになる、これが欲しい、という対象に変わっていったそうです。
【イメージされるキーワードがずっと変わらない観光地の事例】
観光地として有名に見えていても、何十年も前から、その土地をイメージするキーワードが変わっておらず、再訪率が低い課題を持つ都市もあります。
その地域に対しては、施設や観光名所の基軸ではなく、そのまちで”どう過ごしたいか”を基軸にし、改めてその地を見つめたり、観光の前後にある暮らし方や過ごし方を発信することで、今までと違った楽しみの提案や何度も訪れたくなる提案を考えたそう。
その時に、地域に関わる人たちと一緒にワークショップを行ったことで、その土地への愛着や「自分にも貢献できる方法がある」「自分なりの関わり方がある」と考えるきっかけにもなり、関係人口創出にも繋がる効果も生まれました。
地域の仕事では、その地域がこれからどうなりたいのか、どういう人と未来を描きたいのかを突き詰め、様々な人が共有できる"思想"と"共通言語"があることが大事だそうです。
4. 地域に必要な"思想"と"言語化"
地域い住む人や関係する人が、このまちを選んでいる自分の選択に自信を持ってもらえること、その選択を自信を持って人に話せるようになるには、その核となる思想と共通言語が必要です。
その、思想と共通言語の2つを繋ぐ中心にあるコンセプトは何かをしっかり言語化し、「そう!私もそう思ってた!」と繋がれる場所(=オンライン・オフラインに限らないコミュニティ)も同様に大事だと言います。
このコミュニティは、コミュニティの大きさよりも、これがいいなと思ってくれる人や思想の部分で深く繋がる人がいることが最も重要だとし、そんな深いコミュニティに所属していることで、参加者に”ここにいる自信”が生まれるのだそう。
そのため、地域や企業は、市民が地域の未来を信じているから、ここにいる、ユーザーが自信を持って選んだと思えるよう、”描きたい未来や実現したい世界”を言語化し、アイデンティティを濃くすることが求められます。
大事なのは、思考の部分でユーザーと繋がることなので、その思想の言語化を行う、ブランディングやプロデュースの力が企業や行政に必要ではないでしょうか。
ネガティブをカスタマイズ
村上氏の現在までの経緯を聞きながら、全て順調のように映る村上氏にも、「なんで自分だけ…」「何もできないし…」という感情や経験があることを共有してくれた村上氏。しかし、負の感情やコンプレックスをカスタマイズすることで、コンプレックスこそが自分だけのユニークな味になると話してくれました。
会議の後半は、ミニワークとして、「自分の中で言い訳にしている人・事柄」や「西都の好きなところ」、「いつか…と思い描いている憧れの状況やキーワード」と「西都にもっとこれがあればいいのに…と思うこと」を個人で考えました。
「自分の中で言い訳にしている人・事柄」「西都の好きなところ」は、自分や西都市だけのオリジナリティであり、「いつか…と思い描いている憧れの状況やキーワード」「西都にもっとこれがあればいいのに…と思うこと」は、今目の前にある状況を変えるカスタマイズの種になるのです。
不満や、いつか…と思っている、常に自分の目の前にあることをジブンゴトに捉えて、自分らしく価値を翻訳する、”カスタマイズ”という考え方。毎日をどんな目線で暮らしていくか、その積み上げが自分らしいカスタマイズとなっていきます。
このカスタマイズの精神で磨いた自分の好きなことや自分らしさから西都市を捉え直すことで、自分らしいまちづくりの関わり方を見つけていきましょう。
次回
次回は11月16日(木)19:00~21:00に西都市役所北棟3階にて開催します。
FOLK FOLK INC 代表 ソーシャルアントレプレナーの東山迪也氏を招いて、「ひとを巻き込む 課題解決型まちづくり」というテーマでお話を伺います。
お申し込みは、さいと未来のまちづくり会議申込みフォームよりお待ちしています!
(文責:さいと未来のまちづくり会議2023運営事務局 田上沙慧美)
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