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第5回_ひとを巻き込む 課題解決型まちづくり_レポート

はじめに

こんにちは。
さいと未来のまちづくり会議 運営事務局の園田美穂です!
11月16日(木)19:00~21:00に開催した、第5回 まちづくり会議の内容を綴ったnoteです。
前半の1~3回までのそれぞれの講師の方々からは、「起業家精神」「場づくり」「商店街活性化」という具体的なテーマで宮崎県内の先進事例の作り方や考え方を学びました。
後半に入った前回の第4回では、「自分の好きをまちづくりにつなげる方法」というテーマで株式会社GARTENの村上萌氏をお招きしてブランディングについて学び、「カスタマイズ精神」で”自分らしい”西都ならではのまちづくりについて考えることができました。

第5回では、「ひとを巻き込む 課題解決型まちづくり」というテーマで、まちの課題と自分の得意や強みを掛け合わせて、周りと協働しながら進めるまちづくりについて考えます。


講師紹介

今回、講師に迎えたのは、FOLK FOLK inc.代表 ソーシャルアントレプレナーの東山迪也氏です。

第5回まちづくり会議講師 東山迪也氏


東山氏は、三重県伊勢・志摩で、泊まれる結婚式場「FOLK FOLK」や課題解決型複合施設「CO Blue Center」の運営、民間や行政との地域活性化プロジェクトなど、様々なプロジェクトを立ち上げておられ、そのいずれも、周囲を巻き込みながら圧倒的なスピード感で推し進めておられます。

課題解決とまちづくり

1. 東山氏が手掛ける事業について

講師の東山氏は、「学んだ総合音楽の知識やスキルが活かせる仕事」としてウエディングの世界に入り、25歳のタイミングで独立しウエディングプロデュース業「Wedesign」を立ち上げ、その5年後、あらゆる出会いの場となる「FOLK FOLK」をオープンしました。
FOLK FOLKは、最初は結婚式場としてオープンしましたが、時代やお客様のニーズに合わせて進化を遂げ、今や「FOLK(人々)が誓い、出会い安らぎ、心躍る場所」をコンセプトとする、カフェ・ガーデン・ホステルといった機能を併設した複合施設に。
また、「ウエディング・ブライダルで培ったプロデュース力は、業界を超えても役立てるのでは?」という考えから、企業のプロモーションや子どもたちが集まれるイベントの開催などを手がける、「REP INC.」という企業プロデュース・行政サポートをする新事業を2021年に立ち上げました。
そして、今年2023年には、”安らぎながら働くオフィス群”として環境課題解決型センター「CO Blue Center」を志摩市にオープン。
東山氏は、「Wedesign」と「REP INC.」を”PRODUCE(創る)”、「FOLK FOLK」と「CO Blue Center」を”SPACE(ハコ)”の仕事とカテゴライズした上で、自身のスキルが活かせる2つの分野をそれぞれを掛け合わせて事業を進めている、とのお話でした。
また、BtoCの「Wedesign」のプロデュース力をBtoBの「REP INC.」であらゆる企業や行政へのプロデュースに活かし、BtoCの「FOLK FOLK」で出会った人がBtoBの「CO Blue Center」で事業にチャレンジできる場を提供しています。東山氏の力をBtoC/B共に展開できる事業を創ることで、それぞれ相乗効果がねらえる事業展開になっています。

この事業展開の勢いは、とどまるところを知りません。
■”社会課題を解決するべくチャレンジする人”と”チャレンジする人たちを支援して社会貢献したい経営者等”を繋ぐ仕組み「Pers.」とそれを運営する寄付型NPO法人の設立
■海洋プラごみを地域で使えるコインに変えて買い物できる仕組み「RE;COIN」
■”捨て玉”といわれるいびつな形のパールを個性的かつ全体の0.17%しかない価値あるものとしてブランド化し、どんな形でも買い取る状態をつくったジュエリーブランド「Scoop」
といった事業も加わっていますが、東山氏が事業や新しいことを進めていくうえで大事にしているのは「利他」の精神だと言います。

2.起点になるのは「利他的かどうか」

東山氏が、事業やプロジェクトなどを立ち上げたり取り組んでいくにあたり
大切にしているのは「利他的かどうか」。
ビジネスであってもNPO法人であっても、まちや地域の課題を見つけて、その課題を解決するためには?という着想から始め、課題解決について考えていくうちに「なくてはならない」「しなければいけない」が見えてきて、それを事業やプロジェクトとして動いているそうです。

例えば、事業の一つである「RE;COIN」。
これは、「自分たちの住む町の地域資源である国府の浜を、ずっと綺麗に保全したい」という想いをベースとして、目の前の海に捨てられている海洋プラスチックを拾って地域通貨にアップサイクルし、それを元手に地元の提携先で買い物できる、という仕組み。
この取り組みに行政は一切絡んでおらず、東山氏とその想いや背景に共感・協働する方々によるもの。
根底にあるのはやはり「利他の精神」で、”未来の子どもたちのために”という使命感で取り組んでいるそうです。
まちづくりにおいても、まちにとって「やらなければいけないこと」「やった方がいいこと」を地域課題として置き、それを解決すると誰がどんな風にポジティブな状態になるのか?という考えから取り組むことが見えてくるのだと思いました。

3.仕組みと掛け算

東山氏は、ご自身の経験をもとに「課題解決したいこと、能力を活かせること、誰かの役に立つこと、今だからすべきこと」、そのような利他の精神に基づきすべての事業に本気で取り組んでおられます。
様々な事業を手掛ける東山氏が、ひらめいた瞬間に一歩踏み込んで動ける理由について「新しいことを始めるときに、自分の周りのメンバーの顔が浮かぶ。”こいつとこいつがおるから、これできるやん!”って」と語りました。
東山氏は、その人たちが出会って本音で話せる”ハコ”を作り、ご自身やそこで出会った人たち同士が一緒に新たなことを始めるときの”コンセプトづくり””やるべきことの言語化”をし、コンセプトや想いをメンバー全員の共通認識としてマインドセットを行ったうえで、メンバーそれぞれが”自身の役割をやりきる”
この仕組みづくりと掛け算を続けていくことが、ひとを巻き込みながら、課題解決に向けてスピード感を持って物事を進めるコツ、と仰いました。

変化の積み重ねが未来のまちをつくる

このように「目の前の人たちやまちの課題を解決するために、自分ができることは何なのか」を自分事として捉えた先の、個人やグループ単位の小さなアクションが、その課題を解決するために自分たちも行動しよう・後押ししようとする空気や流れを創り、その想いを共有した誰かと一緒に創る草の根レベルの変化の積み重ねが、自分たちが実現したいまちや世界観を創っていく

東山氏の例に当てはめると、FOLKFOLKのオープンまでの残3カ月で4000万円を自力調達しなければいけないという大ピンチを乗り越えたのは、東山氏が「FOLKFOLKをつくることで”どんな課題が解決できるのか””なぜそれを自分がするのか”という熱い想いとその事業計画」を伝え続け、それに賛同する人たちからの心のこもった温かい支援だった。それにより、竣工まで残2日でその4000万を集めることに成功したのです。

課題解決をするために、東山氏が想いを言語化して実際に行動を起こしたことで、同じ課題を解決したい人たちがそれを後押しする流れを創り、その想いを共有した支援者たちと一緒になって、FOLK FOLKという”ハコ”ができました。
この”自由度の高いハコ”により、三重県のみならず日本全国の”自分たちらしい結婚式を挙げたい”というカップルの課題解決に繋がっているのみならず、ここで出会った人たちがその出会いを活かし協働してCO Blue Centerをはじめとする新しいチャレンジや事業を展開にもつながっているのです。
小さな単位でのアクションからムーブメントが生まれ、草の根レベルのコラボティブとなり、ソーシャルイノベーションへと繋がる、ということを、東山氏の体験談を交えてわかりやすく伝えてくれた講義でした。

講義終了後の後半のラジオ番組風Q&Aでは、官民連携に関しての悩みやコミュニケーションにおいて心がけていること、自分の強みや得意なことを言語化してギブする為のヒントなど、NG質問なしで東山氏にざっくばらんにお答えいただきました。

講師の東山迪也氏
後半パート 「東山さんになんでも聞いてみよう!」の様子

なお、参加者の皆さんから寄せられた質問が非常に多く、時間内に取り上げきれなかったこともあり、東山氏から「僕がやっているラジオでお答えさせてあほしい!」というありがたいご提案を頂きました!
まちづくり会議にご参加頂いた方には、こちらのラジオ収録が終わり次第お知らせいたします。

ミニワーク

東山氏の事例紹介となんでもOK最後のラジオ番組風Q&A形式で開催した第6回さいと未来のまちづくり会議。2時間のプログラムで届けているのは、参加者の皆さんに事例を共有すること、今課題と感じていることや疑問の解決の一助です。
この先に変化をもたらすことができるかどうかは、まちづくり会議に参加している私たちがアクションを起こさない限り、その課題や問題はまだ解決には向かっていません。
そこで第5回プログラムの最後に、これまでのまちづくり会議の学びを活かして、東山さんの話を聞いて、「今日、熱い思いがこみ上げたあなた(〇〇な私)」から、「未来のあなたの背中を押すエール」として、今の自分から未来の自分へのメッセージカードを作成し、各自持ち帰って頂きました。

今日の私から送る、未来の私へのエール

裏面には、「皆さんが取り組む草の根レベルのまちづくりや行動を掛け合わせること、積み重ねることで皆さんの一歩がやがてムーブメント(変化)となり、このムーブメントがまちを作っていく。」という東山氏からのメッセージがしたためられています。
まちづくり会議に参加した皆さんの感じたこと、解決したいこと、変えたいことは様々だと思います。将来、何かを変えようと行動した時、もしかしたら迷うことや尻込みをしたり、不安になることがあるかもしれません。
そんな時に、さいと未来のまちづくり会議に参加して熱い思いを持ったあなたと、東山氏からのメッセージを思い出し、背中を押せることを祈ってこのワークを設定しました。
御守りのようにお財布やスマホにそっと入れられるよう、ミニカードサイズで作成しています。皆さんがどんな形でも、何かに対して、現状を打破するアクションを一歩前に進められますように。

次回

次回は1月18日(木)19:00~21:00に西都市役所北棟3階にて開催します。
株式会社POPSで「クリエイティブで日本全国の地域を元気にする」を掲げるクリエイティブディレクター/コピーライターの田中淳一氏を講師にお迎えし、“もの“の良さを”ものがたり“に昇華することで魅力を伝える、”ものがたりづくり“がテーマです。
「何もない」と思われている、市民も思っている地域にストーリーを作って魅力を発信している事例を丁寧に取り上げ、そこで起こった地域の変化にも触れながら、皆さん自身がまだ気づいていない「西都市の魅力」のものがたりに気付く内容になるのではと思っています。
定員の申込枠は残りわずかとなっています!
お申し込みは、さいと未来のまちづくり会議申込みフォームよりお待ちしています!

(文責:さいと未来のまちづくり会議2023運営事務局 園田美穂)

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