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こんにちは。齋藤です。

自分で「大富豪」を名乗っている人の本なんか読むもんか! と思っていたのですが、読み始めますと、なかなかどうして、いいこと書いてます。

思わずチョコチョコ付箋を貼りながら読み進めてしまいました。

25ある【兄貴の教え】のうち、仕事に関連する5つの【教え】を厳選して紹介するのが本ブログのテーマです。

「大富豪アニキの教え」(兄貴こと丸尾孝俊著 2012年 ダイヤモンド社)です。

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私自身は、書店で、本書のような「成功」本、「金持ち」本を強いて手に取ったりはしないタイプです。

このようなジャンルの本を毛嫌いしていたり、抽象的なことしか書いていないので読んでも無駄だと思う人も多いかと思います。

他方、私の母はとにかく本を読む人で、話題の本を片っ端から読んでは、良いと思った本をちょくちょく私に送ってきます。

この本も、母から送られてきましたので、刺さるジャンルではありませんが、まあ一応ザっと読んでおくか、というノリで読み始めました。


著者プロフィールによりますと、兄貴こと丸尾孝俊氏は、食べるものに困るほどの「極貧」の幼少期を過ごし、中学卒業後は、「看板屋」に住み込みの丁稚として就職。

その後、20代後半で単身インドネシアのバリ島に渡り、事業を開始する。

多くのインドネシア人にお金を貸しているうちに、気が付くと「自分がほぼ無一文」に。

しかし、そこから、奇跡の大逆転をし、不動産ディベロッパーとして大成功。

「バリ島での資産は圧倒的で、現地関連会社29社を所有し、現地人従業員は5300名を超え、自宅がなんと何と25件、さらに800ヘクタール((東京ドーム170個分)の土地を所有する世界レベルのウルトラ大富豪。その『資産』は、『ありすぎて試算できないレベル』」

とのことです。

ちなみに、本書では、アニキが上半身裸になってタバコをふかすシーンが度々登場しますので、表紙に描かれているのはアニキの姿だと思われます。

本書は、「このままの自分で、一生を終えたくない」と一念発起した31歳サラリーマンの「いっちゃん(鈴木一郎)」が、バリ島に住む「ウルトラ大富豪」である「兄貴」に会いにバリ島を尋ね、兄貴に教えを請い、兄貴がいっちゃんの質問に答える形で「兄貴の教え」1~25を披露する、というテイストです。

「成功者」に著者がいろいろと質問し、「成功者」が「成功の秘訣」を開陳していく、という趣向の本は、「成功」・「金持ち」本には多いと思われますが、本書の特色は、著者は「兄貴」であり、「兄貴」が考えたFAQを、架空の人物である「いっちゃん」に質問させて、「兄貴」自身が回答する、という形をとっていることです。

本書の中で、「いっちゃん」は、兄貴をべた褒めし、「ウルトラ大富豪」である兄貴を崇め奉るのですが、「いっちゃん」が兄貴を褒めるセリフは、すべて著者である兄貴自身が書いていると思うと、控えめに言って、なんだかな~という気持ちになります。

しかし、そうした「う~ん、なんだかな~」という気持ちは封印して読み進めると、「兄貴、めっちゃいいこと言ってるやん!」、という気持ちになり、読み始めた際に感じた、「兄貴、自分で自分のこと『ウルトラ大富豪』とか言わないほうがいいんじゃ・・・」というような気持ちは、結局のところ、「ウルトラ大富豪」である兄貴へのただのひがみだったということに気付かされた気分になるから不思議です。

なんだかんだで、読み終える頃には、「いっちゃん」並みに兄貴を慕っている自分がおり、兄貴に教えを請うべくすぐにでもバリ島行きの飛行機に飛び乗りたい自分がいることに気付きます。


本書で兄貴が語る「兄貴の教え」は、25個あり、それぞれ、普通にいいこと言うな~、という感じなのですが、この記事では、25個の「アニキの教え」の中から、さらに厳選した5個の教えを紹介しつつ、私なりの解釈を加えていきたいと思います。


1 【兄貴の教え 1】「一番大切なのは『相手を自分事のように大切にする心』」

兄貴いわく、「自分がそうなら、人もそう」、「自分がしたいことは、人もしてみたい」、「自分が欲しいものは、人も欲しい」、「多くの人がおんなじ思いを持っている」、

「せやからな、何でもかんでも、他人事ではなく、自分事として、必死のパッチで共有してかかるんや」

とのことです。

弁護士にとっては、この教えが最も大切なものだと思えます。

依頼者と同じように悩んでくれる弁護士、必死のパッチで悩みを共有してくれる弁護士が居たら、私もそのような人に自分の事件を頼みたいと思います。

もちろん、全ての事件を本当に自分事のように捉え、依頼者と同じレベルで悩み・苦しんでいると早晩鬱状態になりますので、程度問題でしょうが、私には関係ありません、ビジネス上の付き合いです、というような弁護士ではなく、血の通った弁護士に頼みたいのが人の情というものです。

当事者目線ではなく第三者目線になって事件を見るのが重要な局面も多いのですが、兄貴が言いたいのはそういうことではないはずで、依頼者の目線に立って、自分ごととして捉え、親身になってアドバイスできるような弁護士にならなければならないと改めて思った次第です。

そして、こうしたことは、どんな仕事においても当てはまることだと思います。


なお、本書で、兄貴は自分から会いに行くことの重要さを説いており、それをしなければ、「『相手を大切にする心』が怠けてしまう」と言っています。

「フェイスブックやメールをやっていれば、「つながってる」と思うとるヤツは勘違いしとるな。そんなのは本当の「つながってる」とは違うんや。だってな、会うたこともない人を大切にしたりな、会うたこともない人とつながれるわけがないやんけ」

というわけです。

この点、オンラインでの「つながり」をどこまでリアルに感じるかは、世代によってかなり温度差があるところだと思います。

コロナの折、弊事務所ではWEB相談も実施中なのですが、正直、問い合わせは多くはありません。

やはり、自分の人生を任せることになるかもしれない弁護士とは直接会って話をしたいと考えるのが、少なくとも滋賀のメインストリームというように感じています。

また、交渉ごとにおいても、自分から足を運ぶことの重要性は弁護士であれば誰しも感じていることと思います。


どんどん自分から足を運ぶフットワークの軽さが成功への近道と言えるのかもしれません。


2 【兄貴の教え 9】「仕事で生き残る人の条件は、義理と人情と職人技」

兄貴いわく、

「手間ひま。つながり。ご縁。絆。匠。義理。人情。そういった『人間味』を持つことが大事なんや。『人間の味』やな。合理化には『人間の味』がないやんけ。そのためにはな、やっぱり、利益第一の『合理化』を良しとせず、「相手を自分事のように大切にする心(=つながり・ご縁・絆)』を持って行動することやねんて」

とのことです。

そして、

「義理と人情と職人技で仕事するねんて。『合理化』で仕事したらあかんのや」

と言います。

それは、兄貴の分析では、「専門技術がいらないのであれば、人とのつながりがいらないのであればな、コストの安い外国で、ことたりるからや」、「それこそな、コストの安い新興国に、パーン仕事を持っていかれてしまったらな、日本人の中でも『合理化人間』と化してしまっている人は、一発でアウトやねんて。他の人でも、いくらでも『代わり』がおるんやったら、コストが安い新興国のほうが、それこそ『合理的』でええやんけ」というわけです。

サラリーマン弁護士を辞め、独立して事務所を経営することになった私には、この話は痛いほどよくわかります。

例えば、離婚の事件を弁護士に頼むとして、A弁護士は40万円、B弁護士は30万円でやるなら、普通なら誰しもB弁護士に頼みます。

依頼者にとって、同じ内容の仕事をしてもらえることが前提であれば、費用が安いに越したことはありません。

そうすると、複数の事務所を回って、最終的に、1円でも安い費用を提示した弁護士に頼むことが「合理的」な行動ということになります。

数百人の弁護士を抱えてスケールメリットを利かせ、サービスを少しでも安く提供できる事務所が現れた場合、「安さ」ではかないません。

ここで、A弁護士が生き残るためには、B弁護士よりも10万円高いだけの「職人技」を身に付けること、B弁護士ではなくA弁護士に頼みたいと思ってもらえること(「義理と人情」)が重要となります。

例えば、東京で、1000人の弁護士を抱えてコールセンターのような体制を敷き、CMをバンバン打って、全国からWEB会議システムで法律相談を1回1000円で受け付け、AIによる自動診断的なものを駆使して弁護士一人あたりの負担を限りなく減らし、弁護士費用を格安で提供する(例えば、離婚一律10万円、とか)、というコンセプトの事務所が出来たとします。

そうすると、滋賀の人だろうが岡山の人だろうが、徳島の人だろうが、皆その事務所に頼む、というような現象が生じるでしょう。それが合理的な選択というものです。

そのような中で、滋賀という地方の、弁護士二名の弊事務所のような小規模事務所が生き残るためには、それでもその事務所に頼みたい、と言って頂ける、安さ以外の付加価値がなければなりません。

弁護士自身の人間的魅力や、アップル製品やトヨタ車が持つような圧倒的なブランディング、仕事のクオリティ、などが「付加価値」に当たると思われます。

日々、こうした「付加価値」の創出のために頭を悩ませておりますので、生き残りをかけて、義理と人情と職人技で仕事をする、という兄貴の話は本当に身に染みます。

もちろん、1円でも安いことが顧客サービスであり、安くできないのは努力が足りないからだ、という考え方もあるかと思いますが、弁護士業はそういうものではない、というのが今の私の考えで、「他の事務所より安いから」、という「合理的」な理由ではなく、「しっかり仕事をしてくれそうだから」、「親身になって仕事をしてくれそうだから」といった、「義理と人情と職人技」とで選んでもらえるような事務所にしたいと考えております。


3 【兄貴の教え 10】「リミッターを外して、本気になる」

「『本気かどうかだけ』なんやて。もう、完全に『本気かどうかだけ』これにつきるんやて」

本書の兄貴のセリフで最もカッコいいのがこれ↑↑↑です。

兄貴いわく、「結局な、『本気でぶっちぎる』ことができたら、生まれつき持っている才能やお金に関係なくな、誰でも成功できるんやて」とのことです。

「実は『本気』になれないのは『リミッター(制限装置)』が外れてないからなんや。みんな自分の50%くらいの力しか、使えてないねんて。本当の『本気』になって、自分の100%の力を発揮するにはな、自分のリミッターを外さなければいけないんや」

そして、兄貴は、リミッターを外す方法として、「リミッターが外れているヤツに会うこと」を勧めます。


もちろん、コンクリートの壁を素手で思い切りぶん殴ろうとしても、そうはできないわけで、100%の力を発揮してしまうと、どこかにガタがきてしまうために脳がストップをかけるわけですが、これを意図的に外して「本気になる」ことが成功につながる、というわけです。

しかし、上述のように、リミッターは必要だから付いているわけで、それを外してしまう以上、等価交換として何らかのものを失うことにはなるのでしょう・・・

それは、家族だったり、健康だったりするかもしれません。

兄貴は、本書によりますとかなり睡眠時間が短いようですし、朝まで起きていたということが多いようですので、私が同じことをすれば確実に身体を壊してしまいます。

私としては、身体を壊さずに「本気でぶっちぎる」方法を模索したいです(健康のことを気にしている時点でリミッターは外せていないのかもしれませんが・・・)。


また、別のパートの「教え」で兄貴はこんなことも言っています。

「要するにな、大成功する奴っていうのはな、『先駆者』なんやて。誰もやっていないときに、バコーンと先に、先陣きってやるやつなんやて。成功しようが失敗しようが、『先陣きってやるようなヤツ』はな、たとえ途中で失敗しても、いつか、成功するんやて」


兄貴は結局、とにかく抜きん出ることの大切さを説いているのだと思います。

普通に弁護士としてやっているだけでは「リミッター」は外れないでしょう。

自分では本気になっているつもりなのですが、抜きん出ているとは決して言えない現状からしますと、まだまだ「本気」からは程遠いと言わざるを得ません。

やはり私も「リミッターが外れているヤツに会う」必要があるのだと思います。


4 【兄貴の教え 11】「仕事に思い入れている時間を、長くする」

本書において、仕事関連の教えでは、この教えが最も重要な気がします。

兄貴はこう言います。

「あの手塚治虫な、何と、700作品も、まんがを書いとるんやけどな、とにかく『仕事に思い入れている時間』が、長かったんや。いろんなまんがの技法も考えまくるしな、ほかのまんが家チェックも怠らんしな、新しいまんがの技法が出てくると、すぐに取り入れる、研究熱心さやねん。」

「なんと、息を引き取る寸前の最後の言葉がな、『隣の部屋へ行くんだ。仕事をする。仕事をさせてくれ』やで。MAXすごいやろ? 手塚治虫は最後まで、『仕事に思い入れていた』んやなぁ。せやから、『まんがの神様』と言われるようになれたんや」

さすがは手塚先生です。恐れ入ります。

兄貴のこの話を聴いて、「いっちゃん」はこう思います。

「周りの人と同じような時間に、出社して退社して、周りの人と同じように土曜日と日曜日を休み、周りの人と同じような営業成績をキープしていただけだ。やっていることが周りの人と変わらないのに、『自分だけ成功したい』なんてそもそも無理な話だ」


考えてみますと、あのイチロー選手も、誰よりも早く球場入りし、入念にストレッチなどをして試合に臨んでいたといいますし、夜遅くまで酒を飲んだりすることもなかったといいます。

スポーツの世界では、人より多くその競技にコミットするのが成功への近道であることは当然だと認識されているわけですから、このことを仕事に当てはめると、兄貴の教えは至極もっともだということになります。

好きこそものの上手なれ、という通り、仕事が好きで、仕事を夢中でやっていて、四六時中仕事のことばかり考えていれば、いかに5時半に帰るかだけを考え、仕事が終われば仕事のことなど一切考えたくもない、という人と結果において差が生じるのは当然のことでしょう。


5 【兄貴の教え 18】「1日14時間以上働きまくる」

兄貴いわく、「どうやってガッツリ稼ぐのかという方法はな・・・・」

「『1日14時間以上』働くということやねん。それが出来ないんなら、成功はないんや」

これを聞いて、「いっちゃん」はこう思います。

「『いきなり大成功』してしまうような『必殺技』や『裏技』なんかがあるのなら、もうとっくにみんながやっているはずだ。そんなものは、どこにもないんだ。だったら大成功する最初のキッカケは、1日14時間以上、必死で働くことなんだ。そして、それを『継続する・続ける』ということだ。」

【兄貴の教え 10】「リミッターを外して、本気になる」、【兄貴の教え 11】「仕事に思い入れている時間を、長くする」と通じるところですが、結局のところ、本気になって、仕事のことばかり考え、1日14時間以上働きまくる、しかない、ということなのです。

スポーツが上手くなるためには、たくさん練習しなければならない、ごく当たり前の話です。


私は、朝9時過ぎに事務所に出てきて、夜9時から10時くらいに帰ることが多いのですが、お昼を食べたり、その他雑談してる時間などを含めますと、仕事をしている時間は11時間くらいでしょうか。

夜11時くらいに帰ることもままあり、世間的に見れば長時間労働の部類に入ると思われますが、それでも1日14時間勤務にはほど遠いです。

それを継続するとなると、なかなかにタフな生活になります。

他方で、「仕事で成功したい」と思うなら、人と同じことをやっているだけではどうしようもないのでしょう。

そこで、確かに、働きまくる、というアプローチはシンプルかつ効き目がありそうです。

ここで、昨今のように働き方改革が叫ばれる中、長時間労働礼賛かよ・・・と思われる方もおられるでしょうが、ここで兄貴が言っているのは、何らかのビジネスを所有して経営者になり、お金持ちになるための方法論であり、定時で帰って、余暇は趣味に没頭したい、という一般サラリーマンが考える人生設計とはそもそも目指すところが違うのだと思われます。


当然金持ちになるだけが成功ではないですし、そんなに仕事ばかりして何が楽しいの?という意見も最もだと思います。

他方で、独立して仕事をしてみて、サラリーマン弁護士だったころと比べて、はるかに労働が辛くなくなった気がしています(もちろん、ツラいことも多々ありますが)。

それは、サラリーマン時代と違い、自分で仕事を選ぶことができるようになったからだと思います。

近頃、下手をすると土日両方仕事をしているのですが、そのような生活に不満が溜まっているかと言いますと、別にそういうわけではありません。

むしろ、もっと、本気になってより多くの仕事をしたいとすら思っています。

いかに仕事のことを考えない時間を作るかばかりを考えていたサラリーマン時代と異なり、ほぼ常に仕事のことを考えており、しかも、そのことを楽しんでさえいますので、マインドが180度転換したと言えます。

このように、仕事を頑張りたいのはやまやまだが、ストレスも多いし、1日14時間なんか働けるわけないよ、という方には、独立もまた一手であると考えます。

本書にも、独立について触れているパートがあります。


こちらは弁護士の独立について書いた記事です↓↓↓


まとめますと、本書を読むことの最大の効用は、よし、自分も本気になるぞ、と一瞬でも思えるところだと思います。

兄貴は、そのやる気を継続することがいかに難しいかを本書で説いていますが、そうは言っても、一瞬でもやる気になることがなければ何も始まりませんので、その意味で、本書を読むことで何らかの一歩が踏み出せる(というか、本書を手に取った時点で、今の自分を変えたい!とはすでに思っている)ことは間違いありません。


思わず、弊事務所のブラックぶりを露呈してしまいましたが、個人事業主はいくら働こうが自由ですので、これからも限界まで働きたいと思っております。

兄貴に触発されてやる気になってこのブログを一気に書き上げましたが、どこまでこのやる気が継続するのやら・・・


長々とお付き合い頂きありがとうございました。




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