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こんにちは。齋藤です。

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秋もそろそろ深まりつつあるこの頃ですが、ついに9月30日をもって緊急事態宣言が解除されることとなり、ようやく大手を振って買い物に行けるとお喜びの方も多いかと存じます。

秋はファッションの季節ということで、「教養としてのスーツ」の4回目をお送りいたします。

これまで同様、「教養としてのスーツ」(井本拓海 二見書房 2019年12月)に従ってみていきます。


柄の数え方

今回は、生地と柄の考え方、というお話です。

私は、この「生地と柄の考え方」の話が本書の白眉だと思っております。

生地感や柄を数値化することで、著者が考えるミニマリズムが容易に把握できるようになる画期的なシステムだと思います。

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↑↑↑こちらの表ですが、著者が、スーツスタイルを構成する各要素にポイントを付けたものとなっています。

この表をもとに、コーディネートを数値化し、ミニマル・シンプルにまとまっているか、ガチャガチャしたコーディネートになってしまっていないかを測定します。

著者いわく、

全体のコーディネートでは1.5から2柄であれば落ち着いて見える

ということなので、ジャケット・シャツ・タイのそれぞれについて、上記の表記載のそれぞれの柄数を足して1.5~2.0に収まるようにコーディネートしようというわけです。

以下、本書の柄についての考え方を引用します。

ブロード生地は柄0とカウントする。
スーツやタイとの兼ね合いから、シャツの柄は0柄もしくは、0.5柄が望ましい。
織で表現した柄は、0.5柄とみなす。
ストライプやドットのような柄は1柄とカウントする。
折り目がブロードよりもはっきりしているオックスフォードは0.5柄とする。
簡単に言えば、凹凸が目に見えてわかれば陰影がつくのだ。この陰影を0.5柄とみなす。
表前立ても飾りという意味で、0.5柄とカウントする。

オックスフォードの0.5柄カウントはともかく、表前立てすら0.5柄とカウントするところに本書のストイックさが表れています。

さて、それでは、具体例を見てみたいと思います。

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ある日の私のいでたちなのですが、かなりミニマルではないでしょうか。

上記の表に沿って柄数を数えてみますと、

ジャケット:ザ・スーツとでもいうべきウール100のツイル・サージ織の無地=0

シャツ:写真ではわかりにくいですが、サックスブルーのオックスフォードで裏前立て=0.5柄

タイ:シャドーストライプのような目立ちにくい柄なので0.5柄とカウント

ということで、合計1.0柄となり、本書の考えに沿ったコーディネートと言えるでしょう。

このスーツに、ストライプのシャツ↓↓↓

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ストライプのネクタイ↓↓↓

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を合わせると、ジャケット=0、シャツ=1、タイ=1で合計2.0柄となり、本書の考え方からすると、このコーデが柄の数の限界ということになります。
これ以上柄が増えるとガチャガチャし過ぎているというわけですが、街をゆく人を見ていますと、このコーデよりガチャガチャした人はいくらでも見受けられるわけで、やはり本書はかなりストイックにシンプルさ・ミニマルさを追求していると言えるのではないでしょうか。


ジャケパンへの応用

本書では、シャツについては生地感の違いを柄数にカウントしています(ブロード→0柄 オックスフォード、織柄→0.5)が、ジャケットについては無地=0柄とするのみで、特に触れられておりません。

このあたりは、本書があくまでスーツを主眼とするもので、ジャケット単品買いが想定されていないことによるものと思われます。

ただ、昨今のコロナウイルス感染拡大によるリモートワーク推奨の流れから、服装のカジュアル化が一気に加速したきらいがあり、街を歩いていても、ジャケパンスタイルのビジネスマンを多く見かけるようになりました。

そして、この潮流は今後も続くものと思われます。

というわけで、私たちは、本書の考え方をジャケパンにも応用して、ジャケパンの着こなしを考えていく必要があります。

そうしますと、無地ジャケットなら何でも0カウントというわけにはいきません。

たとえ無地のジャケットでも、ツイル(サージ)生地の何のニュアンスもないジャケット↓↓↓と

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ホップサックのジャケット↓↓↓

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フランネルのジャケット↓↓↓

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とでは、おのずから凹凸・陰影が異なります。

ですので、

ツイルやトロピカルのような、ザ・スーツというべき生地の無地ジャケット=0柄

ホップサック、ポーラ、シャークスキンのようなわずかな織柄、フランネル、サキソニーのような起毛感のある生地の無地ジャケット=0.5柄

としてカウントすべきと考えます。

さらに、

リネン混のジャケット↓↓↓

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カシミアのジャケット↓↓↓

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のような、ウールではない素材の無地のジャケットにも、やはりザ・スーツ的生地とは異なる陰影があるので0.5柄とカウントしてはどうかと思います。

また、ハウンドトゥースやヘリンボーン、ウインドウペーンやグレンチェックのようなジャケットもあり得るところで、ストライプのジャケットを1柄とカウントすることからすると、これらの強い印象の柄は1.5柄とカウントすべきと考えます。

さらに、ビジネスで着る機会は少ないかもしれませんが、ツイードのジャケットはもはや2柄とカウントすべきでしょう。

フランネル+チェックのような、起毛素材+柄、
カシミア+チェック、シアサッカー+ストライプのような、ウール以外の素材+柄もまた、2柄
とカウントすべきと思われます。


このように考えていきますと、例えば、夏のジャケパンスタイルとして、このような格好をした場合↓↓↓

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ホップサックのジャケット:0.5柄

ストライプのシャツ:1.0柄

となり、これにストライプのタイ(1.0柄)を加えると合計2.5柄となり、2.0柄のしばりをオーバーしてしまいます。

まして、フランネル+チェックのような、起毛素材+柄、
カシミア+チェック、シアサッカー+ストライプのような、ウール以外の素材+柄を2.0柄とカウントするとすれば、ジャケットだけで2.0柄になりますので、2.0柄のしばりをクリアするためには、シャツはブロード、タイは無地一択となります。

しかし、個人的には、特にジャケパンの場合、多少カジュアルさを出したほうがこなれた感じがする気がしますので、シャツをブロードにするとドレッシーすぎるかなと。やはり、ジャケパンではオックスフォードシャツを使いたいので、ここで0.5柄は絶対に使うことになる。

そうしますと、起毛素材やウール以外の素材+柄の、ジャケットだけで2.0柄となるアイテムでは、2.5柄~3.0柄くらいになることは避けられないといえ、うまくまとめるのは難しいアイテムと言わざるを得ないでしょう。

フランネルのグレンチェックやハリスツイードのジャケットには憧れつつも、ビジネスで使うのは難易度が高すぎると言わざるを得ず、よほどの上級者でない限り、手は出さないのが無難と言えそうです。

ペイズリーのタイの柄数は?

もう一点、上記の柄の数え方の表で触れられていない問題があります。
それは、ペイズリー柄のネクタイの柄数の数え方です。

おそらく、著者からしますと、ペイズリーはシンプルではないからやめておけ、という話になるのだと思います。

しかし、多少ガチャついたとしてもペイズリーのタイをしめたい、ペイズリー柄だけが持つカッコよさ、ダンディさがある、と考えるのは私だけではないはずです。

たとえば、こちら↓↓↓のような目立たないペイズリー柄であれば、ストライプと同様に1.0柄としてカウントしても問題ないように思われます。遠目に見ればニットタイのようにわずかな陰影しか目に入りません。

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他方で、こちら↓↓↓のような、ある程度しっかりしたペイズリー柄はどうでしょうか。

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ストライプを1.0柄とカウントすることを考えると、1.5柄とカウントしなければならないようにも思われます。

そうしますと、ストライプのジャケットやシャツといった、1.0柄カウントのものと合わせようとすると2.0柄のしばりを逸脱することになりますから、無地のジャケットやシャツとしか合わせることができないことになります。

このように、ペイズリータイも、上記のフランネル+チェックのジャケットのように、なかなかレベルの高いアイテムと言えそうです。

おわりに

色々なバリエーションで、生地と柄について考えてきたのですが、ここまで書いてきて思ったのは、ビジネスウェアのカジュアル化に伴い、2.5柄くらいまでは許容範囲内となりつつあるのではないか、ということです。

例えば、
フランネルやサキソニーの無地のジャケット:0.5柄
オックスフォードシャツ+裏前立て:0.5柄
ペイズリー柄ネクタイ:1.5柄
は合計2.5柄ですが、十分に成立していると思いますし、

フランネルやサキソニーのグレンチェックのジャケット:1.5柄
オックスフォードシャツ+裏前立て:0.5柄
織柄のタイ:0.5柄
の組み合わせも、合計2.5柄ですが、素敵だと思います。

他方で、3柄以上になりますと、急にガチャガチャ度合いが強くなります。

もちろん、結局のところ、どれだけガチャガチャしていようが、要はセンスが良い、と感じる組み合わせでさえあればよく、それが出来るのであれば、いちいち上記の表で柄数をカウントしたりする必要はないわけです。

この点、著者は以下のように述べています。

ちなみに、柄を多く使っているのに全体が調和している人は、真の意味でセンスがいいと言えるだろう。なぜなら、それぞれのアイテムの色や柄の選択だけでなく、全体の色調や生地の質感、見える量と印象の違いというようなことも考慮に入れた選択をしなければならないからだ。
服装に高い意識を持っている人ほど、柄には敏感であり、使い方を吟味している。
この基本をマスターした上で、3柄や4柄でも全体の調和を保てるような着こなしを作り上げることはスタイルに通じるだろう。

というわけで、本書も2柄を超えることが悪いと言っているわけではなく、ハズさない着こなしを覚えたければ、まずは2柄以内でまとめることをマスターしろ、と言っているわけなのです。

ペイズリー柄が大好きな私としては、何としても、2.5柄~3柄程度での調和のとれたコーディネートをマスターする必要があるわけです。

秋になり、ジャケットを羽織り、ネクタイをする機会がますます増えます。いろいろ悩みながら「世界レベルの着こなし」に少しでも近づけるよう頑張っていきたいと思います。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。



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