ERB ドナルド・トランプVSカマラ・ハリス の翻訳・解説
こんにちは、かいねっしゅです。今回はERBの「ドナルド・トランプ VS カマラ・ハリス」を翻訳し解説を行います。
ERBとは?
とはいえ読者の方々は ERB をそもそもよくご存じでない方も多いと思いますので、まずこちらを紹介しましょう。
ERB は正式名称を "Epic Rap Battles of History(訳すなら「歴史上の人物によるガチラップバトル」といったところでしょうか)" といいます。簡潔に言うと、「歴史上の人物やポップカルチャーの人物などがラップバトルをする」シリーズです。
歌詞にも映像にも様々な仕掛けや言葉遊びが施されており、何度見ても新たな発見があります。
本編動画
まずはこちらの本編動画をご覧になったほうが、より楽しめると思います。とりあえずラップの雰囲気を感じ取ってみてください。解説はその後で十分です。
https://www.youtube.com/watch?v=HVZtKKryjfU
翻訳解説
それでは翻訳解説にまいりましょう。今回のラッパーを紹介します。
人物紹介
・ドナルド・トランプ(Donald J. Trump):アメリカの実業家、政治家。1946年、ニューヨーク生まれ。父の支援を受けてビジネスの世界に乗り出し、幾度も失敗しつつもそのたびに復活を成し遂げた。2000年ごろから政治の世界にも進出を開始。2015年6月に大統領選への出馬を表明し、有力対抗相手であったヒラリー・クリントンを破り2016年に第45代米国大統領となる。2020年大統領選ではジョー・バイデンに敗れるも、2024年大統領選に出馬し、百数十年ぶりとなる落選からの返り咲きを果たした。2025年2月現在、第47代米国大統領。
・カマラ・ハリス(Kamala D. Harris):アメリカの政治家、法律家。1964年、オークランド生まれ。米国屈指の名門大学であるハワード大学で政治学と経済学を専攻したのち、カリフォルニア州検察にて地方検事補、地方検事を務め、2010年からはカリフォルニア州司法長官となった。2015年には上院選挙への立候補を表明、2016年11月には61.6%の得票率で勝利し、上院議員となった。2020年大統領選にはバイデン氏により副大統領候補に指名され、2021年より副大統領を務めた。2024年大統領選ではバイデン氏の撤退により大統領候補となり、トランプ氏と激しい戦いを繰り広げたが敗れた。
歌詞
原語での歌詞(リリック)の下に日本語訳を付し、さらにその下にかっこ書きで解説を付しました。
なお、このラップには罵倒や下品な表現が頻出することはご承知おきください。
第一ヴァース:ドナルド・トランプ
I've got the best wordplays, ask my supporters
俺の言葉遊びは最高だ、支持者に聞いてみな
(トランプは自画自賛をすることで有名。ここではラップもうまいと自慢している。)
I've got more diss abilities than a New York Times reporter
俺は New York Times の記者よりも言葉で障害負わせんのが得意なんだよ
(原語における diss abilities は disabilities(障害) と diss(ディス。ラップにおいて相手を罵ること)をかけている。)
You're a scam, your whole nomination is a hoax
お前は詐欺師、お前の指名も全部でっち上げ
(ハリス氏は予備選挙には出馬せず、バイデン氏の撤退後に民主党によって大統領候補として選ばれた。またトランプ氏は対立候補の実績をでっち上げ等と罵倒することがよくある。)
Your party is so pro-choice, they aborted a state's right to vote
お前の党は中絶賛成だよな、州の選挙権も中絶させやがった!
(pro-choice は中絶賛成を意味する英語。民主党は中絶の権利を擁護する立場である。abort は「頓挫する」「中絶する」を意味する英語。恐らくトランプ氏は中絶を認めるかどうかは州が決めるべきと考えており、ここでは中絶は全部の州で許可すべきとなっていることを批判しているのだろう。)
You pencil pushing pussy bows, think you can scare me with prison?
デスクワークばっかりしてる官僚気取りどもめ、刑務所で俺を怖がらせられるとでも思ったのか?
(pencil pusher というのは「書類仕事ばかりしている官僚」を意味する語。pussy は「猫」という意味だが俗語では女性器を意味する。bows はリボンの意味。合わせると「書類仕事ばっかりしてるひ弱な官僚気取りども」くらいの意味になる。後半はトランプ氏が複数の刑事訴訟に臨んでいることへの言及。)
Get your mugshot, then your mug shot, then come talk to me about convictions
顔写真を撮られて、顔を撃たれて、それから前科の話をしに来いや
(トランプが詐欺罪で逮捕されてマグショット(逮捕されたときに撮られる顔写真)を撮影されたことと、選挙演説中に暗殺未遂に遭い、右耳を撃ち抜かれたことに言及している。)
You're the radical left, you should be embarrassed
極左野郎め、恥ずべきだよな
(トランプ氏はよくハリス氏や民主党のことを radical left(急進左派)と呼ぶ。「恥ずべき」と言っているのは、この次の部分。)
The way you divide our country, I'll call you Cameltoe Harris
国を穢すやり方、さしずめ「デカマラ・ハリス」ってとこか
(直訳は「お前が我々の国を分断するやりかただ、俺はお前をキャメルトウ・ハリスと呼ぼう」。cameltoe は直訳だと「駱駝の蹄」だが、実際には外陰部がパンツ等から浮き出ていることを意味する隠語。パンツに浮き出る女性器が二つのスジに分かれていることを国の分断に例えている。うまく翻訳するため、この訳では大きな男性器を意味する「デカマラ」とカマラ・ハリスをかけた訳にした。また、国を分断する、は国を「穢す」と訳した。「穢す」は性的暴行を振るうことにかかっている。)
Your inflation's got our nation clippin' coupons
お前のインフレのせいで我が国じゃクーポンを使い倒してる
(アメリカのインフレ率はバイデン政権の最中9.1%にも達し、戦後三番目に高い数値となった。アメリカ人は切り取り式クーポンをよく使うことを表している。)
Wallets leaking worse than a wet lab in Wuhan
武漢の研究施設よりも財布から(お金やらが)漏洩してやがる
(新型コロナの発端となった武漢(英: Wuhan)に言及し、インフレのせいでどんどん金が財布から出ていくと非難している。)
I had every Amеrican's 401k thrivin'
俺はアメリカ人全員の401(k)を栄えさせたんだ
(401(k) は米国の企業で導入されている確定拠出型年金制度。)
Stock markets higher than the planеs full of migrants you fly in
株式市場は移民まみれの飛行機よりも高騰してるぜ
(第一次トランプ政権において株式市場が最高騰したことについて言及。トランプ氏や盟友のイーロン・マスク氏はしばしば、民主党が不法移民をアメリカに送って選挙結果を不正に操作しようとしていると主張している。)
And don't even try to deny the cognitive decline you were hiding
んでお前が隠そうとしてた認知機能の低下も否定しようとすんな
(前大統領バイデン氏の認知機能の低下について、ハリスが隠してたんじゃないかと非難している。)
Propping up Joe like it was Weekend at Biden's
「バイデンの週末」みたいにジョーを支えてやがる
(※「バイデンの週末」の部分はブラックコメディ映画 "Weekend at Bernie's" のもじり。これはバーニーという男が死んだのを隠そうと主人公らが奔走する物語。映画の内容で、衰弱したバイデン氏を支えようとする民主党を例えている。)
I'm here to teach you what losing to a winner feels like
俺は勝者に負けたらどんな気分になるか分からせるためここにいるんだ (teach は「教える」という意味だが、ここでは文脈を考えて「分からせる」と訳した。)
Ask Pence: I know how to drop a Mike!
ペンスに聞いてみろよ、マイクの落とし方知ってるかってな!
(マイク・ペンスは45代トランプ政権の副大統領で、のちにトランプと不仲となり、2024年選挙ではJD ヴァンスが副大統領候補となった。drop a mike は「ラップがうまい」という意味の英語で、もちろんペンスのファーストネームのマイクにもかかっている。)
第二ヴァース:カマラ・ハリス(&ジョー・バイデン)
I know you're not all ears, but listen up close
あんたが耳を傾けないのは知ってるけど、よく聞きなさい
(トランプ氏は周囲の人の言うことを聞かず、独断することで知られる。また、「耳」は暗殺未遂のときにトランプ氏が耳を撃たれたことにもかかっている。)
You are JD Vance's beard level weird, you are gross (Ehh!)
あんたは JD ヴァンスの髭くらい変だわ、野卑よ
(現米国副大統領の JD ヴァンスは豊かな髭を蓄えており、対立候補から weird(変な、奇妙な、奇怪な)と呼ばれたことがある。)
You've been bending American decency over a barrel
アメリカの良識をひん曲げてきたわね
(トランプ氏が礼儀や品位に欠けていること、また支持者も同様であると非難している。)
Giving Lady Liberty the finger like she's E. Jean Carroll
E. ジーン・キャロルにやるみたいに中指を立てるなんて
(E. ジーン・キャロルはジャーナリストであり、トランプ氏の性的暴行疑惑を告発した。トランプ氏は名誉毀損で彼女を訴えているが、敗訴している。自由の女神はアメリカの象徴であるため、トランプがアメリカを侮辱していると言っている。)
In that big creepy house with our secrets stacked in piles
秘密たっぷりのあの気味悪い家の中でね
(FBIがトランプ氏の邸宅を捜索し、数々の機密文書を発見したことへの言及。)
From documents to pedos, you spend too much time with files
機密文書からロリコン野郎まで、厄介者に時間を使いすぎ
(原語は書類の「ファイル」とペドファイル(小児性愛者)の「ファイル」をかけた洒落になっている。トランプ氏の所有していた機密文書と、児童への性的暴行の疑いで有罪となり獄中死したジェフリー・エプスタインとトランプ氏の親交の双方を揶揄している。)
Having sleepovers with Laura Loomer, what's going on with ya?
ローラ・ルーマーとお泊まりしたみたいだけど、どうなってんの?
(ローラ・ルーマーは熱烈なトランプ支持者で、極右、陰謀論者、白人至上主義者。彼女はトランプ氏との不倫疑惑がもたれている。)
Can't you afford more than Temu Melania? (Hoo!)
廉価版メラニアよりいい女をゲットする余裕はなかったのかしら?
(直訳は「あなたはTemuメラニア以上のものを買う余裕はなかったのか」。Temuは商品の安さで知られる中国発祥のショッピングサイト。ローラ・ルーマーを「廉価版メラニア」と揶揄している。)
You failed in your own city: bank, ballot box and court
自分の街で失敗したわね、銀行、投票箱に裁判所で
(トランプ氏がビジネスに失敗したこと、2020年大統領選で敗れたこと、複数の訴訟を起こされていることへの言及。)
You're Home Alone 2, you lost in New York
あんたはホーム・アローン2、ニューヨークで迷子に失敗
(トランプ氏は映画「ホーム・アローン2」でカメオ出演している。トランプ氏の出演はこの映画の撮影にあたり、彼の所有していたプラザホテルを使うための条件だった。その後トランプ氏はビジネスの失敗によりこのホテルを売却している。lost には「迷う」と「失敗する」の二つの意味があると思われる。)
I was there on January 6th, it wasn't fun for me
私は1月6日にそこにいたけど、楽しくなかったわ
(ハリス氏は2021年1月6日に起こった国会議事堂襲撃事件の際、議事堂にいた。)
Just like your bowels, I was evacuated suddenly (Aggh!)
あんたの腸みたいにいきなり出口から出る羽目になったのよ!
(トランプ氏は腸に問題があるのではないかと噂されている。ハリス氏は前述の襲撃の際、すみやかに避難した。evacuate は「避難させる」と「排泄する」のダブルミーニング。)
You are history's least hopeful presidential hopeful
あんたは歴史上一番望み薄の大統領候補
(トランプ氏の再選が非現実的であると揶揄している。)
Moods swinging wildly like stock in Truth Social
Truth Social の株価みたいに気分の波が激しいわね
(Truth Social はトランプ氏の立ち上げたSNS。Truth Social の株価変動によって、感情的で攻撃的なトランプ氏を例えている。)
I'm here to build bridges from Texas to Niagara Falls
私はテキサスからナイアガラの滝まで橋を架けるためここにいる
(build bridge は「仲良くする」という意味であり、テキサスとナイアガラの位置関係からして、アメリカ全土を団結させるという意味合いがあるのだろう。また、ハリス氏は副大統領としての在任中、道路の修復のための法律を制定させている。)
She-she-she-she's even got better Walz!
か、か、か、彼女はウォルツよりもっと良いんだよ!
(これはバイデン氏のセリフ。最初の She-she-she- の部分はバイデン氏の吃音を反映している。ウォルツは民主党員からの支持が熱いミネソタ州知事のティム・ウォルツを指している。)
第三ヴァース:ドナルド・トランプ
I hope you wrote that commie crap in red 'cause you're taking a huge loss
お前がアカい字で共産主義者の吐く戯言を書いたことを願うよ、お前は大損してるからな
(赤字はもちろん企業が損失を出している意味である。また、赤は共産主義を象徴する色であり、日本語でも「アカ」という蔑称がある。トランプ氏はしばしば、民主党の急進派を共産主義者だと非難している。ここではハリスは敗けるぞと脅しをかけている。)
This is ending worse for you than Afghanistan did for your boss
こりゃアフガニスタンがお前の上司にやったのよりも酷えや
(2021年、バイデン大統領(当時)は、トランプ氏が予定していたアフガニスタンからの米軍撤退を行い、結果としてアフガニスタンはターリバーンに再び奪還された。)
A man handed you everything you ever did
男に何もかも与えられやがってよ
(男(a man)とはバイデン氏のこと。ハリス氏は実力でのし上がったのではなく、バイデン氏の手助けあってこそ今の地位に上がったのだと非難しているのだろう。)
You couldn't make your own way, you couldn't even make your own kids
お前は自分で道を切り開けなかったし、子作りもできなかったな!
(ハリス氏に実の子がいないことの非難。ただし彼女には義理の子供はいる。)
第四ヴァース:カマラ・ハリス
Your mommy was absent when you were just a little baby
あんたの母さん、あんたが赤ちゃんの頃はいなかったわね
(トランプ氏が父にはよく言及するが母のメアリー・アンにはあまり言及しないことについて言っている。)
And if she saw you now, she'd wish she were a childless cat lady
もし母さんが今のあんたを見たら、子無し独身のままだったらよかったと思うんじゃないかしら?
(childless cat lady は「子どものいない猫好き女性」。JD ヴァンス氏が独身女性を揶揄した発言の引用である。トランプ氏の母も、今のトランプの狼藉ぶりを見れば産まなきゃよかったと後悔するだろうということである。)
And if your racist landlord daddy wasn't dead
で、レイシストの大家親父が死んでなかったら
(トランプ氏の父、フレデリック・トランプは白人至上主義団体KKKの集会に参加したとして逮捕されたことがあるほか、アフリカ系米国人に対する差別の疑いで訴えられたこともある。)
It'd kill him seeing me living rent free in your head!
あんたが私のことばっか考えてるのを見て死んじゃうでしょうね!
(直訳すると「あなたの頭の中に私がタダで住んでいるのを見ると彼は死んでしまうだろう。」。living rent free in one's head で「~のことをずっと考える」という意味になる。人種差別主義者だったトランプの父が、有色人種であるハリス氏が息子のトランプ氏の頭の中に「ずっといる」のを見たら、差別心が暴走して死んでしまうだろうと述べている。また、これはトランプ支持者が反対派に対し「いつもトランプのことばっか考えてるトランプ狂気症候群だ」と非難していることに対する意趣返しでもある。)
第五ヴァース:ドナルド・トランプ&カマラ・ハリス
<トランプ>
Well, I know how you failed the bar exam after that
まあ、お前がその後司法試験に落ちた理由は知ってるさ
(検察官として働いていたとき、ハリス氏は一度目の司法試験では不合格となっており、これが非難の的となっている。また、ラップ用語で bar はセリフの意味であり、ハリス氏のラップを馬鹿にする意味も含まれている。)
I guess the half of you whose job it is to rap isn't black!
お前のうちラップ担当の半分は黒人じゃねえんだろ!
(アフリカ系米国人はラップが上手いというのがステレオタイプである。ハリス氏がジャマイカ系黒人とインド系の間に生まれたことから、ハリス氏のラップが純粋なアフリカ系米国人よりも下手くそなんだとバカにしている。トランプ氏は、ハリス氏がつい最近になって黒人であると自認し始めた、という虚偽の主張を何度もしている。)
<ハリス>
Oh, good one, you ketchup smelling edgelord
おお、いいわね、ケチャップ臭い厨二病患者さん
(edgelord は重度の中二病にかかっている人を意味するスラングである。また、トランプ氏はウェルダンのステーキをケチャップで食べるという食べ方をしているほか、服にケチャップがついた写真をSNSに上げて批判を受けたこともある。)
You rock the beat softer than Stormy Daniels' headboard (Heheheh!)
ストーミー・ダニエルズのヘッドボードよりもヤワなラップね!
(ストーミー・ダニエルズはAV女優、映画家であり、トランプ氏との不倫疑惑がもたれていた。トランプ氏はこの不倫を隠蔽する計画に加わったとして裁判にかけられ、有罪判決をくだされている。)
<トランプ>
I can't believe I'm even in a race with this hog
このブタとまだ競ってるなんて信じられねえよ
(ハリス氏を「ブタ」呼ばわりして侮辱している。)
Hope you wear makeup in Ohio, 'cause they're eating the dogs
オハイオにいる時は化粧しろよ、あいつら犬を食ってるからな!
(トランプ氏はハリス氏との討論会で、オハイオにいる移民が犬を食べていると主張したが、これは誤りであることが確認されている。ここではハリス氏を犬に例え、侮辱している。)
<ハリス>
Donald, I'm putting you away like a rapist back in Cali
ドナルド、カリフォルニアの強姦魔みたいにあんたを刑務所送りにする
(ハリス氏がカリフォルニア州で検察官をしていたことへの言及である。彼女はしばしば凶悪犯罪者を逮捕したということを誇っている。ドナルドはトランプ氏のファーストネーム。)
You should leave this battle early like the crowds at your rallies
集会の参加者みたいにさっさとこのバトルから出てったほうがいいわよ
(選挙戦終盤、トランプ支持者がトランプ氏の集会から早く退去するようになったことと絡めて、トランプは負けだと主張している。)
<トランプ>
I have all the biggest rallies
一番デカい集会は全部俺が開いてんだ
(トランプ氏は先述の主張を繰り返し否定している。)
<ハリス>
Yeah? Well, I've got Taylor Swift
はい? こっちにはテイラー・スウィフトがいるのよ
(シンガーソングライターのテイラー・スウィフト氏はハリス氏の選挙集会に登場したことで有名。)
<トランプ>
You're ugly!
このブスめ!
<ハリス>
You are ugly!
あんたもブサイクよ!
<トランプ>
Well, you're a Marxist-
やれやれ、このマルクス主義者め――
第六ヴァース:???
Jumpin' Jesus H. Huckleberry Christ on a crutch!
ああ、もう、なんてことだ!
(ここで第26代大統領を務めたセオドア・ルーズベルト氏がヘラジカに騎乗して乱入する。)
No one wants to fight about politics this much
誰も政治についてこんなに争うのは望んでない!
(トランプ・ハリス間の過激な政治争いに人々はうんざりしていると表明。)
You! Madam red, white and pantsuit
お前、赤白パンツスーツ婦人め!
(ハリス氏の衣装について述べている。赤と白はアメリカ国旗に使われている色。)
Don't let getting hired be the greatest thing you ever do
大統領になるのが人生最高の瞬間にならないように気をつけろよ
(直訳は「お前がやる一番喜ばしいことが採用されることになるな」。ハリス氏に対し、当選して米国史上初のアジア系かつ女性の大統領になるだけじゃなく、大統領になった後でちゃんと実績を残せと叱咤している。ハリス氏の公約は実際には実現されないのではないかと批判する声があることを踏まえたもの。)
And you! Sweet baby back ribs up in heaven
んでお前! 天国の甘旨リブ肉バーベキュー野郎!
(ルーズベルトがトランプの方を向く。ここではトランプの不健康な食生活と体型を揶揄している。)
Try not to slide democracy straight to Chapter 11
民主主義を破滅へと直行させるんじゃねえ
(直訳は「第11章へまっすぐ民主主義をすべらせようとするな」。第11章は、ここでは再建型の企業倒産処理について定める連邦破産法第11章のことである。)
I've come here on the back of my musky antlered beast
私は麝香放つ獣の背中に乗ってやってきた
(ルーズベルト氏がヘラジカに乗っているのは、彼が1912年の大統領選でブル・ムース党(直訳:雄ヘラジカ党)から出馬したことを踏まえている。)
With a message for whichever one of you sucks the least
お前らの中で一番ダメな奴への伝言と一緒にな
(ルーズベルトがどちらの候補も侮っていることを表している。)
This government was founded on self-evident truths
この政府は自明の真実によって設立された
(アメリカ独立宣言の「我々は以下の真実を自明のものと信ずる(We hold these truths to be self-evident: )」を踏まえた表現。)
So keep it of the people, by the people, for the people! Moose!
だから政府を人民の、人民による、人民のためのものにし続けろ! ヘラジカ、来い!
(リンカーンの有名な言葉を引用し、終わる。)
<人物紹介2>
・セオドア・ルーズベルト・ジュニア(Theodore Roosevelt Jr.):アメリカの政治家、軍人。1858年生まれ。ハーバード大卒業後、下院、海軍省などに就き、1901年3月に副大統領となる。当時の大統領だったマッキンリーが暗殺されたことにより同年9月に大統領に昇格。自然保護に尽力したほか、武力をちらつかせ交渉で要求を通す「棍棒外交」でも知られる。1906年には日露戦争を仲介した。1908年大統領選には出なかったが1912年の選挙では出馬、共和党から指名を得られなかったため「ブル・ムース党」を結成し選挙戦に臨むも敗北。1919年1月没。
本編(再掲)
もう一度本編動画を載せておきます。
この記事は以上です。お読みくださいまして、ありがとうございました。