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墓をつくりたいと思っている。 何かの例えではなく、人が死んで、骨や体が納められる墓を。 突拍子がなく聞こえるかもしれないが、そう思うようになったのはきっかけがある。 僕は自分の店がある街の自治会で、環境部という部署の長を務めているから、孤独死の話が年に数回ほど耳に入ってくる。 先日も店に来てくれていたお客さんが亡くなった。 窓が開かない家の様子を不思議に思ったご近所さんが警察を呼んで、それから事態が発覚したそうだ。 高齢化が進む街だから起こりうるとはいえ、顔や名前を知
ココシバのオープンは5年前の7月15日。ちょうど地元のお祭りの日で、眩しい夏の青空の下、店の前の通りを神輿が練り歩いていった。 「最低5年はやってください」。商店街振興助成金をもらって始めたので、市の担当者からはきっちり釘を刺された。おっかなびっくりではあったが、飲食+新刊書籍+イベントという、当時はまだ珍しかった形態が受けたのかもしれない、店は好調なスタートを切ることができた。 1年半ほど経った頃、新型コロナウィルス感染症が世界的に流行しはじめた。人同士が会って集っては