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うちの店の周りはいちおう形ばかりの地番整理が行われている。区画の移動や切り分けなどはせずに、何丁目何番地何号というスタイルに形の上だけしている、そんな地番整理。 同じ番地に戸建てからアパート、マンション、たいてい10以上の建物があり、おそらく住人は50人を下らない。出身も年齢も仕事も違う人が50人以上、同じ番地で暮らしている。何人か挨拶する人はいるが、お互いのことはあまり知らない。そしてそれ以外の大多数は顔すら知らない。現代社会、首都圏住宅地の、ひとつの典型だろう。 実家
先日の日曜、自分達が団地のお祭りに関わるようになって2年目の秋まつりが行われた。 元々コロナ前は夏に行われていた団地祭が、去年から秋まつりに形を変えて再開されるようになった。櫓はなく一日開催で昼間のみ。元のお祭りと比べるとかなりの縮小開催になっているのが少し寂しくもあるけれど、これはこれでとてもいい感じのお祭りになってきているように思う。 団地が高齢化していようが少子化が進んでいようが、やっぱり人が集まって何かやる機会は求められていて(むしろ切実に求められているのかも)、
いきなりですが、宣伝です。 去年、東京都杉並区の和田商店街という、かつて東京商店街グランプリを受賞したところのアドバイザーをやっていた西本則子さんの本を出した。 『商店街とコミュニケーション 東京杉並・和田商店街と応援団わだっちの挑戦』 http://www.bunanomori.jp/new.php#wadatch 1キロくらいの細長い商店街で加盟店舗数は50程度。「あ、うちの商店街と同じような規模感だ」。そう思って興味を惹かれた。道が蛇行していること、高低差があるこ
ココシバのオープンは5年前の7月15日。ちょうど地元のお祭りの日で、眩しい夏の青空の下、店の前の通りを神輿が練り歩いていった。 「最低5年はやってください」。商店街振興助成金をもらって始めたので、市の担当者からはきっちり釘を刺された。おっかなびっくりではあったが、飲食+新刊書籍+イベントという、当時はまだ珍しかった形態が受けたのかもしれない、店は好調なスタートを切ることができた。 1年半ほど経った頃、新型コロナウィルス感染症が世界的に流行しはじめた。人同士が会って集っては
数年前、「街のことたいして知らねえだろ?」と言われたことがある。 確かにそうだ。たいして知らない。 当然、知らなきゃマズイわけでも、何か言ったりやったりしちゃダメってわけでもないのだが、部外者は口を出すな的価値観の人と話をするには知っていた方が良さそうだし、単純に悔しい気持ちもあったので、誰よりも街のことを知ろうと思った。 まず、商店街の仕事として、全45店舗(撮影当時)にインタビューをしながら動画を撮った。角栄商店街のHPに店舗の情報を記載するため、という建前もキ
親が少々ヤバい感じになってきたので、実家に頻繁に帰っている。江澤さんがジャズ喫茶「中庭」を開いているUR北本団地は私の実家から自転車6分、徒歩でも17分(GoogleMap調べ)。北本団地の商店街には、それこそ私も子供時代、手造りパン屋さんの干しブドウたっぷりブドウパン目当てでしょっちゅう出かけた。 「のどか」としか形容しようのない田畑と小山の点在する周辺風景に、突如登場する70棟にも及ぶ5階建ての均質な建物、UR北本団地だ。 空が青い。 武蔵野銀行が閉店し、ATMのみ
去年から今年にかけて、近くの商店会が2つ続けて解散した。年々店舗が減り、人通りも少なくなり、買い物客も店主も高齢化。このあたりの商店街はどこも同じような状況だから、これからも次々解散していくんだろう。 始まりあれば終わりあり。形あるものはいつかなくなる。周りは「寂しい」と口々に言うが、だからといってそこで買い物してたわけじゃない。スーパーやドラッグストア、コンビニ、大型モール、ネット通販、買い物の場所は至るところにある。もう「商店街の役割は終わった」、確かにそれはそうなんだ
いま商店街振興とか街おこしとかやってる多くの人がそうなんじゃないかと想像してるんだけど、「これ、業務だったら絶対苦痛だよねえ」。 目標があって、手順考えて、予算や日程を踏まえながら一つずつ積み重ねて、数字に見える形で実現していく……。 いや、無理です、そういうの、ぜったい無理。 場当たり、最高! さて、近くのファミリーマートから「大人のプリン」が消えて数か月。固めプリンが食べられないことに、私はもう耐えられなくなっていた。「これ、けっこう固めだよ」とお客さんが持ってきて
いつも通りに家を出る。観光地を背に住宅街を抜けると、田畑の向こうに点々と鉄塔が立っている。土砂やら建材やらを積んだトラックが走るからだろうか、アスファルトで舗装された道路の上に、自転車で走るにはつらい大きさの砂利がまだらに散らばっている。砂利をパチパチはじきながらしばらく走ると、大きな河川に行きあたる。この規模の川を越える橋は当然ながら数が少ない。迂回、迂回。橋のゆったりとしたアーチの頂点まで登ると、平野の際で山々が連なっているのがよく見える。橋を下ると住宅地、そしていつも
今年もあますところ約ひと月になってしまった。11月だというのにあちこちの店の扉を開ければ、俗っぽいクリスマスソングが聞こえてくる。 Antenna Books & Cafe ココシバは埼玉県川口市芝銀座通り商店街にあるブックカフェである。JR蕨駅東口からだと徒歩5、6分、人口密集地域だし、地の利はあるんじゃないだろうか。営業をスタートして4年半、そろそろ街の風景としては馴染んできているかもしれない。 この商店街でもかつてはスピーカーが各所に設置され、BGMが流されていたよ