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『商店街とコミュニケーション』

いきなりですが、宣伝です。

去年、東京都杉並区の和田商店街という、かつて東京商店街グランプリを受賞したところのアドバイザーをやっていた西本則子さんの本を出した。

『商店街とコミュニケーション 東京杉並・和田商店街と応援団わだっちの挑戦』
http://www.bunanomori.jp/new.php#wadatch

1キロくらいの細長い商店街で加盟店舗数は50程度。「あ、うちの商店街と同じような規模感だ」。そう思って興味を惹かれた。道が蛇行していること、高低差があること、実際行ってみたら違うところも多々あったが、昭和の時代には200以上の店で賑わっていて、いまはすっかり空き店舗だらけになっているところも、わが芝銀座通り商店街を彷彿させた。

出版記念イベントには川越・霞が関、角栄商店街の吉田さん(このマガジン「真昼の空にもあまたの星」の共同書き手)をお招きして、『商店街とコミュニケーション』トークを行った。

しかし、あれだけ西本さんの話を聞いて、作って、売っておきながら、いまだ腑に落ちないことがある。和田商店街がその再興の担い手に「子連れ女性」を設定したことだ。

子連れ女性っていまや商店街といちばん縁、なくないですか? スーパーやコンビニでもないのに、見かけなくないですか? 商店街って高齢者しか残ってなくないですか? 子連れ女性に魅力ある商品、提供できるんでしょうか? もうひとつ、子連れ女性って使えるお金、少なくないですか?

西本さんはもともとメーカー勤務で、マーケティングをやってきた人。私には無茶としか思えないその「材料」を見事、形にした。その手法や成果は書籍にくわしく書かれているので、興味のある人はぜひ手に取って読んでほしい。

なんにしてもいまや商店街の課題は高齢化と切り離すことはできない。店主、客ともに体が痛いの動かないのどこが悪いのの話題に満ち満ちている。まさに日本社会の高齢化の最先端だし、どこかの誰かがいうように「もうその役割を終えた」「なくなっても何の問題もない」、そんな思いはかつては私にもあった。

しかし、商店街に場所を得て5年、まさに西本さんが綴るように「商店街はアイデアの実験場」として機能し、人と人とのつながりがたくさん生まれ、高度経済成長期に多くの資産が投入されてできあがったたくさんの宝が眠る場所(ただし誰も掘り出さない)のように見えてきたから不思議である。

来月、芝銀座通り商店街ではまたハロウィンイベントが開催される。最初はうちの店単独で開催し、3年続けて少しずつ人が増え、これ以上大きくはできない、大きくしたら危ないというところで、商店街のイベントにしてもらった。おそらく今年は500名以上の人が集まる。この日はそれこそ話題の「子連れ女性」が大勢やってくる。諦めずリーチすることを考えようと思う。




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