いま、水中環境について思うこと
先日ちょうど『排他的経済水域』という海中環境をテーマにした中短編小説を書き終え、推敲に移った猫目です。皆さま。こんにちは。
さて本日は『テーマを語る』の2つ目。議題は『水中環境について』です。
今回のテーマは、ダイビングインストラクターのmさんより提示して頂きました。mさんは猫目のダイビングの尊敬する先生です。今はなかなか海へ行けてないのですが、たまにmさんの送ってくださる伊豆の海の写真を見て「はやく潜りたい」という気持ちが募ります。mさんは伊豆の海の魚を知り尽くしている頼りになるインストラクターさんです。そのmさんから頂いたテーマ。水中環境について。猫目も興味のあるテーマです。心して挑みます。
伊豆の海で沖縄の生物に遭遇する?
「温暖化の影響は、陸地より海中にあらわれている」とお話くださいました。ダイビングインストラクターのmさんは、他にも「毎年のように観れていた生物に逢えなくなった」や「沖縄でしか観ることの出来なかった生物に伊豆の海で出逢ったりする」とお話しくださいました。そこにはまさに地球温暖化との関連性が窺えます。
温暖化が進むことにより地球全体の温度があがるわけですが、海洋の温度もそれに倣って上昇します。しかし陸とは異なり、海の温度は比較的ゆっくりとあがっていくことが予測されています。もともと海の水温は朝と夜でも1・2度ほどの差しかありません。季節が変われど水温の変化というのは約15度程しか変化がみられないのです。
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近年、日本の海では生き物にさまざまな変化がみられます。とくに、陸の生物よりも、海の生き物というのは全体的に「気候変動」の影響を受けやすいと言われています。たとえば以下の例があげられます。
地球温暖化により、これまで沖縄(南側の海)でしか見ることの出来なかった生き物が静岡県の伊豆の海(北側の海)で見られるようになった・・・まさにmさんの言う通りでした。海の水温上昇が進むことにより、南の海より北の海のほうが海の生き物たちにとって住みやすい環境となるということです。
2000年代より熱帯の海ではサンゴ礁の白化が目立っており、その反面で、伊豆半島や房総半島ではサンゴが増えてきています。
【地球温暖化】を今一度説明させてください!
ここで今一度「地球温暖化」について簡潔に説明させてください。
温室効果ガスというのは、二酸化炭素やメタンを指します。
二酸化炭素は自動車などの機械の運転をする際に発生することで有名です。他には電気をつくる過程や、ゴミを焼却する際にも発生します。
メタンを発生させる動物として牛のゲップが有名です。しかしご安心ください。たしかに牛のゲップには比較的多くのメタンが含まれています。が、牛のみで温暖化を加速させるには至りません。そもそもこの問題は牛を個々で考えた場合にいうのではなく、人間が牛を「家畜」として大量に飼育していることに大きな要因があるように思われます。
地球温暖化が海に与える影響
地球温暖化が海に与える影響は以下の通りです。
・海水温の上昇で海水が膨張する
・北極などの氷が溶ける
・プランクトンが減少し、生き物が住めなくなる
・サンゴの白化
・海底が淀み、酸欠状態となる
温暖化の影響でプランクトンが減少にすると、サンゴの白化が進む。サンゴが白化することにより魚が住めなくなる・・・など、海の中にはこうした連鎖関係があります。そのため、海中の気温が上昇することで多くの生命に影響が出てしまうのです。
海洋汚染
海の漂流物の中には自然物(木材や植物など)の他にプラスチックがあります。しかもプラスチックの数が断トツに多い。約70%です。海洋ゴミのうち70%がプラスチックという驚愕の結果。紙や布が1%未満なのに対し、プラスチックの数は桁違いに多いです。
いま、世界の海はプラスチックで溢れています。海洋汚染にとって「プラスチック」はとりわけて深刻な問題となっています。
【海洋プラスチック問題】・・・って何だっけ?
「海洋プラスチック問題は年を追う毎に深刻な問題として迫っております」と、ニュースのアナウンサーは言います。しかしそう言われても・・・具体的にプラスチックが海に与える問題って何なの? 何のことなの? でもいまさら聞けない・・・そういう方にプラスチックが海に与える影響と事実をお伝えいたします。
まず、プラスチックの分解には時間がかかります。身近な例でいうとペットボトル。ペットボトルの分解には、なんと400年の月日が必要とされています。他にも釣り糸などで600年。いずれもかなり長期間での分解となります。
さらに
長い歳月により小さくなったプラスチック(マイクロプラスチック)は、魚や海の哺乳類の体内に入り込みます。そういう魚を私たち人間は食べているのです。プラスチック製品にはさまざまな有害となる物質が含まれていることはニュースでも報道されている通りです。
さらに
プラスチックは時に海洋生物を死に追いやります。プラスチックは海洋生物にとって「?」の存在です。つまり、彼らにとってビニール袋は得体の知れない物質なわけです。
たとえばウミガメの好物のクラゲですが・・・クラゲ・・・どこかコンビニのビニール袋に似ていませんか? そうです。まさにウミガメはビニール袋とクラゲを間違えて口にしてしまう。そうすると何が起こるか?
ひとつは消化不良です。しかも最悪の場合は腸が閉塞し、死に至ります。そうでなくとも喉にビニール袋が詰まってしまえば、それは窒息を意味します。ウミガメのお母さんは一度の出産で100個以上の卵を産みます。そうして子ガメが生まれるわけです。が、砂浜から無事に海へとたどり着く子ガメの数はごくわずか。
これは砂浜でカニや海鳥などの天敵に食べられてしまうためです。体長わずか5センチ程度のウミガメの赤ちゃん。ようやく海にたどり着けても他の天敵(マダイなど大型の魚)に食べられてしまうため、その生存率は5000匹に1匹の割合い・・・・・・。かなり低い生存率です。
やがて大人になったウミガメの天敵と言えばサメやシャチなど・・・のはずでした。それがビニール袋を呑み込んだがために呆気なく死んでしまう。これはすごく、すごく、心苦しい事実です。
他にも海鳥や海洋哺乳類(イルカなど)もビニールに興味を持ち、呑み込んでしまう。または餌と間違えて食べてしまう。そういう事故が後を絶ちません。もちろんプラスチックは体内で消化されません。
2050年には海を泳ぐ魚の数よりもプラスチックの数の方が上回ると予測されています。想像しただけでも恐ろしい光景です。
日本のプラスチック生産量は世界で5位。私たちがプラスチックを必要とすればするほど今後もプラスチックは増産され続けることでしょう。
「エコバックにエコボトルを持とう」「マイ箸を使おう」いずれも最近よく耳にする言葉です。それらは小さな行為に思えるかもしれません。ですが実際のところは大きな自然保護に繋がっているのです。出来ることからコツコツと、そういう精神は、もはや必須となってきています。
これ以上温暖化を進めないように、海の環境を守っていくようにするには抽象的なものでなく、より具体的な行動方針を明確に示すことが大切となります。そこで「SDGs」の登場です。
SDGs-「13」「14」「15」について
SDGsとは『Sustainable Development Goal(持続可能な開発目標)』の略で、これは2015年9月に「国連」により採択された国際目標です。
掲げられた項目は全部で17のゴール(目標)あります。そこからさらに細かく196のターゲットに岐れています。その中で、今回のテーマである「環境」に合わせて3つの項目を以下に提示します。
この素晴らしい17の目標が実現されることで地球の寿命が延びる。のみならず海中における環境を大きく左右することになるでしょう。
海はだれのもの?
人間はさまざまなものを求めます。生活の向上を望みます。そうして海の資源を必要以上に搾取する。それらは利益追求のためかもしれません。あるいは生活の質をあげるためでしょう。その中で多くの命が失われていることは目の伏せようのない事実です。
陸から流れ着いたごみに引っかかり窒息死する哺乳類や、魚たち。好物のクラゲと間違えてビニール袋を食べて死んでしまうウミガメ。「害獣」と呼ばれて殺されるイルカ。・・・・・・人間の理想のために命を落とすことになった海の生き物たち・・・・・・。
―― いったい海はだれのものでしょうか?
海は、人間だけのものでは無いはず。むしろ海は人間のものではありません。海の資源は本来、海中に住む彼らのものです。何億年前より海にて生活を続けてきた魚や無脊椎動物、哺乳類、植物・・・そんな彼らの海を人間が汚してしまう。
それでも
海の生き物たちは、今日もおだやかに私たちの前へ無邪気な姿で現われてくれます。私たちはいつから海の支配者となったのでしょうか。不思議です。今一度「海はだれのものか」を考えてみること。それはとても重要なことだと思います。私たちは海を守っていく必要があります。
どのようにして海の世界を守っていくのか
私たちに足りないのは「意識」です。ペットボトルのキャップを外し、口に飲料を運ぶとき、ふと思い出してみてください。「あ、これリサイクルしなきゃ」「マイボトルを買おうかな」など・・・。そういうあなたのちょっとした意識が世界をおおきく変えるのです。
しかも、そうした意識は必ず周囲に伝播します。身近な人はあなたの姿勢を見て「自分もリサイクルしよかな」と変化が起こるはずです。
地球を、海を、意識することから
「今日あなたは何度、地球のことを考えましたか?」
そういう質問に多くの人は「ゼロ」と答えるのではないでしょうか。当然といえば当然です。文明の発達した世界では日々についていくので精一杯です。「仕事のこと」「勉強のこと」「明日のこと」などなど、考えることは多岐にわたります。とても地球のことをじっくり考えている時間も、隙も、ありません。
それでも私たちは間違いなく、今日も、地球に暮らしています。
青い惑星・地球。そこには多くの生物が暮らしています。地球の7割を占める青い海。この美しい水の源を灰色にしてはいけません。私たちは毎日の生活の中で何度も何度も何度も、地球を、そして他の生物を傷つけている。それは間接的なことかしれません。しかしそういう意識(自覚)をもつことは地球の環境におおきく作用する。わたしはそう信じています。
意識をもつことから始める。それも「意識的」に「意識をする」。これは簡単そうで、とても難しいことです。いま、一人ひとりの意識が変わることの重要さが求められています。
45億6600000回
45億660万回。それは地球が公転を終えた数です。
あと地球はどれほど公転を繰り返すのでしょう? この銀河に地球は一つしかありません。
もしも地球の源である「水」が無くなったら?
人間はもちろん、他の生物も消えてしまいます。空気も水も資源も。どれも限られています。無限に存在するものなど、この地球上にはありません。こう言ってしまうと何か絶望すら感じますが、しかしこう捉えることは可能です。限られているからこそ愛が生まれる。限られているからこそ大切にしようとする意識が芽生える。
今日も海の中では驚くほどの数の生命が誕生し、また、同じく死んでいきます。陸も同じです。このことは自然の中で行られることでなくてはいけません。これ以上人間による他の生物への危害を増やさないためにも、「海のこと」そして「地球のこと」について考えてみる。いま、この瞬間から出来ることです。
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第二回目のテーマ『水中環境について』。またしても長く綴ってしまいました。最後までお読みくださいました、あなたさまへ。本日も貴重なお時間を、どうもありがとうございました。
2020 04 29