【連載】介護職員にセクシュアルマイノリティについて知っておいて欲しいこと 【#1 初めに】
この度、NOTEで【介護職員に知ってもらいたいセクシュアルマイノリティ】という連載記事始めます。
初回の今日は、この連載を始めるに至った経緯をお話ししようと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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僕がセクシュアルマイノリティ×福祉に関する活動を始めたのは10年前。20歳の時。
当時僕は介護福祉士の養成校にかよい、介護施設であくせくしながら実習を受けていました。
実習記録、介護計画に追われるなかでふと、青とピンクで男女分けされた名札や男女で明確な差のある贈り物(クリスマスプレゼントだったかな)
「結婚はしなかったんですか?」「綺麗なおねぇちゃんがお風呂入れてくれますよ」という会話が気になりました。
やっと周囲にカミングアウトをし、ネットだけでなくリアルでトランスジェンダーの友達ができたことで、自分を受け入れられることの嬉しさや、偽らずにすごせる快適さを感じ始めていた、その矢先の「違和感」
「自分が高齢になったり、障害を負って誰かのケアを受けるとなったら、また自分を偽って生きるのか…。」
長く生きることは苦しみに向かうこと…それは「絶望」だなぁと。
その絶望を、僕に希望をくれた先輩たちにも味わせることになると思うとやるせなかったですね。
それでいいのか?何もしないままでいつか後悔しないか?
自問自答の末、まずは同じ介護や医療職のセクシュアルマイノリティ当事者と繋がろう!と飲み会を企画しました。
23名の参加者はそれぞれ、介護・看護・リハ・医療・相談などの場で働いており、専門的なことを色々と聞くことができ
とても充実した会になった。ただみんな口を揃えて「現場に理解はないよ」「いないものとされてるよ」と言ってましたね。
だったら。これだけ当事者の専門職がいるなら。何か活動をして介護業界に知ってもらうことができるのではないかと思い
任意団体として「Startline. net(スタートラインドットネット)」を立ち上げました。
講演やイベント、交流会を通し様々な専門職にセクシュアルマイノリティに対しての知識を広め
当事者には介護サービス利用に関する知識や窓口を伝えようとゆるゆると活動を続けています。
ここまでの活動は、先輩当事者や人権意識の高い介護現場の人たち、うちの団体を見つけてくれた人たちのおかげです。
本当に感謝してもしきれません。
さて。現在の社会はセクシュアルマイノリティに対しての知識や理解も進み
パートナーシップ制度や制服の自由選択など当事者が暮らしやすいものになってきたと思います。
ですが、介護業界はまだまだまだまだ!セクシュアリティや性のあり方についての知識や理解がないと思っています。
サービス付き高齢者向け住宅に「同性同士のカップルも2人入居できますか?」と聞いても
訪問介護事業所に「トランスジェンダーの人ですが同性介護で対応できますか?」と聞いても
「前例がないので無理です」
と言われてしまいます。
前例なんて、誰かが一歩目を踏み出さない限り一生できないんだよと思いながら
当事者の人も「やっぱダメですよね」と諦めること前提で申し訳なさそうにしているのを見るしかない。
食い下がっても「無理」と言われてしまうのは、もう終わりにしたいなと思います。
さあ介護職の皆様。
一緒に「前例」作りませんか?
この連載が少しでも、誰かの役に立ったらいいなと思います!
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