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再生医療等提供計画の提出(概要)

今回は、再生医療等提供計画の提出の概要について解説いたします。


再生医療等提供計画とは

再生医療等安全性確保法第4条により、以下のとおり再生医療等提供計画の提出について定められています。

第四条  再生医療等を提供しようとする病院又は診療所(医療法第五条第一項 に規定する医師又は歯科医師の住所を含む。第三号を除き、以下同じ。)の管理者(同項 に規定する医師又は歯科医師を含む。以下この章及び次章において同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、第一種再生医療等、第二種再生医療等及び第三種再生医療等のそれぞれにつき厚生労働省令で定める再生医療等の区分ごとに、次に掲げる事項(第二号に掲げる再生医療等が第三種再生医療等である場合にあっては、第三号に掲げる事項を除く。)を記載した再生医療等の提供に関する計画(以下「再生医療等提供計画」という。)を厚生労働大臣に提出しなければならない。

再生医療等安全性確保法

再生医療等提供計画の提出は、再生医療等を行おうとする医療機関が行わなければならない手続きで、再生医療等に関する行政書士業務としてはメインとなるものです。
再生医療等を行おうとする医療機関の管理者は、再生医療等の区分ごとに再生医療等提供計画を作成し、厚生労働大臣(第2種、第3種は地方厚生局長)に提出する必要があります。
なお、間違われやすい点として、再生医療等提供計画を提出しないといけないのは医療機関の管理者であり、法人が開設している場合でも法人の代表者(医療法人の理事長や一般社団法人の代表理事等)ではありません。

再生医療等提供計画の提出についてポイントとなるのは「再生医療等の区分」です。
再生医療等提供計画は「厚生労働省令で定める再生医療等の区分ごと」に提出しなければならないこととされており、厚生労働省令(施行規則)では「法第四条第一項 の厚生労働省令で定める再生医療等の区分は、再生医療等技術の区分とする。」と規定されています。
さらに、施行規則の取り扱いを示した課長通知では「「再生医療等の区分」は、細胞加工物の加工の工程及び投与方法が同じか否かによって判断されるものであること。」とされています。
つまり、細胞加工物の加工の工程が異なる場合や、投与方法が異なる場合は「再生医療等の区分」が異なると判断され、別々に再生医療等提供計画を提出する必要があるということです。
注意点として、同じ方法(例えば局所注射)で投与する場合でも、投与する部位の構造が異なる場合は「投与方法」が異なると判断されるということがあります。例えば、多血小板血漿(PRP)を注射により投与する場合でも、顔面に投与する場合と頭皮に投与する場合では投与方法が異なると判断され、別々の計画を提出する必要があります。
こちらに関しては、最終的には厚生労働省(または地方厚生局)の担当者により判断されることになりますので、勝手に判断せずに都度確認することが重要となります。

再生医療等提供計画提出の流れ

再生医療等提供計画提出の流れ

再生医療等提供計画提出の流れはこちらの図のようになっています。
再生医療等提供計画を作成してもいきなり厚生労働省(又は地方厚生局)に提出できるわけではなく、(特定)認定再生医療等委員会による審査を受けてから出なければ厚生労働省(又は地方厚生局)に提出することができません。
行おうとしている再生医療等が基準に適合しているかの確認は委員会による審査によって確認され、厚生労働省(又は地方厚生局)は形式的な確認のみを行うという建て付けになっています。

分類ごとの手続きの違い

分類ごとの手続きの違い

前回の記事で解説したとおり、再生医療等技術には第1種〜第3種までの分類がありますが、分類ごとの手続きの違いは上の図のようになっています。
リスクが低く手続きの難易度が低い方から順に説明すると、第3種については認定再生医療等委員会(第3種のみ審査できる委員会)による審査でもよく、地方厚生局長に提出すれば直ちに治療の開始が可能となります。
第2種の場合は、特定認定再生医療等委員会と呼ばれる設立や運営の要件が厳しい委員会の審査を受ける必要があります。
第1種の場合は、特定認定再生医療等委員会による審査が必要で、さらに厚生労働大臣に提出した後も90日間は治療を実施することができません。提供が制限される90日間の間に厚生労働省の再生医療等評価部会による審査が行われ、適切であると判断されたら治療の提供が可能となります。

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