【第20回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(後編)
「法規でないガイダンス」は利用される。
前回の内容を踏まえた上で「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について少し検証させていただきます。
はっきり言って今回のガイダンスの内容通りの製造・品質管理をやると思ったらかなりハードルは高いです。
巷に出回っているよくわからない業者が出来るような内容ではありませんし、特定細胞加工物製造施設の許可を取得している業者でもかなりコストがかかる内容です。
(内容は確かにごもっともですが、この内容だとエクソソームは安全ではないと言ってるようなものですが、まぁここでは触れないでおきます)
ただし、「ガイダンスの内容通りの施設であればエクソソームの質を担保できるか」となるとこれは別の話です。
エクソソームを製造する設備は整っているのかもしれません。
しかしその施設にはどのような製造能力があり、管理能力があるのかを調べる手段はなく、調査もないのです。
「規制もない、罰則もない」こんな状態では「日本再生医療学会=厚生労働省が認めた安全な治療」と称して悪質な宣伝をする業者を止めることはできないでしょう。
日本再生医療学会=厚生労働省がこのような内容を法規の外で世の中に発信するのか、その目的は残念ながら不明です。
今回の発表のように、「厚生労働省が日本再生医療学会に頼ってるような構図」は将来的に公平性を欠くものになるかもしれません。
厚生労働省はもう少し幅広い情報や意見を現場重視で対応すべきだと当機構は考えます。
具体的には再生医療の現場に焦点を当てていただき、こういった事態をさらに悪化させる可能性もあるのではないか?と配慮が必要かと。
新技術の関連法規を整えることは確かに大変です。しかし同時に、責任も伴う国の大事な仕事のはずです。
再生医療という可能性にあふれた素晴らしい技術をどのような方向に導くかはある意味では国次第という所もありますからね。
読者の皆様も今回の発表を通して是非一考してみてください。