一般社団法人 再生医療安全推進機構 公式ブログ「再生医療相談室」

本ブログでは再生医療の現状及び法律等の正しい情報を提供し、医師や患者様が再生医療を判断をするうえで有益な情報をお届けします。 著書「再生医療の死角」2023年11月17日Amazonで販売開始  予約購入受付中 https://onl.bz/tUCusZc

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最近の記事

【第23回】 再生医療の信頼崩壊 〜コージンバイオ株式会社の管理の杜撰さが招いた波紋〜

事故の概要今回の問題は、医療法人輝鳳会が所有する池袋のCPC(細胞加工センター)で細胞加工した細胞がコンタミネーションを起こし、同医療法人のTHE K CLINICにて患者に静脈投与し2人が感染症による重い症状で入院したという事案です。 被害者は、中国から日本の再生医療を目的に来日した患者です。この事故により、日本の再生医療に対する信頼が国際的に揺るがされる事態となっています。 施設と企業の問題点事故が起きた細胞を加工したのは、池袋のCPCで、医療法人輝鳳会が所有する施設

    • 【第22回】 「ロート製薬(細胞)」と「医療機関(治療)」と「特定認定再生医療等委員会」

      今回は、「第21回」で書いた内容の「本質の問題点」及び「危険性」について、少し専門的に書いていこうと思います。 「特定認定再生医療等委員会」とは? ネットで調べてみると… よく使われている下記の図(※参考資料①)しか出てきません。 今回の話は、上記(参考資料①)内の「第2種再生医療等」の内容に該当します。 「再生医療等の提供」までのプロセスでいうと、下記の図(※参考資料②)の通りとなります。 「再生医療(幹細胞治療)」は、このプロセスを経て医療機関で提供されることに

      • 【第21回】 「再生医療後に一時視力障害!ロート製造細胞、注意喚起」 ロート製薬の製造した細胞で患者の視力障害が発生したという最近のニュースについて

        ロート製薬が作った脂肪由来の幹細胞を使った治療で患者に視力障害が起きたというニュースが話題になっています。 各ニュースメディアでは「視力障害は出たがいずれも一時的なもので、すでに全員回復した」という形であまり事態を深刻に捉えていない印象の記載が多いですが、当機構では今回の事故を、杜撰な管理を行う企業・医療機関の問題が明るみに出る結果と重く捉えております。 以下詳細を解説します。 【事故の概要】 2023年11月から2024年3月にかけて、東京のルネスクリニックにて更年期

        • 【第20回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(後編)

          「法規でないガイダンス」は利用される。 前回の内容を踏まえた上で「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について少し検証させていただきます。 はっきり言って今回のガイダンスの内容通りの製造・品質管理をやると思ったらかなりハードルは高いです。 巷に出回っているよくわからない業者が出来るような内容ではありませんし、特定細胞加工物製造施設の許可を取得している業者でもかなりコストがかかる内容です。 (内容は確かにごもっともですが、この内容だとエクソソームは安全ではないと言

          【第19回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(前編)

          2024年4月30日予定通りに日本再生医療学会が声明・ガイドライン等として「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」を発表しました。 (出展:https://www.jsrm.jp/news/news-14993/) エクソソームや上清液の問題点その他の話はこのブログで散々書いてきたので割愛させていただきます。 まず第一に今回の発表では、 ・エクソソーム治療は今後対象となる分野・疾患の範囲が多岐にわたる可能性を秘めた分野である ・一方で現在までエクソソームを有効成分

          【第19回】 日本再生医療学会が出した「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス」について(前編)

          【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

          2024年1月17日(令和6年1月17日)厚生科学審議会(再生医療等評価部会)において 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて」(https://x.gd/9jKXw) 上記の資料が作成された。 正味な話、細胞加工物を用いない遺伝子治療でin vivo遺伝子治療が再生医療法規制に入ってくるというもの以外大きな話はない。 このin vivo遺伝子治療の件も随分前から、ほぼ決まっていたような話である。 毎度・毎度だが再生医療の業界を良くしようと思っている

          【第18回】 再生医療等の安全性の確保等に関する法律の見直しについて

          【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

          令和5年10月11日に「再生医療抗加齢学会」より 幹細胞培養上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております。幹細胞培養上清液及びエクソソームの静脈投与につきましては、医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします。また、現時点では他家由来幹細胞培養上清液及びエクソソームに関して、医薬品医療機器等法の承認を取得した製品は存在しないことから、試薬等として流通しているものを医師

          【第17回】 「遅かった・・・、残念で仕方ない」

          【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

          これまでは、あたかも再生医療を再生医療等安全確保法の観点から意見を書いて来ましたが、今回は「薬機法」の観点から書いてみようと思う。 そもそも○○由来エクソソーム・○○由来上清液は、承認薬なの?って話からすると、答えは承認薬ではありません つまりは、未承認薬です。 未承認薬(無承認無許可医薬品)とは、 日本の医薬品医療機器等法に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされてないものをいいます。 健康被害を生じるおそれがあり不衛生な場所や方法で製造されている恐れが高く有害な不純物当

          【第16回】「エクソソーム・上清液の治療は、そもそも・・・?」

          【第15回】「あたかも再生医療」の問題点③

          エクソソーム及び上清液は、「どこで製造され」「どこが販売し」、「どういう医療機関で治療として提供されているの?」 通常、あたかも再生医療ではなく「再生医療等安全性確保法」内で行われる幹細胞治療で用いられる細胞は、 ①「特定細胞加工施設許可業」を取得した企業 ②院内(クリニック内)に併設された細胞加工施設届の出された医療機関 でのみ、細胞を加工し治療として提供できます。 しかも、再生医療等委員会に治療を行いたい医療機関が、実施計画(提供計画書)の審査を依頼し、該当委員会よ

          【第14回】「あたかも再生医療」の問題点②

          「あたかも再生医療」の問題点②では、「安全性」について。。。 何度も言うが、「上清液」及び「エクソソーム」は再生医療等の安全性の確保等に関する法律の定める審査の過程を得ていない、ある意味「訳の分からない治療」である。 と、、、文句ばかり書いても仕方ないので、少し論理だてた話を書きましょう。 これは私自身の見解でもあり、多くの研究者の意見でもあるので、ちょっと難しい内容であったらすいません。 まず、厚労省のHPの中で「再生医療等安全性確保法5年後の見直しの検討に係る中間整

          【第13回】「あたかも再生医療」の問題点①

          第12回で話したように 「幹細胞上清液治療」と「エクソソーム治療」は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全確保法)」外の治療であり、巷の自費診療を行っている医師や業者間では、グレーだけど黒ではないから大丈夫と自己都合の塊から儲け主義の行動として局所投与や静脈投与を行っている。 売れたらいいのか?人気だったらやる!それが日本の医療だと思われたくないが、タレント医師のような発信(SNS)を集客方法として行っている医療機関の大半は、「倫理」も「医療法」も「再生医療

          【第12回】「あたかも再生医療」って?

          第10回に書いたのですが 医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど、私が見る限り問題がかなりあるのが現状です。 これを書いた2022年5月からこの内容は悪化の一途をばく進しております。 理由はSNSの普及と共に増えた、「自費クリニック医師」のSNSでの宣伝広告を目的とした過度の露出が1番の理由かなぁ~(正直、安全性だの倫理だの法律だの全く理解してない医師ばかりがやっていると個人的には

          【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

          脂肪由来幹細胞をA D S C ・Adipose Derived Stem Cell 脂肪由来再生細胞をADRC・Adipose Derived Regenerative Cellといい、今回はこのADSCとADRCの ”中身” の違いについて議論したいと思います。 ADSCは脂肪組織に含まれる幹細胞で、下腹部周辺を5ミリほど切開し、脂肪(米粒2粒程度)を採取した脂肪組織から得ることができます。 (脂肪吸引器にて100g〜400gと大量の脂肪を採取する方法もあります)

          【第11回】培養細胞と非培養細胞(脂肪由来幹細胞)の違いと問題点

          【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

          現在受けられる再生医療 これが案外沢山の疾患に対し治療が行えているんだけど皆さんご存知ですか? ただし、ただし、なんですが ここに記載されている医療機関ですら完全に安心か? と言うと疑問ばかりになってしまします。 その原因として、 医療の広告規制や消費者のガイドラインに違反している医療機関の方が多いことや、他の怪しい(あたかも再生医療)広告をしていることなどなど 私の見るがぎり問題が、かなりあるのが現状です。 治療方法にも問題があったりと、 一般の方には正直、善悪わから

          【第10回】患者様や医療機関が求めている再生医療ってなに?その2「現在受けられる再生医療(幹細胞治療の現在)」

          【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

          では前回までステミラック注の話をしてきたので、脊髄損傷・脳梗塞の患者さんとのお話を・・・ 脊髄損傷・脳梗塞後の機能障害等、症状状態は様々ではありますが、私が接してきた患者さんは長年、車椅子の方が再生医療・幹細胞治療を行ったからと言って「いきなり立ち上がって歩き出す走れる」なんて思ってもいませんし、そんな期待はしてないんですよね〜 勘違いしないでくださいね。期待してないわけではないんです。 期待している内容が違うんです。 例えば、脊髄損傷の胸損の患者さんの多くの悩みは、

          【第9回】患者様や医療機関が求める再生医療ってなに?その1「患者さんの希望する再生医療とは」

          【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3

          ステミラック注は第2種再生医療で、病院やクリニックで行われている間葉系幹細胞の治療とは違います。 なお、現在「ステミラック注」を使った治療を実施しているのは札幌医大さんだけです。 では、何が違うのか? 1番は、保険適用か自費診療かが大きな違いです。 つまりは患者様負担が保険適用なら約8万円、 自費診療なら150万円から300万円(クリニックによって異なりますが) になります。 2番は、治療の適用範囲です。 ステミラック注は急性期のみが対象で、第2種再生医療で行っている

          【第8回】再生医療等製品ステミラック注とは?その3