スクールカウンセラーが産休を取った話

公立学校のスクールカウンセラー(以下、SC)をしています。

2020年度より会計年度任用職員になり、産休等の制度が整いました。

初年度で産休を取ったため、SCの方々の参考になればなと思い体験談を残しておきたいと思います。制度や手続きのことがメインなので、引き継ぎやケースについては書いていません。

※手っ取り早く流れについて知りたいと思う方は、2だけを読んでください!

1.SCの産休制度

都SCで認められている休暇は、年次有給休暇、特別休暇、その他の休暇、休業制度の4つになります。

その中で、産休は、特別休暇の一つです。ちなみに、特別休暇は以下の通りです。

公民権行使等休暇(有給)、妊娠出産休暇(無給)、母子保健健診休暇(無給)、妊婦通勤時間(無給)、育児時間(無給)、生理休暇(無給)、慶弔休暇(有給)

妊娠出産休暇の取得期間は以下の通りです

【取得期間】出産予定日を基準日とし、少なくとも産前6週間・産後8週間の計14週間、最大16週間後取得可能。※産休取得中は、代替のSCが派遣される

育児休業は対象外になります。そのため、産休はとれるけれど、育休はとれません。

これらを規定しているのは、「東京都公立学校会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則 第17条」および「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則 第18条」

東京都公立学校会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則第十七条 妊娠出産休暇については、規則第十八条の規定を準用する。(http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004567.html#e000000308より)
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則 第十八条 妊娠出産休暇は、女性職員に対し、その妊娠中及び出産後を通じて十六週間(多胎妊娠の場合にあっては、二十四週間)以内の引き続く休養として与える休暇とする。ただし、出産が出産予定日後となった場合で、妊娠中に八週間(多胎妊娠の場合にあっては、十六週間)を超えて休養することがやむを得ないと認められるときは、十六週間(多胎妊娠の場合にあっては、二十四週間)にその超えた日数に相当する日数を加えた期間の引き続く休養として与える休暇とする。(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/static/reiki_int/reiki_honbun/g170RG00001960.html#e000001154より一部抜粋)

また、会計年度任用職員に設置要綱にも規定があります。東京都の場合は東京都公立学校会計年度任用職員設置要綱「妊娠出産休暇及び育児休業に伴う代替の非常勤職員の任用(第19条)」です。

東京都教育委員会は、公立学校会計年度任用職員勤務時間規則第17条及び職員の育児休業等に関する条例施行規則(平成4年東京都規則第35号)第2条の規定により請求があった場合において、当該請求に係る期間について職員の配置換えその他の方法によって当該請求をした公立学校会計年度任用職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、当該業務を処理するため、当該請求に係る期間を人気の限度として代替の会計年度任用職員を任用することができる。東京都公立学校会計年度任用職員設置要綱「妊娠出産休暇及び育児休業に伴う代替の非常勤職員の任用(第19条)」より

2.私が産休を取るまでの流れ

産休までの流れは難しいことはありません。下記の流れです。

①産休取得希望を、学校長及び市区町村の教育委員会に伝える

②学校とSCで期間を決定する

③妊娠出産休暇届出書と休暇簿、母子手帳の写しの提出

④代替SCの決定

私の実際の流れはとてもグタグタしていたものでした。全員が初めての制度ですので、皆慣れておらずあたふたしていた印象です。令和2年度より始まった制度のため、具体例が少なく手続き方法等は確定していない部分があると担当の方も話していました。そのため、誰かに共有しようと思いこのnoteを書いています。少しでも参考にしてほしいです。

さて、実際に私がどんな流れだったかというと、任用者の手引きには「取得希望者は学校長に申し出ること」と記述がありました。そのため、妊娠五か月になる頃に妊娠したこと、産休を取りたい旨を管理職に伝えました。私の場合は夏休み明けです。

管理職といつ頃取りたいのかという日程、復帰はどうするのか等を話をしました。3月出産予定だったため、1月頃から取りたい希望を伝えました。管理職の先生はまず産休があるかどうかを知らないので、「今年度からできた制度でとりたい」「詳しい話は正直私もわかりません」と話をしていました。

管理職の方で次の方はだれがいいのか等々心当たりを探している様子でしたが、具体的に話が進むことなく…みんな気にしながらも過ごしている状態でした。

その後、10月頃、別の雇用で確認したいことがあり、当該地域の教育委員会に妊娠したこと等をお話しました。恐らくここで初めて教育委員会の方まで話がいったと思います。そのため、管理職に伝えた同時期に管轄の教育員会にも連絡することをお勧めします。

電話後に管轄の教育委員会の担当の方が制度を確認し(電話しなかったらどうなっていたのか、今でもゾッとします)、都SCの休暇等についての参考資料が学校に送られ、ようやく事務手続き等についての話が進みました。

①学校とSCで取得期間、代替SC勤務回数、希望曜日を確認

②妊娠出産休暇届出書と休暇簿を作成し、市区町村を通じて都教委へ提出

③都教委で代替SCを調整し学校へ通知

という流れでした。しかし、書類等が届いたのは10月末、都教委に書類が届いたのちに代替SCの調整という形になるため、なるべく早く書類を提出しました。書類の不備等で書き直し等もあったため、私が産休に入るまでに代替SCが誰かは定かではなく産休に入る形になりました。「次の人が来ると思われる」という仮定でした動けず、ケースの方に十分に引き継げなかったのは心残りです。また、もっと早く動けなかったのかなーと自分と制度上の困難さを感じます。

また、私の場合は、規定上は産前8週、産後8週のため、1月も数回勤務しなければいけないはずでした。しかし、学校のご厚意と3学期よりSC交代という方がいいだろうという判断で何回か年休を使うことで1月より産休という形にしていただきました。(学校のSC派遣回数はその分減ります。快く提案していただいた担当の方と快諾してくださった管理職の先生方にはとても感謝しています。)

3.その他の出産にまつわる休暇

さて、その他の妊娠出産にまつわる休暇ですが、先述したように①母子保健健診休暇(無給)、②妊婦通勤時間(無給)、③育児時間(無給)の3つあります。

これらもそれぞれ時間が規定されており、休暇としてとれます。

ただし、無給です。

その上、学校では勤務したとみなされるため勤務時間は減ります。

そのため,SCは給料が減る学校はSCの勤務時間が減ると誰も得をしない制度です。

4.制度に関して思うところ

正直、つかいにくい!

育休もないので、産後に復帰するしかありません。しかし、産後2か月で自分が復帰できるかどうかなんてわかりませんよね?

管理職からも「復帰どうするのか」と話をされました。通勤が楽な勤務校があったため、「もし体調に余裕があったら復帰したい」と話をしたが、管理職はいい顔をしませんでした。養護教諭の先生や担任の先生方は「戻ってきてほしい」と言ってくださいましたが、出産経験のある方に育休がないことを伝えると「身体的に難しいかもね」という反応でした。

私もそう思います。肥立ちなんてわかりませんし、無事に生まれるかもわかりません…。

また、年度をまたいでとることになるため、ある管理職からは「4月にSCがいないのは学校経営的には迷惑、5月でSCが交代するっていうのも望ましくない」と言われました。続けるのは構わないけれど、遠回しにうちの学校では復帰しないでほしいといわれました。

デリカシーのなさは感じますが、管理職の発言の意図はわかります。何より「出産は何があるかわからないから産後に無理な予定は入れないほうがいい」「何かあったらあなた自身も学校も大変」という旨のことも話をされ、そうだなと納得感があったのと学校運営的にも仕方がないと思っています。

そのため、やっぱりこの制度が使いにくいと思います。

育休もセットにするのは雇用上難しいと思いますが、とりやすい制度かと言われると、産休をとらずに退職するのとさほど変わらないですね。

そのほかの休暇に関しても、母子保健健診休暇を取るくらいならば年休を取りますし、使いにくい制度だと思います。

それでもなんで産休取ったの?と聞かれると、経歴的に退職にならないからです。任期はまっとうした扱いになります。そして、何より産休という制度がせっかくできたなら使いたかったし、雇用を失いたくなかったからです。

ちなみに、現在復帰に関しては宙ぶらりんの状態です。同じ学校での復帰はなさそうかなー。一校は「戻ってきてください」と言ってくれましたが、通勤が厳しいです。もう一校は「迷惑」と言われたので復帰を考えていません。

また、その話が決まったらnoteでも書きたいと思っています。

ここまで読んでくださった人ありがとうございました。

誰かの参考になれば幸いです。

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