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『中央駅』を読んだ皆様の声②

 11月12日に発売した、韓国文学『中央駅』。
 『娘について』(亜紀書房)のキム・ヘジンの長編小説である本作品は、路上生活者の男女の愛を描いた小説です。貧困や格差の果てに路上という空間に押し込められた人間が、もはや何もかも失った先で「愛」をどう表現するのか、それは本当に「愛」と呼べるものなのか、悩み、もがきながら、丸裸にされた自分自身と向き合い葛藤し続ける作品です。

 大変ありがたいことに、本作について「本が好き!」ご利用の皆様からにてご感想をいただきましたのでご紹介いたします。他の本でもレビューをいただいたりしている大変素敵なサイトなのでもしよければどうぞ。
(※レビューは許可をいただいて掲載しています)

「ぴょんはま」さん
読者はともすれば、上から目線で読んでしまうのだが、誰かに手を差し伸べるときには、その人の人生は誰でもないその人のものであることを肝に銘じなければなるまい。
人間を知り、人間として豊かになることは、読書のひとつの醍醐味だと思う。
敬遠されやすい素材であるが、読むに値する本としてお勧めする。
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「星落秋風五丈原」さん
金を得ては泥酔し、簡単に金を盗まれる主人公を情けないと一刀両断するのは簡単だが、だからといって、主人公がいざその気になったとしても、簡単に蜘蛛の糸が垂らされてくるような世の中ではない。失望の記憶が諦念に変わり、やる気を削いでいくまでの時間は、そう長くはかからない。そんな主人公たち打ち捨てられる者の心には、空港への直通列車が走る新駅やモニュメントと化した旧駅ではなく、"がっちりと抱え込む闇"しか見えなくなる。
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「みやこ」さん
【近くて遠い、人々の暮らし】
夜が更けると、ある人々が都心の古い駅舎の広場に集まってくる。若くして路上生活者となった男もそのひとり。彼は横たわる膨大な時間を持て余し、睡眠とアルコールによってそれをじりじりと溶かしていく。本書は彼や、他の路上生活者が感じる時間の長さへの描写が印象的である。彼は孤独や悲しみを一時的に追いやるために、国や市から貰った支援金や援助を屋根のある暮らしではなく、酒に替えてしまう人々を哀れみながら、同時に年老いた、残りの時間が少ない彼らを羨む気持ちを持つ。
マイノリティであるはずの「路上生活者」は誰もがなりうる存在であり、その価値観は程遠いものでないことが感じられる。
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「千世」さん
未来のない彼らの人生はあまりに切なく、読み終えたときは心が重苦しくなりました。当たり前の、普通の支援を受け入れることを拒否する彼らに、社会はいったい何ができるというのでしょう。そして「彼ら」のような人々が生み出すこの底辺の社会は、私たちが生きる都市にも、間違いなく存在するのです。その事実をどう受け止めればいいのでしょう。
路上生活者たちの生きざまを、ただ淡々と綴りながら、これだけの重いテーマを読者に投げかける、作品の力に感服しました。
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「かもめ通信」さん
路上で暮らす人々の物語は読んでいてしんどくないと言ったら嘘になる。お腹のあたりにズシンと響くが、それでもやはり読んで良かったと心から思える佳作であることは間違いない。
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皆様、ご感想ありがとうございます。手にとっていただいたのがうれしくて、ナカノヒトは泣いています。

手前味噌で恐縮ですが、とてもいい本なので、是非手に取っていただければ幸いです。

『中央駅』(キム・ヘジン 著, 生田美保 訳)
定価:1,500円 + 税

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