見出し画像

パリとアート 2021/10/27 – a letter from Paris

このブログは2021/10/27に掲載したhttps://sainthonore.info/blog/2021102753961より転載しているため、noteの投稿日とのズレが生じています。

10月のパリ

パリの街に枯葉が舞い、コートを羽織る季節になると、芸術・アートが本格的に活気づいてきます。
一年で一番アート界が盛り上がるパリの10月。

去年 中止になったアートフェアFIACも、今年はエッフェル塔の側に造られた「グラン・パレ・エフェメール」に場所を移して開催されます。
有名アーティストは勿論、若手、新人アーティスト発掘の場となり、世界中からコレクターが集まってくるので、会場以外のアートギャラリーでも、お宝コレクションを展示して見応えのあるショーウインドウになり、パリの街が巨大な美術館になったみたいでワクワクします。

パリには、ルーヴル美術館をはじめ、有名な作品を所有する美術館が沢山ありますが、ひっそりと密かな雰囲気で佇む美術館もあるんです。

四年間の改修工事を終えて再オープンした マレ地区のミュゼ・ド・カルナヴァレ(カルナヴァレ美術館)。

ここは私のお気に入りの場所。

悲惨なニュースや人の乱暴な振舞い、何気ない言葉に傷ついて心が沈んだり、疲れたなと感じた時にふらりと立ち寄る秘密の隠れ家のようなところなので、閉まっている間は寂しくて、今日は恋人に再び会えた気分(笑)

晩秋の淡い光と花に包まれた中庭で一休みしていると、心が穏やかになってくるのを感じます。

たった半刻でもふらりと寄れるのは、ここが無料だから。他にもビクトゥール・ユゴー美術館やプチ・パレ美術館など、パリ市所有の無料の美術館、「パリ・ミュゼ」は、沢山あるんですよ。

「お金が無くても、美術館に行ける」フランスの芸術文化の底力を感じて、とても誇りに思います。

「あの展示会良かったよ」とか、「来週からあの写真展が始まるわよ」等の情報交換は、新しいビストロの話でもするかのように日常的な事で、家に絵が飾ってあるというのも特別な事ではありません。
値段とか有名とか関係なく、自分が「好き」と思うアートを側に置いて暮らすのです。

フランス語に「ART DE VIVRE」アール・ド・ヴィーヴル、暮らしの芸術、生活美学という言葉があるくらい、暮らしはアートと隣合わせ。
お皿やフォークだって ART DE VIVREの一部、ファッションと同じで、自分を表現するもののひとつです。

ART DE VIVRE

考えてみれば私達は小学生の頃から課外授業で、先生に連れられて半日を美術館で過ごし芸術に触れています。
ルーヴルの「モナリザ」の絵の前で 皆で床に座って画用紙に描いたモナリザは、ピカソ風な出来映えで(笑)、今でも私の宝物。

ボードレールやヴェルレーヌの詩を暗唱する宿題も多いせいか、フランスには詩が好きな人も多いです。
詩の好きな人が集うカフェもあって、突然 お客さんがテーブルの上に立ち、朗々と自作の詩を披露し拍手喝采を浴びるなんて事もパリならではの風景です。

美術館を出ると感性が元気になり、街の落書き、放って置かれた自転車など、目に入るもの全てが素敵なアートに見えてきて、何処までも歩いて行きたい気分になってきました。

いいなと思ったら応援しよう!