文楽観劇デビュー
先日、文楽を初めて観劇した。きっかけは以下の展覧会。
日本のいろんな伝統芸能の成り立ちや実際に使われている道具、舞台などを実際に見ることができて、めちゃくちゃ内容が濃かった。
※東京国立博物館で3月半ばまで開催中なので、こちらの展覧会もおすすめ。
どの伝統芸能の展示も興味深く見ていたのだけど、その中でも文楽の映像を観て、その細やかな感情表現とダイナミックな動きにひたすら驚いた。
だって!人形遣いの方が宙を舞うなんて思ってもみなかった!
更には繊細に作られた衣装や、細やかな表現を可能にする人形の造りなどを見て、ぜひとも生で観たいと思い、今回足を運んだという訳だ。
今回観劇したのは国立劇場での公演で、演目は加賀見山旧錦絵。
あらすじの予習を忘れており、直前にパンフレットで確認したところ、どうやら岩藤という登場人物がとにかく欲深く、草履で人を叩くなど気性が荒いことが分かった。分かりやすく悪役で、要チェックの人物だ(詳細はぜひとも皆さま検索してみていただきたい)。
そしていざ開演。
国立劇場では、舞台の左右に唄の歌詞(という言い方であっているのだろうか?)が表示されている。太夫(語り手)の方が語る内容が分かりやすく、初心者にもありがたいと感じた。
先述の展覧会では人形や人形遣いの方の印象が強かったのだが、太夫の方の語りや三味線の音がこれまた激しく、迫力が物凄い。
もちろん人形の仕草や立ち回りも素晴らしく、人形遣いの方3人がかりで(人形によっては1人の場合も)1体の人形に命を吹き込んでいると強く感じた。敵討ちのシーンなどは舞台中を右に左に動きまわり、人形たちの髪も振り乱れる緊迫感。どうやってあんな風な繊細で大胆な動きができるのだろう……映像で見たときよりも勢いや感情が本当に伝わるお芝居だった。
ちなみに、予習したとおり岩藤はとんでもない奴であった。そこまで言う!?と思わず驚くような台詞もあるし、すぐにカッとなってヒートアップする。まるでラップのように言葉を畳み掛けて相手を罵倒していた。廊下で自分の立ち話を耳にして、何でそんな噂話してるんだ!と怒り出し、蹴りまくる。な、なんて奴だ……。
文楽、初めて観たけどすごく面白かった。ハードルが高いもののように思えていたけど、ストーリーや登場人物も馴染みやすかったし、そして舞台全体を使った躍動感のある動き!実際に観る前とガラリと印象が変わった。また他の作品も観てみたいと思う。
初めてのジャンルのものに触れることは、それが本でも音楽でもアートでも舞台でも、やはり面白い。次は何を観ようかな。