古典から人材登用を考える
最近、プロ野球の試合を観ることは
めっきり少なくなりましたが、
ファミコン世代(ファミスタ、燃えプロ)に
印象深い選手のYouTube動画をよく観ます。
(若い世代には燃えプロの
「バントホームラン」など理不尽な設定は
わからないと思いますが・・・)
ヤクルト~巨人~阪神で活躍した広澤克実さんが
リーダー(監督)の条件を
中国の古典の内容になぞらえて
動画で話されていたので調べてみました。
(広澤さんは意外に理論派なので
バッティング解説など面白いです)
元々は京セラの稲盛和夫さんが
その古典に感銘を受けた話です。
北宋の司馬光が書いた『資治通鑑』に
その内容が記載されています。
日本史でいうと、
現在大河ドラマ『光る君』でも
クローズアップされている
藤原道長の死後~源平の争いが始まる前の
平安時代の頃の作品です。
内容ですが、
人間の能力を「才」、
人間性を「徳」とした場合、
「才」も「徳」もある人は「聖人」
「徳」が「才」に勝る人は「君子」
「才」が「徳」に勝る人は「小人」
「才」も「徳」もない人は「愚人」
に分けられる。
この中で一番リーダーにしてはダメなのは、
「小人」です。
「小人」をリーダーにするぐらいなら
「愚人」をリーダーにすべきというのが
『資治通鑑』での格言です。
昨日、とある中小企業の経営者と話をしていて、
中途採用についても
未経験者しか採用しないと話されていて、
この『資治通鑑』の話を思い出しました。
「人材不足の中、
経験者は即戦力として短期的には貢献するが、
経験がある職人は自分のやり方に固執して、
周りの意見に耳をかたむけず、
長期的に見ると会社全体の士気や
パフォーマンスを下げてしまう。」
どの業界でも少なからず当てはまると思います。
自分自身も
自社の採用にもちろん携わっていますが、
最近は面接ではなく、
実際に現場体験を最終試験にしています。
現場に入ってもらって、
定量的な能力の評価
(できる・できないの尺度)ではなく、
現社員とのコミュニケーションや
仲間への気遣いなど目に見えにくい貢献価値が
どれほどあるかを見ています。
それを自分が判断するのではなく、
採用の可否を社員にある程度委ねています。
(最終決定はもちろん自分ですが)
つまり、
この人と一緒に働いていける姿が描けるか、
この人なら助け合いながら仕事をしていけるか、
社員に採点してもらいます。
そういう意味では「徳」を評価する、
志望者の持っている「徳」が
組織風土に合うかどうかを見ていると
言えるかもしれません。
中小企業では「聖人」のような人材が
応募してくれることは少ないと思います。
「小人」より「愚人」を
という視点を頭の片隅において、
採用を考えてみてはいかがでしょうか。
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