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谷野光一
2016年10月4日 20:33
その時、ひゅん、とかすかな風切り音が彗華の耳に届いた。ふわり、とロングヘアが宙を舞い、スカートの裾が大輪花の様に開く。彼女がその場でバク宙をすると同時に、コンクリートへ深々と突き刺さる光の矢。「誰かしら?」刺々しく、矢が放たれた方向をにらみつける。勿論光球は彼女の腕にしっかりと抱かれたままだ。「この違反者め!」語気荒く表れたのは、一人の少女だった。ネオンを受け群青に輝く