赤蕪色のすまし汁と鯖のこと〜写真は、ご近所の方から頂いた赤かぶ
蕪から伸びる茎そして葉っぱへの配色の美しいこと!
しばしキッチンでそのフォルムと色を楽しみながら、この蕪の色を生かした薄紅の澄まし汁にしてみたいと思い立つ。なんの予定もない週末、唐突に台所で日がな一日遊ぶことがある。
少し前は、パウンドケーキ型でプリンを作るときの卵と牛乳の配合、プリンの砂糖とカラメルの砂糖の配合にはまった。
固すぎず、それでいて四角の角がきちっとたったプリンが理想。
実験料理中は、頭の中で2人の私が会話する。他の人の頭の中は知らないけれど、私は、考え事をする時は対話形式(笑)だ。
学生の時に必須科目の哲学の単位を落とした私がいうのもなんだけど、弁証法的対話の果てにアウフヘーベン的お料理が完成する。。。経験の集積ではなく閃きが必要。
学生時代には人生に哲学なんているの?と思っていた能天気な娘も、哲学者と言われる人の話は、テレビの文化人枠コメンテーターの解説にはない味わいと面白みを感じるようになった。歳をとるって結構すごい。
昆布と鰹節の一番だしでスライスした蕪を煮る。柔らかくなったらミネラル多めの塩で味付け。ほんのり薄紅のすまし汁となった。けれども、やはり薄口醤油を入れないと出汁と塩味を結ぶ深みがたりないな。でも薄口とはいえ醤油の色が前に出そうなのは気になる。
今日の私は、薄紅のすまし汁を作りたいのだ。
あ、そうだ、梅干し!汁に水分を足して塩味を薄めてから紫蘇づけ梅ぼしを入れてみた。地味深い塩味が加わる。そして、紅を指すとはまさにこのこと。紅色を増した可愛いすまし汁ができた。
薄口醤油で味を整えて出来上がり。梅干しの赤>醤油の色
吸い口の小ネギは、香りが立ちすぎない筒切りでぱらり。
今日の1人お昼ご飯が完成。
声に出すわけではないけれど、いっぱいお喋りしてできたすまし汁。
〆さばの話
3日前、鮮魚の品揃えがいいスーパーに行ったら2枚下ろしの生鯖があった。身にツヤがあり尻尾までふっくらとしていかにも美味しそう。〆鯖いけるぞ。寄生虫退治に2日冷凍させて週末のご飯とお酒に、と作る。
私のレシピ。鰯も鯵も大体同じ。
2枚下ろしだから、骨を外さないといけない。私は牛刀を刺身包丁としても使っている。洋包丁よりも長さがあって刃が薄いから魚を下ろすのに扱いやすい。
とは言っても、自分で作って自分で食べるのだからそんなに頑張る必要はない。それに、この鯖はふっくら厚みがあるから、多少骨に身が残っても貧相な〆鯖にはならない。
そして、骨は舟場汁にすれば、身がついていたら儲けもんというもの。笑
さて、まずは流水3秒で鯖の表面を洗い流す。即、拭き取る。大きめのキッチンペーパーでしっかり水気をとる。
バットに塩を振り鯖を並べ、上からも塩を振る。全部で大さじ1.5くらいかな。冷蔵庫で1時間つけたら、さっと3秒で洗い流してよく水気を拭き取る。
ビニル袋に酢を50cc入れて砂糖も小さじ2くらい入れて鯖投入。浸しながら冷蔵庫で1時間。好みでもっと長くても。ビニル袋を使うのは、酢の節約。
これで、〆完成。鯖の角っこからそおっと皮を剥がしてから、ラップできちっと包んで、冷凍庫へ。アルミトレーに乗せたりアルミホイルに包めばよく冷える。重ねないこと。2日後に自然解凍して出来上がり。
週末は大概人と会うこともない。翌週からの仕事の準備をすることも多いが、お気に入りのお料理を準備して本を読める時は幸せ。この週末は、更科日記と大和記事風物詩。
娘の頃に大好きだった二冊。
独り居の 膳なればこそ 春の興
百々
如月や 身を切る風に 身を切らせ
真砂女
・・・かっこいい。。。。。