「昭和ブーム」を考える
数年前から「昭和が若者の中で人気だ」という声が聞かれはじめ、それに乗じて我々まさに青春時代=昭和世代も大っぴらに「やっぱ、昭和はいいよね」と言い出し、メディアも「今、まさに昭和の魅力!」的なコンテンツを出しはじめ、そして来年2025年は昭和100年とのことで、そこに照準を合わせた様々なプロジェクトが世に出てきています。
そう、まさに今「昭和がブーム」。
最近は、それに乗っかり、煽る傾向が強くなってきたかな、と個人的に感じますが、昭和43年生まれ、ハタチの時に昭和が終わった、10代の青春時代をフルで昭和していた者として、今回、この「昭和」について思いつくままに超個人的見解をつらつらと書いてみたいと思います。
右肩上がり感ハンパなし
結論から申しますと、私、昭和とはこういう時代だったと思います。
今の「昭和ブーム」の言うところの昭和は、昭和40年代〜昭和50年代が対象だと思いますが、実は昭和初期もなかなか右肩上がり感があります(戦争に向かう高揚感とは別の話で)、その実例を勝手にピックアップしてみますと―――
昭和エンタメの種の芽吹きが!
昭和元年1925年は、12月25日から31日までなので、実質的な元年は1926年と言えるでしょう。
その1926年ですが、個人的に感慨深いのは、テレビが生まれている(誕生というよりは受精卵ステージくらい)のです。
1月にスコットランドの技術者ジョン・ロジー・ベアードさんがテレビジョン送受信の公開実験に成功。
その12月には、浜松高等工業学校の高柳健次郎さんが、電子式テレビ受像機(ブラウン菅!式)を開発しているんです(Wiki情報です)。
あと、世界初のSF専門誌「アメージング・ストーリー」の創刊や集英社の設立も(こちらもWikiです)。
昭和は「テレビの時代」と言われますが、まさに昭和のスタートと同じくしてテレビの種が芽吹いたわけです。
そして、その後のエンタメコンテンツ創造の礎も誕生。
もちろん、人類文明が生まれてこの方、常に時代時代のエンタメは存在していました(ある意味、それが人間たる所以でもあります)が、昭和というのはエンタメの一大イノベーション期だったのだなと感じます。
新しいこと=イイコトだった1980年代
昭和のラスト期間であり、私の青春時代であった1980年代。
この時代のエンタメを一言で言うと、これだったのではないかと思います。「新しさ」こそがクリエイティブの原点で、同時にそれこそがヒットの不可欠要素だと皆が感じていた時代―――
音楽においていわゆる「一発屋」が多かったのもそのせいかな、と。
新しくなきゃダメ。
クリエイターにとっては、とてもいいなと思います。
シンプルにアグレッシブになれるな、と。
今日より明日が良くなる
新しいことがイイコト。
この考えの根底にあったのは、「今日より明日が良くなる」この思いだったのでは、と感じます。
私55歳ですが、根底はこれです。
単なる行き当たりばったりマインドとも言えますが。
昭和の魅力に、デザインやコンテンツのクオリティももちろんあります。
また、穏やかさやほっこりさという空気感も魅力です。
でも、このシンプルなポジティブさ。
これが大きな要素なのではないかと思います。
だから、今の「昭和ブーム」は現時点の楽しみではなく、皆が明日へ繋がるものとして楽しんでいけたらいいな、と思うのです。