菜園日記②市民農園を借りてみた
年間およそ5,000円で、憧れの菜園生活が手に入った。
始めはまず区画を耕すこと。草の根などは取り除いてあったけれど、スコップでざくざくと土を起こしていく作業はなかなかにしんどい。広さにしてたったのタタミ3畳分くらいだと思ってナメてた。実際作業に入る前は「狭いな~。そんなに植えられないよな」なんて思っていたのに、その面積を耕すのがこんなに大変だなんて!(それよりも夏場の草取りの方が大変だと後に知ることとなる)
どうにか耕して不格好な畝を作り、まずはじゃがいもを植えた。食べ残して芽の出たじゃがいもを庭のプランターに植えたことはあった。出来たのは小芋ばかりで、それはそれで素揚げにして塩を振ってビールのつまみになったが、ちゃんとした種芋を使って畑で作るじゃがいもはどんな感じに育つだろうか。そんな期待にほくそ笑んでいたら、年配の男性から声をかけられた。
この時声をかけてくれたのは隣の区画のおじいちゃん。定年退職して以来この農園で長いこと野菜を作っているとのこと。こちらは初心者もいいところだったから、野菜作りのノウハウを色々教えてもらった。ふとおじいちゃんが区画の外に置いてあるドラム缶を指さし「これ何だかわかる?」と。想像もつかずにいたら、ゴボウを作っているのだという。成程、ドラム缶に土を入れて種を蒔けば、ゴボウはそのまま下に伸びるということ。
逆隣りのおじさんとも色々と情報交換をさせてもらっていた。これはこうして支柱を立てた方がいい、とか肥料は何がいい、とか。そのうちスコップを鍬に持ち替えて、首からタオルを下げたさまはすっかり農作業仕様。ちなみにその頃、30代中盤。農園で知り合った中では一番若輩だった。おかげで皆様に可愛がっていただき、楽しい菜園ライフとなった。
じゃがいもの発芽を今か今かと待ち、芽が出れば成長を日に日に楽しみにした。小学校の理科で習った「光合成」を思い出しては晴れの日を願った。やがて葉が茂り花が咲き、地上部分が枯れ始めると収穫の時期。
「芋掘り」という言葉に、いい大人が理由もなくわくわくしてしまう。遠足の芋掘りとか、学校農園の芋掘りの日に悉く風邪で欠席していた私(決して弱くて休みがちだったわけではない)。ちゃんとした芋掘りイベントの経験がなかったせいかも知れない。楽しすぎてニヤニヤしていたとしたらただの気持ち悪い人かも知れなかったけれど、初めての芋掘りとしては出来過ぎたほどの大収穫となった。ガラケー時代の写真を保存できていないのが残念。元々畑だった土地を分割して貸していた場所なので、当然ながら土が肥えている。晴天にも恵まれていたこともあり、段ボール2箱分はゆうに獲れた。実家や友人にもかなりの量を送り、家でもしばらくはじゃがいも祭り。加工するよりそのまま蒸かして食べるのが一番美味しかった。
じゃがいもですっかり気を良くした私。実は同時にとうもろこしとトマトも植えていた。そこで厳しい現実に打ちのめされることとなった。③へ続く。