桜咲く、JR日豊本線「神ノ原駅」。
大分県佐伯市を縦断する「JR日豊本線」。
臼杵駅~佐伯駅間が開通したのは、1916年10月。大正時代のこと。
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そして、佐伯駅~「神ノ原(ごうのはる)駅」間が開通したのは、1920年11月20日。
延岡駅まで開通を果たしたのはその3年後、1923年12月。
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100年前の物語。
「神ノ原駅」は現在、その名前を変えている。
駅名は、「直川駅」。1961年3月20日の改称である。
この鉄道が開通するまでは、農林産物は荷馬車によって、佐伯葛港に運ばれていたという。大変苦労であったことが想像される。
鉄道の開通とともに、輸送体系が変化し、木材・木炭・米の貨物輸送の大半を鉄道が担うこととなった。木材は総生産量1789トンの60%、1068トンが輸送されている。
そして、戦中は軍需物資として大量の木材なども鉄道輸送され、戦後も復興に多くの木材が輸送されている。
この直川の戦争との関わりが垣間見える。
しかし、昭和30年代となると、道路網が整備され、自動車による輸送が盛んとなっていく。さらにこの頃は燃料の中心が、木炭から石油に変わってしまい、木材生産は激減。鉄道での「貨物輸送」は廃止されることに。
駅名が「直川駅」に改称されるのも、この頃。
一方、「旅客輸送」は戦後は順調に伸びていき、第一次ベビーブーム世代が高校に通学する頃(1964年~1966年)の直川駅は、年間33万人が利用されたとのこと。
さらに時代は流れ、「国鉄」の財政が悪化し、1973年4月に合理化のため、駅は無人化される。ちなみに、1974年まで蒸気機関車が走っていた。
そして、2020年4月。
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駅では見事な桜が咲いている。
誰かが見ていた桜を見ている。