エコロジカル・アプローチ@バレーボール【16/16】タスクの「単純化」と「分解」
最近とある講習会で
という言葉に触れたので、「まとめ」を終えた「エコロジカル・アプローチ@バレーボール」シリーズですが、タスクの「単純化」という大事なキーワードが残っていたことを思い出し、これについて書きたいと思います。
タスクの「単純化」について、植田氏は著書の中で次のように述べています。
タスクが分解されたスキルドリルの例として、バレーボールでは、指導者が同じ打ち方で、同じところに、同じタイミングで、同じ軌道と速さのボールを打ち続け、そこにプレイヤーが順番に走り込んで、同じところに同じ軌道のボールを返すというレシーブ練習があります。打ち手やボールの動きが常に同じで、「相手選手の動きやボールの飛翔から得られる情報」を受け取ることがなくなります。また、バレーボールでは次にプレーするセッターやアタッカーの情報も重要ですが、それも抜け落ちています。
セッター練習でも、コーチが手で、同じ軌道で放ったボールを、同じ位置から、決まったステップで走り込んで、同じところに上げるということやったりしますが、そこに「情報を受け取って判断する」ということはほとんどありません。実際には、スタート位置からボールを捉える位置までの角度も距離も時間も様々ですし、アタッカーまでの角度と距離やアタッカーの状況も様々ですし、相手の守備の状況も様々です。
様々な状況判断の下にプレーを選択・調整できるようになるには、実際のゲームにあるような「判断・選択」が求められる環境が必要ですね。そのためには、タスクの分解ではなく、タスクの単純化によってゲームの全体性を保ち、「判断・選択」をプレイできるようにすることが重要です。バレーボールであれば、ボールの大きさや重さ、コートサイズやネットの高さ、プレイヤーの人数、タッチの回数、返球の方法等のルール(制約)を調整して様々に「単純化」することでそれが実現できます。
できる範囲で「判断・選択」が求められるようにすることが「持っている技術で遊ぶ」ということでもあります。バレーボールは「遊べるようになるまでのハードルが高いスポーツ」なので、いかに単純化するかが鍵になると言えますね。
「エコロジカル・アプローチ@バレーボール」シリーズのこれまでの記事は
エコロジカル・アプローチ@バレーボール【15/16】まとめ にリストアップしてありますので、是非ご覧ください。