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執筆実績:税金が階数で決まる? タワーマンションの課税見直し

平成29年 2017年の実績です。
タワーマンションによる階数による固定資産税の課税強化を解説したものです。これを知ったときには節税対策としては目から鱗だったのですが、国税庁はそれをお見通しだったのですね。
この記事はある大手不動産業者向けに編プロ経由で書いたものなのですが、そのサイトも閉鎖され、編プロもなくなったということで公開するものです。
編プロの社長はなかなか曲者でした。支払いをしてほしいと言えば、源泉徴収するとかいろいろと言って報酬を支払いたくない雰囲気を出されまくりました。
そういう人が運営する編プロなので、消えていってしまったのでしょう。



平成29年度税制改正の中で、「居住用高層建築物の固定資産税見直し」が明記されています。
居住用高層建築物とはタワーマンションのことで、ここに係る固定資産税が改正となります。今まではタワーマンションの階数に関わらず固定資産税は一定額でしたが、改正後は階数に応じて変わる形となります。
今回は、具体的にはどのような変更となるのかを検証します。

居住用高層建築物(タワーマンション)に該当する建物は?

まず、どのような建物が対象となるのかを考えていきます。

絶対条件:居住用のマンションで建物の高さが60mを超えている

税制改正の内容から、建物の高さが60mを超えているマンションはすべて対象と考えることができます。主に20階建て以上のマンションなどが該当します。

階数が上がると増税、下がると減税!?

今まではタワーマンションも他の居住用建物同様、居住空間の床面積に応じて固定資産税が計算される形となっておりました。
しかし、平成29年度の改正では、建物全体の課税額は同額となりますが、その中での各フロアでの固定資産税の課税率が変わるようになります。
今まで広さが同じであれば、タワーマンションのどの階に住んでも固定資産税は一定だったのですが、今後は階数に応じて固定資産税のかかる率が変わってきます。そのため、下の階では、改正前より減税となる場合があります。

今回の改正はいわゆる「タワマン節税」対策??

今まで同じであったのに、なぜここにきて改正が必要になったのでしょうか?
今回の改正は、いわゆる相続税の「タワマン節税」対策とも言われています。

現金などで子供などに相続する場合、相続税がかかる率が大きく、税金を支払うことが多くなります。不動産を相続する場合、相続税は固定資産税に応じて決定されます。戸建住居なども、立地の土地などの地価が高く、固定資産税が高い場合、多くの相続税を支払うことになります。
しかし、タワーマンションなどを購入し、相続することで、戸建住居などと比較して固定資産税が安いため、相続税を安く抑えることができます。
特に、階数が最上階に近づくと、眺めも良く、人気物件となるのですが、固定資産税は相対的に安くなるため、相続税の節税のために購入するという方も多かったのが実情です。
これが、いわゆる相続税の「タワマン節税」と呼ばれるものです。


出典元:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO7809424007102014PPD001/

タワーマンションの階数格差がさらに広がる可能性も!

課税の変更に付随する内容ですが、この税制改正によって、タワーマンションの問題の一つでもある「タワーマンションの階数格差」がさらに広がる可能性もあります。
何かと理由をつけて下の階の住民を上の階の住民が下げすさむ行為を一般的には指しますが、その理由の一つに固定資産税率の変更が加わってしまうかもしれません。
多くの人が住むタワーマンション特有の問題とも言えます。

いつから適用になるの?

タワーマンションの購入を検討されている方にとっては大きな変更となる税制改正ですが、いつから適用となるのでしょうか?

平成30年度に売買契約を締結した物件から適用になっていきます。
平成29年4月1日以前に契約をしたものに関しては今までの税制が適用となり、固定資産税が階数でも一定となります。
暫くの間は、この税制以前に購入した物件と、以後に購入した物件とで固定資産税率の異なる物件が存在することになります。

また、平成30年度前の契約を急いで、改正前の税率にしようとする「駆け込み契約」も増えてくると思われます。

今までの固定資産税はタワーマンションを想定していない

今までの固定資産税の算定方法は、タワーマンションがなかった頃のものでした。
そのため、戸建住宅よりも何倍もの価格がするようなタワーマンションの方が固定資産税が安いという異常な状態を作り上げていたと言っていいでしょう。

タワーマンションの最上階に住む人は、収入も高く社会的にもステータスがあるにも拘らず、住宅の固定資産税は低いということはあまり知られていないことでした。
それを利用した確信犯的な相続税対策などは、税務署なども警戒しています。

今回の税制改正では、より現実に即した固定資産税とすることを目的としたものです。
戸建住宅同様、眺めも良く、周囲の喧騒を忘れさせるタワーマンションの最上階は、その資産価値も高く、その固定資産税は本来それ相応であるべきと言えるでしょう。


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