菓子処といえば?京都?金沢?松江?いいえ、平戸も負けてません!
皆様、こんにちは。西海みずき信用組合の阿部です。
だんだん秋も深まりつつある今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
私は今、Nintendo Switchのリングフィットにハマっております。中々にハードなトレーニングで1日1時間でもすると体が悲鳴を上げますが、充実感もあり楽しくトレーニング出来てます。
皆様はどのような秋を過ごされるのでしょうか?是非、お聞かせ頂きたいものです。
さて、個人の無駄話はこれくらいにして本題に入りたいと思います。
タイトルを見て皆さん疑問に思ったはず…「平戸が菓子処?」
そうなんです。今、平戸のお茶とお菓子が熱いんです。日本三大菓子処に割って入るのではないだろうかと思っております。今後注目のトレンドとして押さえておくのもいいのではないでしょうか?
日本最古を誇る平戸の菓子
段々「一体どんなお菓子があるのだろうか?」と気になってきたのではないだろうか?
平戸のお菓子として真っ先に浮かんでくるのはカスドースだろう。
カスドースは安土桃山時代にポルトガルより伝わったと言われる平戸市の郷土菓子であり、各都道府県の魅力を出身の芸能人が紹介する某番組でもご当地のお菓子として紹介されたり、某有名辛口女装タレントの知らない世界を紹介する番組でも取り上げられたりなどして有名になったお菓子の一つである。私も幼少の頃から慣れ親しんだお菓子だ。
しかしそのお菓子の話の前に、「京都・金沢・松江にはあって、平戸にはない」と思われているものがある。それは”茶処”だ。京都の抹茶や金沢の紅茶、松江の茶道「不昧流」などが有名だが、「平戸は?」と聞かれると、平戸市民でも即答できないのが実状だ。
だが、実は平戸には”お茶の聖地”があるという。
日本最古の茶畑があるのだ。
場所は、冨春庵。ここが、日本で最初の茶畑ということだ。
恥ずかしながら、平戸に長年住んでいるが「冨春庵」知識はゼロである。唯一ある知識としては、私の地元の小学校で毎年行われていた『平戸カルタ大会』で詠まれた句である。
「栄西の お茶の葉香る 冨春庵」
栄西は臨済宗の開祖で、喫茶の習慣を日本に伝えた人と言われており、中国の宋から帰った際に茶種を蒔いたのがここ冨春庵と伝わる。
そんな、素晴らしいお茶の聖地があるのになぜ、今まで知らなかったのか…
そう思い今回、平戸のお茶とお菓子について調べる事にした。
平戸蔦屋 本店 按針の館
創業文亀2年、九州最古の老舗菓子店だ。カスドースの他に平戸銘菓の牛蒡餅、復元菓子の烏羽玉、季節限定の商品の他に定番スイーツなどが取り揃えてある。
皆さん「復刻菓子とは?」という点で疑問を持たれただろう。
『百菓之図』
上記写真は『東西百菓之図』であり、オランダのクリエーターと平戸菓子店が組んで発表したものである。『百菓之図』はこれより簡素なものでお菓子の絵と名前だけが描かれており、現在、松浦資料博物館で大切に保管されているとのこと。
『百菓之図』は平戸藩主松浦熈(ひろむ)公が町民の為に作った”お菓子図鑑”であり、東南アジアやヨーロッパなどの影響を受けたお菓子も載っていて、国際的な文化交流が見られる、ユニークなお菓子図鑑となっている。
なぜ、このような文化が生まれたのか?それは15世紀、西欧文化が日本に初めて上陸した地が平戸だったからである。
平戸は当時「フィランド」と呼ばれ、様々な国の珍しい文化や品々が混在しており、その中に当時この平戸に日本初上陸をしたものがある。それが、“砂糖“だ。なんと、平戸は砂糖の流通が始まった場所だった。
これはまさに「シルクロード」ならぬ「シュガーロード」ではないだろうか。
話を戻すが、この「シュガーロード」によって発展したお菓子がカスドースであろう。
カスドースとは元々、皆さんにも馴染み深いいわゆる「カステラ」だ。長崎の文明堂や福砂屋のカステラなどは有名であるが、平戸では独自にカスドースへと進化した。
カスドースの由来は「カス(カステラ)ドース(doce)」ポルトガル語で「甘い」という意味で名前の由来から分かる通り、ポルトガル伝来のお菓子である。作り方はカステラを卵黄で絡め糖蜜の中で揚げ、さらに表面を卵黄で固めてグラニュー糖をまぶす、というもので名前の通り、甘いお菓子である。カステラで作る元祖フレンチトーストといった所だろう。
皇室に献上されたお菓子でもあり、是非、機会があるならばご賞味頂きたい。
冨春庵
お茶のルーツを知る意味で「日本初の茶畑」という冨春庵を訪れた。
しかし、ここではほとんど理解を深める事はできなかった。
申し訳ないが、茶畑には雑草が茂り、どれが茶の木なのかもわからない。茶葉に精通している人でもない限り、本当に雑草を見るだけになってしまう。全国のお茶生産者の聖地と言っても過言ではないこの地を是非、観光地として再生してはいただけないものだろうか。これに関しては地元自治体などの力が必要であろう。
日本最古の茶畑を有するにも関わらず、それが維持管理されていないということは、平戸にお茶の文化は無いのか?というと、決してそういうわけではない。
平戸には”鎮心流”という流派が存在する。文字の通り「心を鎮める」という意味を込めた武士の為の武家茶道だ。平戸藩主である松浦鎮信(しげのぶ)公が「文武両道の内の風流」と位置付け、心を磨く修行と捉えている。鎮信公は若年より茶の道を好み、様々な茶道の流儀を研究した末に打ち立てたものとのこと。
こんなに素晴らしい流派があるのだから、そのお茶を味わいたいと思い『閑雲亭』に行くこととした。
閑雲亭
写真を見てもらうと分かるように海や街を挟んで平戸城が見える。隠れた写真スポットではないだろうか。
閑雲亭では鎮心流のお茶と復元菓子の烏羽玉もしくはカスドースが頂ける。茶道というと「難しい作法」のイメージがあり、初めのうちは緊張していたが、特に厳しい作法があるわけではなく、気軽にお茶とお菓子を楽しむことができた。
個人的には茶室がとても風流だと思い、室の隅々まで観察していたがお茶とお菓子が出てくれば、花より団子。これが人間の性なのだろうか。
ちょっとセンチメンタルジャニー(分かる人はいるだろうか)になった。
今回、お茶とお菓子について調べてみて、平戸の有するポテンシャルは京都や金沢、松江に劣らないものが十分にあると感じた。
今後、歴史ある平戸独自のお菓子、お茶文化の更なる発展に期待したい。
西海みずき信用組合 佐々支店
阿部 恭平