ガオー!その人、近寄るべからず
たまに発動する本能的な感覚、直感、予感。
誰とでも隔てなく接するし、少し話せばどのような人格なのかが自然と掴める。ベストな距離感を保つのも小さな頃から得意な方である。
思春期こそ誤作動もあったが、大抵どこに行っても居心地の良いスペースを陣取り、穏やかに暮らしている。
しかし、数年に一度の確率で前頭前野がざわつくことがある。その人に近寄ってはダメだとセンサーが発動するのだ。
例えば、前々から少し違和感を感じていたご近所さん。娘のお友達のお母さんである。
「ママ友」に分類されるのかもしれないが、気の置けない友達ではないので、ここは頑なに「非ママ友」としておく。
10歳の娘がよちよち歩きの頃からのお付き合いだが、意気投合するような話題もなかったので、毎度のベストな距離感で当たり障りなく接してきた。
育児ファーストの個人事業主は自由奔放な生き物にでも映ったのか、何かにつけマウント気味な発言もあったが、適当に聞き流してきた。
色々なタイプがいるんだもの。
そんな彼女の違和感が、少し見ない間にとんでもなく急騰しているのだ。
◆たまに顔を合わせた時の妙なテンション
(とってつけた薄っぺらいよいしょは逆に怖い)
◆かけもちで色々仕事してるからとにかく忙しい宣言
(以前は専業主婦さん)
◆見た目が急に派手
(髪が金髪みたいになってんじゃん)
◆コロナ渦真っ只中に学校を休ませて遊びに行く
(よりによってこの時期にTDRですか)
◆娘の友達が家の用事で平然と学校を休むようになる。
・日によって機嫌にムラがある
・ビッグマウス気味になる
・自分ファーストな生活になる
なんか知っているぞ、このパターン、ほらほら大学生の頃によく居たあれだ、あれ。
そう、彼女はすっかりA社のビジネスの虜だったのだ
。聞いた話によると、自宅にはサプリメントに鍋に浄水器、山積みのA社の段ボール。夏場お友達がいつも持たされていた謎の「すごい水」の正体も、毎日飲んでいるというプロテインの伏線も回収できた。
人の良い優しいご近所ママさん達は順番に勧誘されていたようで、あれよあれよと教本のような勧誘エピソードが勢揃い。私を勧誘してこなかった理由はさておき(ガードが堅いということにしておこう)、念願の「仕事」がA社だったとは。
不登校気味なお友達のことは心配だけど、祖母も旦那も賛同してるというからお手上げだ。
共通言語のハイテンションコミュニティでやれ不労所得だ権利収入だの、希望に溢れたこのビジネスに賛同しない人間なんて、きっと非国民扱いだろう。
そんな偏った思考回路の親の下、子どもは健全に育つのだろうか?芦田愛菜さん主演の映画『星の子』に登場する「水」と、お友達が持たされていた魔法の「すごい水」がリンクしてしまう。
副業で軽く始めるだけだからとか、期間決めてやるから大丈夫とか、今まさに勧誘されて揺らいでる人がいるならば、キッパリと断って欲しい。
間違った選択は大切な人から失ってしまう。
一度きりの人生なんだから、大切な家族や仲間に囲まれて有意義に全うしてほしい。自分の感覚を信じよう。
その人、近寄るべからず。