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音色が報(しら)せるもの
▼「あ~涼し」。コンビニのドアが開いて一言。発したのは私だが、そこに意図はない。「涼しい」と言わしめたのは、他ならぬ冷房のはたらきである。何気ない言葉のちょっとした奥行きを伺ってみるのも案外悪くない。
▼「涼をとる」アイテムのひとつに風鈴がある。ルーツは中国。音色によって吉凶を占う『占風鐸(せんふうたく)』と呼ばれる占いの道具だったそうだ。
▼日本伝来の後は「邪気払い」としてお堂の屋根に吊るすといった習わしも。当時、疫病は強風が運んでくるとされており、風鈴の音色が届く範囲はそれらから守られると考えられていたようだ。
▼風そのものは目には見えないが、風鈴の音色によって風が吹いていることに気づかされる。「音色の報(しら)せ」。こうしたはたらきは、お念仏《南無阿弥陀仏ーなんまんだぶ》にも伺うことができる。
▼《なんまんだぶ・なんまんだぶ》―お念仏を称えればどうなるか。お念仏を称えればお念仏が聞こえる。呪文は差し向けるものだが、お念仏は聞こえてくるものだ。
▼『大丈夫。安心なさい。あなたは決してひとりじゃないよ』。《なんまんだぶ》―お念仏の音色は、仏さまのお喚び声を私に報せてくださっている。
〔毎月発行〕さいほうじの読みもの 若院コラム『和而不同』2024/8