潜在力は輪郭を見せ始める。
■中国からベトナムへの輸出額。
・最近のニュース、「2024年中国からベトナムへの輸出額は前年比18%増25.6兆円で日本(24兆円)を初めて上回る」。
・ベトナムの中国製品輸入が増加した背景は「電子部品の需要拡大」が挙げられる。そして「ベトナム国内で組み立てられた中国製の部品はアメリカや他国へと輸出され、特にディスプレイモジュールやコンピュータ用メモリモジュールといった製品が輸出増加の主力品目」となっている。
・ちなみに2024年11月時点のデータは「輸出増加の上位10品目のうち8品目をこれらの電子部品が占めた」。
■成長を後押する要因。
・ベトナムの成長を後押ししているのは「サムスン電子、ラクスシェア・プレシジョン、ホンハイ精密工業(フォックスコン)といった大手電子機器メーカーによる多額の投資」である。
・これには「AirPodsやMacBookといった製品の組み立て拠点の設立も含まれる。さらに、人工知能(AI)技術の発展やアメリカによるAIチップの輸出規制がベトナムへの投資を一層促進している」のだ。
■ベトナム首位の背景。
・アメリカ2位、日本3位、そしてベトナムが2024年に中国からの輸出先として首位となった背景には、アメリカと中国の関係悪化も大きく影響している。「米中貿易摩擦」では多くの企業が中国からの生産拠点を他国に移転する動きが加速し、ベトナムはその受け皿として注目された。
・また「関税の引き上げ」によりアメリカが中国製品に対して高い関税を課したため、企業はコスト削減のために生産拠点をベトナムに移すことを選んだ。そして「サプライチェーンの再編」において米中関係の悪化に伴い企業はサプライチェーンのリスク分散を図るべく中国以外の国に生産拠点を移す動きを強め、ベトナムはその中で重要な役割を果たしている。
・上述の背景にプラス「ベトナムの魅力」として安価な労働力、地理的な近接性、貿易協定の締結等の利点を活かし中国からの生産移転先として注目される。ベトナムが中国の主要な輸出先として首位に立った理由は様々な要素が絡見合った結果だが、ベトナムのポテンシャルが徐々に表情を見せ始めた、その様に私は捉えている。