S国酔夢譚 女隊長が清めの破瓜に咽び悦ぶ
ポゴタ宮殿の敷地は広く、散歩するには気持ちよかった。
散歩には、いつも秘書役のヨンジャか付いてきた。私から離れないのも、彼女の仕事のひとつである。
いつもはブラブラ三十分ほど、広い敷地の中を歩き回って宿舎に帰るのだが、その日はちょっとした椿事があった。
「あれは何かな?」
紅隷隊の建物の側を通ると、隊員とおぼしき女兵士のただならぬ叫び声が間断なく聞こえてきたのだ。
「あれはきっとジュードーですよ」
ヨンジャは退屈そうだった。この国には散歩の習慣がないらしい。あったとしても、打