Imaeda taka

ex. Hara ほぼヒョンビン https://www.instagram.com/bangkok_shocks/

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最近の記事

きみの話から始めよう

issue01の次号予告に、「特集 ボトルメールから始めよう(仮)」と書いたとき、具体的な特集のページ構成や、どんな著者に声をかけるか、僕の中ではひとつも決まっていなかった。 しかし、自然と出てきた「ボトルメールから始めよう」という言葉は、どこもいじりようがなくできあがっていた。 僕は、今号のテーマについては、僕自身の中から湧き上がる強い意志というより、思いついたものそれ自体の強度を信じて2号を作り始めたと思う。 ボトルメールから始めよう。 手紙を瓶に突っ込んで、海へ落と

    • 壱岐島の座標

      Googleマップを開くと、今自分がいる場所がGPSの青い丸になって、ふつふつと動く。遠出をすると、僕はそれをスクリーンショットで撮る決まりにしている。 人の記憶はあてになるようでならない。思っている以上に見た風景、得た気持ち、考えたことはするすると頭の中から抜け落ちていく。 旅行先、遠出した先から家に帰って、いつもの日常に身を戻していくと、果たして自分は少し前に、本当にそこにいたんだろうか? という気がしてくることは珍しくない。今自分はそこにいないのだからそれを証明する

      • 個人的なSLOW WAVES

        僕は作家になりたいのでも、編集者になりたいのでも、デザイナーになりたいのでもなく、「本づくり人間」になりたいのだと思った。 書きたいだけじゃない。編みたいだけじゃない。組みたいだけじゃない。書いて、編んで、組んで、作り上げる。宣伝もする。売る。届ける。そういうことを、ひとつひとつ、自分の手で、手作業でやりたいと思った。 そうか、作家になりたい、みたいに、ひとつのことだけにフォーカスした「なりたい」が自分にしっくりこないのは、そういうことだったのか。 そのことに気づいたとき、自

        • ■2022年下半期■大好きなほんを探して⑭(2022.12)

          7月 ・変身 カフカ ・青年 森鷗外 ・巨人軍「闇」の深層 西崎伸彦 8月 ・真贋 吉本隆明 ・N/A     年森瑛 9月 ・水平線 滝口悠生 ・一億三千万人のための小説教室 高橋源一郎 ・遠い指先が触れて 島口大樹 ・この部屋から東京タワーは永遠に見えない 麻布競馬場 ・書く人はここで躓く! 宮原昭夫 ・街場の文体論 内田樹 ・カラマーゾフの兄弟上 ドストエフスキー 原卓也訳 10月 ・カラマーゾフの兄弟中 ドストエフスキー 原卓也訳 ・カラマーゾフの兄弟下 ドスト

          ■2022年上半期■大好きなほんを探して⑬(2022.6)

          (★は特にだいぶよかったやつ) 1月 ・マロウン死す サミュエル・ベケット 宇野邦一訳 ・アフター・クロード アイリス・オーウェンス 渡辺佐智江訳 ・愛についてのデッサン 野呂邦暢 岡崎武志編 ・名づけられないもの サミュエル・ベケット 宇野邦一訳 ・教育 遠野遥 ・オン・ザ・プラネット 島口大樹 →野呂邦暢は話題になってて読んだ。びっくりするほど直球ミステリーで、正直単純だったけど、古書店ミステリーっていう雰囲気はここにしかない感じで、楽しかった。  遠野遥と島口大樹を

          ■2022年上半期■大好きなほんを探して⑬(2022.6)

          【読書録】大好きなほんを探して⑫(2021.12)

          年を越したときの読みさしの本はベケットの『マロウン死す』でした。ベケット、なんかすごい。 一年続いてよかった。ほんとすぐ飽きるので。 ①それでも、日本人は戦争を選んだ 加藤陽子 大学にいたときに、「加藤陽子さんの『それでも、日本人は戦争を選んだ』、これは名著だから読んどけよ』ってなんかの授業で先生に言われたのを覚えてる。 「いいタイトルだなー」って感じだったと思う。 でもね、大学の時のわたくしなんて、もう文庫一冊買うのにかなりの熟考を要してしまうタイプで、クソほどケチだっ

          【読書録】大好きなほんを探して⑫(2021.12)

          【読書録】大好きなほんを探して⑪(2021.11)

          今月の副題は「保坂和志に漂う」です。そうにしかならない。 ①生きる歓び 保坂和志 なんてったってこの表紙がすごい。 散らかった部屋にたまたまできた狭いスペース、人ならそこに入ろうだなんて思いつきもしないちょっとだけの隙間に、猫が入ってぬくぬくしている。それを、「くうッ、かわいいなァ」なんていいながら保坂和志が写真に撮ったんじゃないか、そういう愛らしい情景も一緒に浮かぶ。日付が右下についているからどっかで現像してきた写真みたいだ。カメラ屋さんにフィルムを持っていくなんて、な

          【読書録】大好きなほんを探して⑪(2021.11)

          【読書録】大好きなほんを探して⑩(2021.10)

          先月読書録を書いたときに、もたつく本はいいということを書いたけど、あれはあれで限界はやっぱりあって、あんまりもたつく本が続くと僕はめんどくさくなってくる。 もたつく本のよさというのは、書かれていることがわからなくて、すぐわかんないからずっと考えていられる、ずっと答えの出ない保留の状態に置かれ続ける心地よさみたいなところにあるけど、答えが出ないのはいいとして、その答えが出ないプロセスを何度も何度も続けていると、しかもいろんなトピックで続けていると、脳みそが枯れる。 だから時々は

          【読書録】大好きなほんを探して⑩(2021.10)

          【読書録】大好きなほんを探して⑨(2021.9)

          もたつく本ともたつかない本がある。 もたつかない本はいい、すらすら進んでいくからかなりスピーディーに自分の中に本の中身がたまる。厚さの分だけ自分の中にすっすっとたまる。インベーダーゲームでザコを次々撃ち落とすみたいにすっすっと快感がたまる。 もたつく本はもっといい。 すらすら進まないからつらい。つらいから読んでいる時に思ったことや考えたことがぜんぶページに染みる。あの本を読んでた時は……あの本は……と一家言生まれてくる。そこからまた新しい考えが生まれる。本が自分の中にふかく根

          【読書録】大好きなほんを探して⑨(2021.9)

          【読書録】大好きなほんを探して⑧(2021.8)

          日々の読書、ああ今月はあんまり読めなかったなあ、と思ってたら月末になんかめちゃくちゃ加速したりする。 薄い本を読んでたというのもあるけど、なんかうまいこと読書のための時間が一日のなかにすとんと当てはまってけっこういろいろ読める。 毎月そういう感じだといい。 ①『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』高橋昌一郎監修 「認知バイアス」というものには興味をもってて、やっぱり自分だけでものを考えててもどんどん自分の中の深みにはまっていっているだけでしかないという感覚にな

          【読書録】大好きなほんを探して⑧(2021.8)

          【読書録】大好きなほんを探して⑦(2021.7)

          積読棚に本が溢れかえっているのは、ちかごろ、ほしい本をボンボン買うようになってしまったわりに、7月は読む時間をあんまりたくさんとれなかったからです。 やべーほど積まれている。 読みたい順に積んでるんですけど、いちばん下の平野啓一郎『日蝕』に届くまでは鬼ほど時間かかりそう。 平野啓一郎の『日蝕』にたどりつくまでに、きっとたくさんのほかの本がそこに積まれていくだろうし。 平野啓一郎の『日蝕』読める日くるかなあ…… 時間ができてもぜんぶ読書に充てられるわけでもないし、まあ、もう、一

          【読書録】大好きなほんを探して⑦(2021.7)

          アクアレーベル

          (第4回阿波しらさぎ文学賞 一次選考通過)

          アクアレーベル

          ■考察 東京リベンジャーズ——世界の歯車を回しているのは誰か

          おもしろすぎるだろ!!! さいしょ、「タケミチ(中学時代)の髪型、ダッセェ……」としか思ってなかったですけど、観てみたらめちゃくちゃ夢中になってしまった。なんだこの時をかけるザコヤンキーは。そして周りを取り囲むヤンたちのカッコよさ&東京CITYの美描写。 コミックス大人買いした。あとヒナが鬼のようにかわいい。 考察せずにいられない、エンタメな~~~ ※「進撃の巨人」すら単行本まで我慢したのに、こっちはもう我慢をやめたので、22巻の続き、最新話213話まで読んで書いてます

          ■考察 東京リベンジャーズ——世界の歯車を回しているのは誰か

          【読書録】大好きなほんを探して⑥(2021.6)

          文芸書の発売を待ち焦がれるっていう経験が、これまでそんなになかったんですが、今月は2冊、そういう本があった。 ・阿部和重『ブラック・チェンバー・ミュージック』 ・滝口悠生『長い一日』 あいにく、どっちも発売日が6月後半だったのでまだまだ読み切れてないけど、さっそく阿部和重から読んでます。2段組で450ページぐらいあるからまあまあ時間かかるかもですが…… 角川ホラー文庫あさったり、保坂和志のむかしの本amazonしたり、積読棚があふれそう。 ①『文芸ピープル』辛島デイ

          【読書録】大好きなほんを探して⑥(2021.6)

          【読書録】大好きなほんを探して⑤(2021.5)

          ほとんど小説かマンガかゲームかネトフリ、という生活で、ネトフリをつけてもなんだかあんまり映画を観ていない(ちかごろはずっと「進撃の巨人」観てました。最終話コミックス待ってるからネタバレしないで。。)。 映画館で観たりするのは別なんですけど、たぶん、せっかちで気分屋なので、見始める前から2時間も椅子で拘束されるのが決まっちゃうのがあんまり好きじゃない、みたいなところがあるんだろうな。 と、こないだ金ローで「スタンド・バイ・ミー」をチラ見してたら、やっぱり映画もいいですよね、

          【読書録】大好きなほんを探して⑤(2021.5)

          【読書録】大好きなほんを探して④(2021.4)

          阿佐ヶ谷のいいところは南口に出てすぐのところに「書楽」があるところで、見かけよりも奥行があって大きいし雑誌はほしいのが大体置いてあって文芸書もけっこうある。海外文芸もちゃんとある。文庫コーナーも。 高円寺にいたときはAYUMI BOOKSしか行ってなかった。そっちはそっちでなんかすごい洒落てて好きだった。お店を入ると奥に細長く続いてて、まず雑誌コーナーに突き当たる。そこに江口寿史のイラスト集が置いてあったり(ずっとあった)、「Neutral Colors」みたいなかっこいい

          【読書録】大好きなほんを探して④(2021.4)