長崎市滞在-2022/12/07
昨日寝る前に見ていた冊子「樂(らく)」に載っていたカフェギャラリーに行こうとしたが定休日で、仕事のラフの締切もあったので午前中はホテルに引き篭もる。作業の目処がついたところで、せっかく長崎にいるのだからどこかへ行こうと思い14時くらいに外へ出た。
新地中華街にある「中華料理 王鶴」で皿うどんを食べる。
注文する時「細麺ですか?太麺ですか?」と聞かれ、初めて皿うどんに麺の種類があることを知った。細麺はパリパリとした揚げ麺で、太麺はちゃんぽんの麺、つまり焼きうどんのようなものらしい。パリパリの方が食べたかったので、細麺をお願いする。
ものすごい湯気と共に運ばれてきた皿うどんは、バターのような香りがした。キャベツの味と合わさって、中華でありつつ洋食のような印象も受ける。今まで食べたことのある全国チェーン店の皿うどんとは少し違う味で、本場を感じて楽しくなった。
食後、腹ごなしに歩こうと観光地である「眼鏡橋」へ行くことにする。地図をあまり見ず適当に歩いていたので、いわゆる夜の街に迷い込んでしまった。「柳小路通り」というらしく、ディープな居酒屋やスナックの並ぶ路地裏だ。狭くて暗い道に個性的な看板がぎっしりと並んでいて、雰囲気があった。水路のような銅座川沿いに、ゴミがどっさり積まれている。昼なので人の影が無い。何故か自意識過剰になり、早く出ようとスピードを上げた。
道なりに歩くうちに、長崎港ターミナルへ着く。昨日行った長崎県美術館のそばから続いている海辺だ。ここから眼鏡橋への道を調べると少し遠かったので(充分歩いて行ける距離だが、この時は街を把握していなかった)、今日は諦めてこのあたりを散策することにする。太陽が出てきたので資料写真も撮りやすい。
そういえば、長崎だからかこのあたりだけなのか分からないが、信号のない横断歩道が多い。車はほとんどちゃんと歩行者を待ってくれるものの、渡る時に小走りになってしまう。いちいち車を止めると思うと気軽に渡ることができないのと、大きなカーブがあったり、片方の車線しか横断歩道が無いところもあるため、長崎では先にある横断歩道の位置を把握して、最適に動くことを覚えた。
このままどこへも行かず帰るのも勿体無いので、ホテルの近くにある「出島(国指定史跡 出島和蘭商館跡)」へ寄ることにする。
恥ずかしながらわたしは出島が埋立地だということを知らず、歴史の授業で習った"島"という印象から海にある認識だったので、現在は陸続きで箱庭のような状態になっているのだと知ってびっくりした。手前の川にかかっている近代的な橋を渡ると入口だ。
中へ入ると歴史的建造物が密集していて、京都の太秦映画村のようにそこだけ時代が違っていた。それぞれの建物内に展示パネルがあるため、昨日と同じく逐一読んで歩く。
屋根は日本瓦でも、中へ入ると西洋の雰囲気のある部屋だったり、全体的に日本家屋でもバルコニーの柵だけエメラルド色の西洋風デザインだったりと、まさに和洋折衷だ。
窓には、当時日本に無く西洋から持ち込まれたという板ガラスが嵌められており、現代のそれとは違って分厚く歪みがある。襖の紙は唐紙で、柄が可愛くモダンな印象だ。(唐紙については、いつも委託販売でお世話になっている京都のお店 kara-S が入っている、COCON KARASUMAにお店があるので興味のある方はぜひ)
家屋の中で延々と流れている、出島再生への道のりを描いたビデオを観た。建物の再建にあたり、長崎中の古い建物をまわって当時の建築方法を調べたり、使われている材料を再現したりと、大工さんが大活躍である。出島は海に木の杭を打ち、石を積んで土台をつくったとのことで、この調査も興味深かった。
出島の現役当時、砂糖がかなり輸入されていたようで、建物内では大きな麻袋に入った砂糖が再現され、堆く積まれている。普段わたしは家に虫を入れないことに心を砕いているので、こんなに無防備に砂糖を置いていて虫は来なかったんだろうかと気になった。砂糖は長崎街道と呼ばれる道から日本中に運ばれ、その道沿いで甘い菓子が発展したため、シュガーロードと呼ばれているらしい。
輸入品である西洋陶器がいくつも展示されていて、デザインがとても可愛くショッピングに来たような気持ちになる。
この時代に洋食文化も伝わったようで、長崎は洋食発祥の地となった。ビデオによると、コーヒーは当時の日本人に「豆の焦げた匂いが少々鼻につく飲み物」と言われていたとのことで、面白い。長崎関連で読んだ本の中には、バターが肺病の薬として使われていたと記述があった。言われてみると、和食より洋食の方がカロリーがありそうだし、精がつきそうだ。
出島のお土産物屋さんに、当時日本からオランダ東インド会社へ輸出していた醤油瓶と同じコンプラ瓶の醤油差しがあり、欲しくなったがギリギリ我慢する。オランダ東インド会社のロゴ(VOC)が入った箸置きもあったが、やはり我慢。
夜になると、オランダ繋がりでミッフィーのイルミネーションが光っていて嬉しくなった。
出島には2時間ほど滞在した。大まかに全ての建物を巡ったので、帰ることにする。日が暮れてから街を歩くのは初めてだ。
昨日のファミリーマートの店員さんに会うと気まずいので、今日はその向かいのセブンイレブンへ行ってみる。
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