菊練り解説
ひとに何かを伝えるのは 難しい。つまり 会得してもらうのは 難しい。弟子入り先で まず菊練りを教えたことを思い出す。初めてとりくむひともいるが 言葉で説明する 実際にやってみせる いろいろすれど なかなか思うようには進まない。相手にとってみても どうすればこうなるのかは時間のかかる 課題だとおもう。こんなことは省略して 適当でよいという考えもあるが なにごとも そもそものはじめから とりくむべきである。
動画や丁寧なイラスト説明で どれくらい 相手と菊練り 私と菊練りの間を埋めることができるのか 一気に会得できるのか?私自身は 言葉で伝えることはできると思っている。会得するにあたっての この乗り越え難い領域は 双方にとって成長するに 必要な 時間のかかる何かだ。
右手で押す場合 脇をしめて右足を折りながら体全体で押す。左手は回転をさせるためにある。左手の中指第二関節が軸の中心。菊練りをイメージとして表せば タライの両端を両手でそれぞれ持ち 左右交互に 上下させながら底を回転させる。
でもこれじゃわからんわな。
いきなり練りはじめるのではなく、図1にあるような紡錘形の塊をつくる。粘土なら5〜8キロくらい 素材は紙でも木でもなんでもいい。点Aは左手中指第2関節(赤点)点Bは右手の赤点部分にセットする。*塊を台の上におき 左手の回転(動作A) 右手の回転(動作B)を交互に行い 塊をごろごろ ころがす。まずこの動作を続けてやること。というかこれだけやってればいい。
*なれてきたら右手をCのところにつまり左手に近づけ CとBとをいったりきたりしてころがす。
*これを繰り返しておこなう。*動作A Bは菊練りを構成する2つの動きです。最終的にまとめるときは紡錘形になるのでこの回転の運動は体が覚える必要があります
実際に練るときは図2のCの部分に段がつかないように。左手の爪が土練台に当たるまで押すと段が目立たなくなります。 *Dの赤い部分が開かないようにすることが基本です。菊煉をする時に見るのはこのDの部分です。粘土部分が少ない土で開きやすいときは土練台を濡れたスポンジでさっとふいて湿らす または右手を少し湿らすと効果があります。
足を広げて脇をしめて手で練るのではなく膝でねる。そのイメージでいけば手首の腱鞘炎になりません。土練台のちょうどいい高さは体が教えてくれると思います。
菊練りによって 土がしまるのは 同じかたちを維持しながら練りつづけられるからです。また手のひらの温度を上げる効果 あと最近気づいた血圧を下げる効果もあると思います。40年前になるけど毎晩飽きもせず練習していたなあ。菊煉ができるからと言っていいものができるとは限りません。それはよく分かりました。しかし、あなたが何処かで粘土ではないのだけどちょっとだけ粘りのような土にであったとする。菊煉りがしっかりとできるということは その出会いを幸運なものにする。私はそう思います。
早くできるようになる必要はありません ゆっくりやっても早くやっても効果が同じならゆっくりやったほうがいいです。1、2週間でできるかもしれないし 1、2ヶ月かかるかもしれない でもこの 動きの中に 土をめぐる人類の歴史(とても長い)を感じることができる素敵なチャンスです。
そして なにより人に伝える、教える 工夫をすることが上達するひとつのコツです
楽しんでください