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深呼吸する言葉を

深呼吸する言葉は詩でもいいし散文でもいい
書かれていなくても
そこにあるならそれでいい
でもそもそも書いてゆくということはどういうことなのか

想念のなかにひとつの言葉がある
例えば いちご トマト どうして 指 猫 何か 止まれ
それが頭の中でカゴのなかに入っている
いや 裸でころがっている
重なると消えてしまう
色はあるようでないようで
いや 形がなく なにか音のようなものとして
頭蓋骨のなかで鳴っているような気もする
一日そんな言葉が次々にあらわれて、そしてきえてゆく
メモ帳のあいた場所に
止まれ猫 と書いてみる
これは詩ではない
しかし
白い真っさらな紙の気に入った場所に
止まれ と書いてみる
これは詩だとおもう
行間をすきなだけあけて
ぼくの足 と書く
誰かの詩の本を開けたときにみえてくる
一ページのなかに1行2行の文字列
そしてそこに広い余白、行間ができる。ある。
言葉がおかれなければ 余白はうまれない
この余白が詩ではないのかとおもう
想念のなかにころがっている幽霊のような言葉がはじめて、ひとつの大きさを持つものとしてあらわれる
その初々しさが詩だと思う
あらわれない幽霊は消すことはできないが
あらわれた幽霊は消しゴムで消すことができる
曲げることも折ることも重ねることもできる
そうこうしているうちに
幽霊に足がはえて「私」をどこかに連れて行ってくれる

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