春分後満月時の引き潮、平家物語「屋島」と旧約聖書「出エジプト」
例の「十戒」の映画に出てくる海がバーンと割れるシーンですが、
実は、イースターが春分後の満月の後の日曜日と言われていますが、
元々、「過ぎ越しの祭り」が春分後満月祭なので、とにかく、その時季です。
このお話との比較で、平家物語巻第十一「屋島」には、興味深い記述があります。
(義経が)近藤六を召して「屋島の城の様はいかに」とのたまへば、「さん候、知ろしめさねばこそ候へ。城は無下にあさまに候。潮の干候ふときは馬の腹もつからず」と申す
屋島攻めにあたる源氏の大将・源義経が、屋島の様子を家来の近藤六に聞くと、「あさま(浅い場所)」にあり、引き潮になると馬の腹も海水に浸からずに渡れると答えたと言うのです。
「さらば寄せよ」とて源氏の勢、潮干の潟より寄せけるに、頃は二月二十八日のことなれば、蹴上たる潮のしぐらうたつうちより、うち群れてよせければ、平家は運や尽きぬらん。大勢とこそ見てんげれ
そこで攻めろと命じられた源氏の軍が引き潮の浜辺を攻め込んでいくと、2月28日の頃だったので、馬が蹴上げる潮のしぶきが沢山あがるのを見て、平家の運が尽きたのでしょうか、大勢の軍が攻め込んできたように見誤ってしまったのです。
ここで言う2月28日は旧暦の2月末の事ですので、新暦の3月、つまり、春分後の満月後の引き潮・・・「十戒の海開き」と同時期と思われます。
春分後の満月の時は、沖縄では浅瀬が露出して隣の島まで歩いて渡れるようになるとか、アマゾンではポロロッカと言って、大逆流が起きるとか、つまり、非常に干満差が大きくなる事が世界的に起きるようです。
出エジプトも屋島攻めも月の引力による現象をモーセや義経は知っていたのかどうか。