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水中カメラマン

カメラはど素人ですが、心揺さぶられる写真があります。
「水中」フォトジャーナリスト
写真がうまくとれるようになりたいとはいっても今はアイフォンでだって背景をぼかしたそれっぽい写真が撮れる。

水中でだって専用のケースに入れてしまえば、何とかなる。時代はとても便利になりました。綺麗に撮る。そんなことに飽きてしまった先に、彼の写真があるのではないでしょうか?

中村征夫というカメラマン

中村征夫 Ikuo Nakamura
1945年秋田県昭和町(現・潟上市)生まれ。19歳のとき神奈川県真鶴岬で水中写真を独学で始める。撮影プロダクションを経て、31歳でフリーランスとなる。1977年東京湾にはじめて潜り、ヘドロの海で逞しく生きる生きものに感動、以降ライフワークとして取り組む。数々の報道の現場の経験を生かし、新聞、テレビ、ラジオ、講演会とさまざまなメディアを通して海の魅力や海をめぐる人々の営みを伝えている。2009年秋田県潟上市にフォトギャラリーブルーホールを開設。

東京湾には、「はじめは冗談で潜った」という中村さん。あの時に臭う、ヘドロだらけという、黒い海に20年以上潜っている。そこで生きる生物に感動して撮り続けている。沖縄のグルクン漁も作品にしている。こんなにかっこいいうちなーんちゅ見たことないよ!そのほかさかなクンさんとの本もあるよ。

とにかく海と、そこに暮らす生物を取り続けるかっこいい男なのだけれど、

兄弟と一緒に暮らせずに、小学校の入学式に一人で出なければならないくらい孤独な人であったとのこと。

18で親元を離れ、酒屋の住み込みで働くも、目標を見いだせず、10日に一度海で素潜りをするのだけが楽しみだった。そんな素潜りの時に、水中カメラを持ったおっさんに出会い、全財産はたいて水中で写真を撮る機材をそろえる。

孤独な男が海の中で居場所を見つけたコンテストに入賞し、水中撮影専門のプロダクションから声がかかる。けれどもきれいな海や水着の女の子を撮るのに違和感を感じ始めたころに視界ゼロの湖に沈んだ車の撮影をする仕事で、社会的な評価を得る。※この事件については下記を参照

「撮りたいものを撮らなければならない」で、独立。生活のために、学校の集合写真を撮り、水中カメラをアマチュアから借りたりしながらキャリアを積み重ねてきた。写真家が見てる被写体の世界動物の写真を撮っていれば動物に詳しくなるのは当たり前なのかもしれない。東京湾にタマちゃんというアザラシが来てた時もオホーツクの故郷に返せって人がいるけれど、オホーツクって過酷な海だからね」といい、「弱い個体だからこそ東京湾に流れ着いて、今まで気楽にやっていたタコやアナゴがびびっているよ」「タマのエサは江戸前だな!俺の分も残しとけよ!」という痛快な響きが。そういえばタマちゃん然り、アザラシは全然迷い込んできていないようですね。環境の変化といわれればそれも納得できるけれど、今迷い込んできたとしても、報道されないくらいの閉塞感が漂っている気もします。東京湾でヘドロにまみれたカニを不憫に思って、綺麗な海に逃がした後も「でかい魚に食われるじゃん!」と後悔するような男です。

なんだこのイケメン。

中村征夫の写真とソーシャルワーク

自分の人生の目的はこれだと思えるものを見つけているか。私にとってのそれはソーシャルワークだともいえるが、厳密にいえば今の仕事としてのソーシャルワークは少し違うと感じている。

中村さんにとっても「水中写真」といえるのだろうけれど、おそらくそれはツールでしかなくて。被写体を通して表現されているものが、生物の呼吸であり、人の暮らしであって、「あなたをみているよというメッセージに思える。究極のソーシャルワーク「あなたの存在を認識している」ということが相手に伝わることだ。返事が返ってくること、目があえば微笑むこと、認めてくれる人がいること孤独の中で本当に欲しいものが何かを、カメラを通して得た中村さんの作品が人に評価されないはずがないんだよな。そしてグルクン漁の写真、映像はぜひ見てほしい。こんなに揺さぶる海の写真は見たことがない。

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仙水
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