銀河

旅の話、面白く読ませてもらいました。寿司じゃん。紛うことなき寿司じゃん。ミステリアスでオリエンタルなエキゾチックジャパンシースーじゃなくて、寿司じゃん。一方その頃生ハムチーズキャビア寿司なんて食べててすみませんでした。
クラブ事情に明るい知人が「日本人でBerghain弾かれるのはいっそレア」みたいなことを言っていました。状況説明を試みた結果、おそらく恰好がフォーマルに過ぎたのが原因だったのでは、という見立てでした。権威がありそうに見えるとか。実際どんな恰好していたのかは存じないけれど、次は是非ともクラフトワークみたいな恰好でお願いします。それはそれでコスプレっぽくなっても弾かれる気がする。

さて、そんな浮かれた素敵な話の一方で。
この一週間足らずの間に、僕の世界は大きく様変わりしてしまった。
先週の水曜日では当たり前だと思っていた事柄が、僕に知らされていなかっただけでその実態は既に僕が知るそれとは全く異なるものとなっていて、この前の日曜日にそれが明らかとされてしまって、僕は脳みそがとても忙しくなってしまった。

原因は主に二つある。
もったいぶっておいてなんだが、うちひとつはあまり詳しく話せない。何故なら重大なコンプライアンス案件だから。コンプラのコンプラ揚げコンプラ包みコンプラを添えて、といったあんばいなので。加えて現在もなお進行中で、虚実と保身と自尊心がごちゃごちゃな状況になっている。働くって大変ですね。

もうひとつはまあまあ話しても大丈夫な案件になる。
ざっくりと言えば、今住んでいる家を取り壊すことになったので来年の賃貸契約は更新されないことになり、次の7月までには引っ越しをしなくてはならなくなった。
とはいえ引っ越し先としての候補地は既にある、というか同じ大家さんが管理しているほとんど同じところにある部屋を、今回の話を僕に伝えるまでキープしてくれていたそうなので、来年まで待たずとも希望さえ通せば今年中には引っ越せる。なおそっちは取り壊す予定は今のところなく、また引っ越し代金にしても大家さん持ちとなる。おまけに取り壊しを予定しているから、旧部屋から新部屋へ持っていきたいものがあったら持っていっても構わないとも言われた。エアコンとか。それも無論素敵なんだけど、可能であるなら今の部屋に使われている引き戸を持っていきたい。昭和の型板ガラスが使われているもので、多分ここを逃したら当分、あるいは一生生活を共にすることはない。

「銀河」

無論、引っ越す先はそちらでなくてはならない道理は当然なく、どこかよそを探して引っ越したって当然構わない。多分その場合も引っ越し代は担保される。ただ、大家さんが管理している部屋にするならば多方面での支援が確約されているようなものになるし、部屋探しの負担もなく、大家さんとの相性を祈る必要もない。おまけに家賃も下げられないか検討するとのこと。至れり尽くせりである。

と、まぁ。そうは言ったところで。
お仕事とお家のことについてのひっくり返しが一日で起きたのがこの前の日曜日だった。午前にお仕事の方で連絡があり呆然としていたところへ、午後に大家さんの来訪でとどめである。ちょっと何も手が付かなかった。
今の仕事は、仕事そのものはわりと気に入っている。自分に適性があると思うからこそ選んだ職種であるし、紆余曲折あったけれどここでしばらくは頑張るか、といった気持ちを持って入社した会社でもある。家についても、今住んでいる部屋はこれまで住んだところの中でも随一で、古い木造家屋ゆえの不便も多々ある中で、ここならしばらく住んでいけそうだ、と思っていた家だった。その両者がいっぺんに一変した。
極端な話、これを機にまたどこか遠くへ行くことも、一瞬頭をよぎった。そういう妄想がにわかに現実味を帯びるような一日だった。ちょうど前日にとある知人が「(今の仕事を放り投げて)沖縄へ行ってサトウキビ畑耕して生きていきたい」といった妄言を吐いていたことが、それに拍車をかけたと言える。前日は「何をバカなことを」と笑っていたのに、翌日には「おれもいくか」とほざくようになっちまうとは。

あいにくと、今の自分が抱えているものや自分を抱えてもらっているものの全てを蔑ろにするには少し勿体ない。それはとても有難いことに。だから今しばらくは大揺れが続くのだろうけれど、休み休み騙しながら、それでもなお今を生活し続けようと思う。

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