Berghainに着ていく服が無い
投稿が遅くなり申し訳ないです。この2週間、某独国を一周するというツアーイベントに(ありがたいことにタダで)参加していました。ほぼ毎日ギチギチのスケジュールだったもので、筆を執る余力もなかった所存。
沢山の街を訪れることができていい経験ではあったけれど、ツアーの特性上スケジュール通りに行かなかったり、全く興味のない場所で苦行を余儀なくされてしまう場面も多かった。「遊びに行ける友達」と「旅行に行ける友達」の差、そういったものも痛感した、ぶっちゃけ。そういった状況もあってなのか、ベルリンでの丸一日の自由時間は、この旅のハイライトとなった。
ベルリン。東京のようなビル群もなく、夜景は哀れなほどお粗末。本当に首都か疑うような、フラットでだだっ広い街。ただしこの街を侮ってはいけない。見た目がどうであろうと、本質はやはり大都市である。
ベルリンで晴れて自由の身になり、真っ先に向かったのは日本食レストラン。某独国で美味しい日本食レストランを探すのは苦労する。たまに日本人街に赴きお寿司を食べるのだが、べらぼうに高い。握り12カンと巻き6コのセットとかで30-35€はする。1皿2カン100円の寿司なんて幻である。しかし私には寿司が必要だった。むしゃくしゃむしゃむしゃせざるを得ない状況だった。とりあえず比較的レビューのいい日本食レストランに入店する。さて、大都市様のお手並み拝見。日本食レストランに入る時はいつも監査員気取りになってしまう。店内の装飾はシンプルで、「俺の考えた最強のAsian Restaurant」みたいな、春節のデコレーションの横に富嶽三十六景が飾ってあるような暴挙はない。すでに酢飯の匂いが充満していて気分がいい。ふうん、まあいいんじゃないの?席に案内されてメニューを開く。はいはい寿司セット21€ね…
え、安くね?
ていうか、オクラ納豆とろろ丼もあるの?サバ味噌も?ライスにはゆかりがついてくるの?絶対“理解ってる”人が裏にいるじゃんコレ。迷わずに寿司セットを注文し、程なくしてきたのがコレ。
味ですか?泣くほど美味かったです。私はひしひしと感じました、国際都市ベルリンの底力を。この街何でも持ってる。その後行ったカフェでアイスコーヒーを頼んだら、アイスクリームの入った甘いコーヒー(ドイツ定義)じゃなくて、氷の入ったアメリカーノが出てきた。住みたい。好き。しかし寿司やアイスコーヒーがベルリン旅のハイライトになるほど、美食の国に生まれし者としてのプライドは失墜していない。
ハイライトはその夜にあった。ベルリンといえば、その独特に発展したナイトライフも有名である。特にテクノ音楽の聖地的な歴史の深いクラブが多く、中でも全てのテクノラバーは“Berghain”へ向かうといっても過言ではないと思う。
BerghainをBerghainたらしめている要素は何か?このクラブ、入れないのである。厳密にいうと入れる、しかし入場が至極困難。混んでいるから?違う。門で睨みをきかせているバウンサーが、列に並ぶ人間の4分の3程を有無を言わさず入場拒否しているのだ。結論から言うと私は入れなかった。しかし理由が全くわからない。服装がその日のコンセプトに合ってなかったのだろうか。CLASSYあたりが「Berghain入店ガチャ1ヶ月着回しコーデ」とかやってくれたら助かるのに。あの謎のコンセプト着回しコーナー、好きです。
その後に行ったTresorというクラブでも、そこそこの人数が門で弾かれていた。しかし幸いそのクラブには入場できた。理由はやはりわからない。中は素晴らしかった。古い建物(発電所?)をそのまま使ったクラブということで雰囲気も抜群、音響も他とは一線を画す迫力だった。トンネルの中で音を出すと反響するよね、あれをそのままクラブに流用した感じ。あとは熱気がすごい。数ヶ月前に大統領に会うために着た黒いドレスが、出る頃にはたっぷり湿気を帯びていた。嘘みたいな人生送ってるな、私。
Berghainに入れなかったのは残念だったけれど、「Berghainに入れなかった」というベルリンならではの経験を出来たのは良かった。結局入れても入れなくてもネタになるのだ。難関大の記念受験みたいだな、これ。
帰宅したら荷物が届いていました。本とボールペン、ありがとうございます。「ワンルームワンダーランド」、いろんな方のお部屋とおはなしを見て楽しませていただきました。最高の三十代は今からちまちま読みます、タイトルが好き。