【エッセイ】あの夏の曾祖父へ
1945年8月6日午前8時15分。
あの日、わたしの曾祖父は広島にいました。
■曾祖父のことわたしの曾祖父は、わたしが生まれる前に亡くなってしまったので、写真でしか見たことがありません。
くりくりした瞳、小さく閉じた口元。
遺影の中の曾祖父は、もうおじいちゃんのはずなのに、少年のような顔立ちをしています。
「おとなしくて、子煩悩な人だった」と祖父母が教えてくれました。
数学を解くのが好きで、入試の問題が新聞に載ったときには喜んで解いていた。
ご飯を食べた後は、必ず「ああ、う