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ORSC応用コースを修了して -システムコーチとしてのまなび-

この度、昨年の11月から受講していた、「組織と関係性のためのシステムコーチング(ORSC)」の応用コースまでを修了しました。

「システムコーチング」とは

システム・コーチングとは、コーチがシステムを構成する個々人が持つあらゆる思いや意見を「システムの声」として尊重し傾聴していくことで、今システムに何がおきているのかが明らかとなり、その結果メンバー同士が「自覚的」かつ「意図的」に良い関係を創り上げていくプロセスを支援すること。(CRR Global Japan)

「組織・関係性」という、なんとも捉えどころのないものに対する好奇心や、当時の自分自身や自組織への課題感から受講を決めたのですが、いまやすっかりORSCに魅了されていて、日常生活はもちろんのこと、ドラマを見ていても、音楽を聞いていても、友人の話を聞いていても、つい「システムを捉えるメガネ」で目の前の出来事を見てしまっています。(「あぁ、いまここで"神話の変化"やれるといいのに・・・!」とかですね。笑) 

この半年間で学んだことや気付きは、整理しきれないほど山のようにあるのですが、いくつか特に自分自身へのインパクトの大きかったものを書き残しておこうと思います。読み手を意識しない、マニアックなものになってしまうかもしれませんが、ご容赦ください。笑

ちなみに、システムコーチングを学ぼうと思った経緯はこちらをご覧ください。

1.『システムは生まれながらにして知性があり、生み出す力と創造性に溢れている』

これは、『RSIの5原則』(※)と呼ばれるもののなかにあるフレーズです。
(※ 出典 CRR Global Japan ORSC®プログラム)

最初は、何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。なんなら、「スピリチュアルだなー」と思っていたくらいなのですが、いざ日々の中でシステム(組織やチーム)に関わっていると、まさにこれを体感することが何度もありました。

例えば、実践課題で何度か実際にリアルな関係性のあるチームやペアにコーチングをさせてもらったのですが、場をセットし、決められたツールの手順に従い、ほんのいくつか問いを投げかけるだけで、目の前のシステムは勝手に動き始めます。

・勝手にクライアント同士で話し始める
・勝手にクライアント同士で発見しだす
・勝手にクライアント同士で共有しはじめる

気張って臨むコーチ(私)が拍子抜けするくらい、何もせずとも"勝手に"目の前のシステムが変容していく様子を目の当たりしました。「あぁ、なんてエネルギーに溢れているんだろう・・・」とこちらが感動してしまうほどです。

「関係性がもともと良かったからでは?」というのもあるかとは思いますが、一方で「今回は、さすがにうまくいかんかもな・・・」というような、冷えた空気感からスタートした場でも、システムは勝手に動き出しました。

あるツールをこの回でも使用したのですが、「なかなかノッてきてはくれないだろうなぁ」と思っていた参加者が、ある時ぶっきらぼうに、自分自身の感じていることと他者とのちがいについて発言した途端、周囲がそれに反応するかのように、「それはおもしろいね!自分は、こうだなぁ〜。一緒にこういうことができるといいのかも!?」というような発言をしてくれて、場がどんどん変化していきました。 

その間、コーチである私は、誰かに話を振ったり、話を整理したりはしていません。ただただ、「乗っかりあいが増えてきましたね」「エネルギーがぐっと高まりましたね」というような、場の感情の反映をしていただけです。

実際に、そういったシステムが"勝手に"動き出す場面に直面し、「あぁ、"システムには知性があり、生み出す力と創造性に溢れている"ってこういうことなんだなぁ」と何度も感じることができました。

その経験から、場が少し硬直しているように見えたり、困難な状況にあるかもしれない、という時でも、この言葉を信じて、システムの前に立ち続けよう、と思えるような勇気と信念を手に入れられたような気がします。

2.人間万事塞翁が馬。次に何が起こるかに好奇心を持ち続ける

こちらも、応用コースの中で出てくるテーマの一つでもあります。
『人間万事塞翁が馬』という故事から『何が良くて、何が悪いのか。一体誰にわかるというのか』という学びを得てコースがスタートしました。 

ORSCを学び始めるまでは、一企業の組織・人事担当者として、目の前の組織の状態や、ひとつひとつの企画の良し悪し、参加者のリアクションに一喜一憂することもありました。 

ただ、組織や関係性というのは、「その瞬間」は盛り上がっても、その後の変化につながらなかったり、結果として期待していなかった方向に行ってしまったり。反対に「その瞬間」は、「なんだか、微妙だったな・・・空気も淀んでたし。何か意味あったんだろうか・・・」と思うような場合でも、あとになって、予期していなかったところで影響を及ぼしていたり、小さな変化が生まれていたりします。

「人生万事塞翁が馬」と同じくらいインパクトの残っている言葉で「2度の変化」(※)という言葉があります。これは、何かしらの関わりや働きかけによって、角度でいうとたった2度、ほんの少しの変化が起きているかもしれない。それが、その後とても大きな変化につながるかもしれない、という意味です。(※ 出典 CRR Global Japan ORSC®プログラム)

つい、コーチのエゴで、一回のセッションでより大きなリアクションや変化を求めてしまいがちです。でも、システムにとっては、その場が良いのか良くないのかは、その時にはわからないけれど、「その先、何が起きるんだろう?」に好奇心を持ち続け、少しずつの変化を重ねていくことが大切。コーチとして、つい成果を求めて焦ってしまいがちな時に、思い返したい言葉です。

(ちなみに、セッション前にはきちんとシステムを観察して、見立てた上で狙いをもってセッションを設計します。が、その結果どうなるかは、システムが知っているし、システムが教えてくれる、というようなスタンスです)

3.「言語」以外の世界にも可能性は広がっている

ORSCで驚いた、そして戸惑ったのは、とにかく体をよく動かすことです。

体を動かしたり、音や画像などで表現したり、普段使い慣れている「言語」以外のチャネルをふんだんに使って、自分自身やシステムに対しての理解を深めたり、味わったり、共有したりしながら新しい情報や可能性を見つけていきます

特に、ビジネスの世界にいると、当たり前のように言語でのやりとりが行われています。「言葉でしか伝え合えない、分かり合えない」と思い込んでしまっていると思うのですが、容易に言葉を扱えてしまうからこそ、気づかずに通り過ぎてしまっていた情報が存在していたり、関係性の中にある壁を乗り越えられずにいてしまったりします。

私も最初は半信半疑だったのですが、自分自身がまずは体で表現し、「いま、そこでなにが起きていますか?」と問われると、いつもよりも深く、自分の中を探索しようとするような感覚がありました。

そのほかにも、

・セッションの終わりに、システムに「わたしたちの国」を表現するジェスチャーを決めてもらうと、ぐっと一体感が増した

・半期の振り返りを「画像一枚で」表現してもらうと、具体的な案件や事象というよりも、より感情や自身の内なる発見などディープな共有がチーム内でできた

などの効果が見られました。はじめは、普段使わない筋肉を使いますし、恥ずかしさや戸惑いもあるので、投げかける方も勇気がいるのですが、そこはまずは「コーチが越える」ことで、促していきます。

これは、気軽に日常の中にも取り入れられるので、「言語以外」も扱って、手に取れる可能性を豊かにしていきたいと思います。

4.コーチとしての感情・姿勢・態度・影響に自覚的になる

コーチとしてシステムの前に立つのですが、当然コーチもシステムの一員になり得てシステムに影響を及ぼしています。なので、コーチは常にシステムでいま何が起きているのか、どこに行きたがっているのかを察知して、その場面で必要な態度(メタスキル※と言います)を自覚的に選び、表現する必要があります。(※ 出典 アーノルド・ミンデル博士 プロセスワーク)

さっぱりわからないですよね。笑

例えば、私は自他ともに認める「ポジティバー」なのですが、とある演習後のクライアント役からのフィードバックで、

『言い出しにくかったことをようやく言えた、吐き出せた、という感情だったのに、コーチ(私)のポジティビティが高すぎて、自分たちの感情とのギャップがあり違和感があった』

『コーチ同士の関係性が良すぎて、自分たちの関係の悪さが際立ってネガティブなことを言い出しづらくなった
(※一定の人数以上に対してコーチングを行う場合は、2人のコーチで「コーリード」という形でシステムにあたります)

というのをいただきました。 くうう、スパイシーだけど、日常でもたまに言われるやつです・・・! 一方で、別の場面では、

『コーチが笑顔で温かく寄り添ってくれていたので、安心して話すことができた

『コーチが目の前で軽々とエッジ(抵抗感)を越えてくれるので、自分も越えられそうだと思えた

というようなフィードバックもありました。 

ポイントは、どちらのシステムに向かう時も、無自覚にいつも同じモード(笑顔・同じような声のトーン・テンション)だったということです。

これは、わたしの場に立つ時の癖なのですが、自分自身が緊張したり、重たい場の空気を感じたりすると、それを防御するためか、必要以上に明るく・軽く・おしゃべりになってしまうことが、どちらの場面でも無意識で出てしまっていたんです。

この態度が、プラスに働くことも、ネガティブに働くこともあると知り、システムの状況や感情に応じて、どんな「メタスキル」を選び、使っていくかには自覚的である必要があることを痛感しましたし、その幅を広げていかないと対応しきれない、ということに気付かされました。

そのためには、自分がどんな状態に対して反応的になってしまうのか、どんなことに対してエッジが立ちやすいのか、その時々で自分はどんな感情を抱いているのか、などへの理解を深めていくことが、もっともっと求められるなぁと感じています。これは、システムコーチングに限らず、対人支援の場にいらっしゃる方には共通しているかもしれませんね。

システムコーチになっていく上で、個人的には「コーチとしてのあり方に自覚的であること」が一番の難関であり、一番のミソである、ように思います。修行あるのみ。

結局、「システムコーチング」とはなんなのか?

正直、まったくまだわかりません。(笑) 
いまはまだ、ようやく入り口に立てたような気持ちです。

ただ、ちょうど応用コースの終わり、宇田川元一先生の『組織が変わる』を読んでいて、「お、これは近いものを感じるぞ」と思った結果、現時点でのイメージは、

システムコーチングとは、
『システムがそのシステムに流れていた物語を紡ぎ直し、変化させていくことに伴走しながら、本来の「ありたい姿」へ変容していくことをサポートすること』

なのではないかなー、と思っています。 

「わたし」にも物語はあり
「あなた」にも物語はある

でも、これらが交わらなければ、「関係性」は成立しません。
(社会構成主義的には、そもそも、"わたし(あなた)の物語"も他者との関係によって生まれている、という話もありますが、ややこしくなるので割愛します)

そこで、対話や関わり合いを通じて、意図的な協働関係を結び直し、「わたしたち」の物語を紡いでいく。どんどんストーリーが展開していき、「問題だ」と思われたいたことが、問題ではなくなっていく。 新たな「問題」は発生していくかもしれないけれど、それはまたその時に「いま、何が起きているのか?」「わたしたちはどんなところにいるのか?」を見つめなおしていきながら、前に少しずつ物語をすすめていき、結果として得たい成果や状況にたどり着いていく

コーチはそんなプロセスに寄り添う存在だと思っています。

修行はまだまだ続く

世の中は、「関係性」で溢れています。組織・チーム・家族・パートナー・地域・国・・・。きっとそれぞれが、「ありたい姿」を意識的にも、無意識的にも持っているはずです。

ただし、関係性システムの中に自分自身もいると、「いまここで何が起きているのか」「わたしたちは何に囚われているのか」「自分以外にどんな声があるのか」については、気付きにくいですし、無意識で見て見ないようにすることも多いはずです。

特に関係性は、感情や痛みを伴います。これを、みつめていく、明らかにしていくって、めっちゃこわいことですよね。大切だからこそ、踏み出しにくい、ということもあると思います。

だけど、まずは

「この人がいてくれるなら、ちょっと勇気を出して声に出してもいいかも」
「この人がいてくれるなら、立ち向かえるかも」
「この人がいてくれるなら、どうにかできるかも」

そんな風に、思ってもらえるようなシステムコーチになりたいなと思います。

そうやって思えるようになったのは、ORSCのコース受講を通じて、肌で感じることができた「プロのシステムコーチ」のみなさんたちのパワフルさと安心感のおかげです。(半端ないメタスキルの使いこなしぶり・・・)

 「あぁ、こんな風になれるのであれば、いま学んでいることに間違いはないな」と思わせてもらいました。

一方で、まだまだ「世界観に触れた」程度で、使いこなしレベルには程遠いので、さらなる実践と修行の旅にでるところです。 (次のステップに行けるかどうかは、もろもろ調整が必要そう・・・)

ですが、きっとこれは終わりのない探求なのだと思います。これだけ、深めたいというテーマが見つかったことに、まずは幸せを感じています。まだまだ、システムとともに前進していくぞ・・・!

最後に

実は、私たちの受講したコースは、フルオンラインでの応用コース1期生だったようです。コロナの影響もあり、急いでGlobalのみなさん含め準備してくださった模様。私たちの見えないところで、たくさんご尽力いただいたことと思います。

コースリードのみなさんはもちろんのこと、アシスタントコーチのみなさん、ITホストのみなさん、コース設計に携わってくださった皆さん、事務局のみなさん、私たちの学びを支えていただき、本当にありがとうございました!! 

そして、ともに学んできた仲間との出会いも、とても勇気付けられるものでした。これからも、学びのシステムとして、彼らとの関係性を育んでいけたらと思います。 これからが、また楽しみ!

そしてそして、半年間学びに没頭させてくれた家族にも多大なる感謝・・・! 

ORSCや運営元のCRR global Japanについてはこちらhttps://crrglobaljapan.com/

関係性についてのお悩み・困りごともお待ちしております!

・もっとチームの関係の質を高めて、「成果の上がる」チームを作りたい
・少し停滞している組織の課題の本質が知りたい
・大切なパートナーとの関係を少し調整したい

などなど、お気軽にご相談ください〜。


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