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人と組織の"わからなさ"を味わい続けて
株式会社MIMIGURIに入社して、11月で1年になります。
MIMIGURIでは、ワークショッププランナー・ファシリテーター・プロジェクトマネージャー・コンサルタントなどなど、さまざまな役割で、主に組織開発や経営伴走などを行っています。
クライアント組織や自組織に関わる中で「なんでこんな不確実性高くどろんこになる仕事をやっているんだろうか…」と思うこともしばしばありますが、その度に「あぁ、これを丸ごと味わいにここにきたんだ」と感じています。
人や組織に関わる仕事は、"わからなさ"だらけで、それをわかろうとすること、どうにか働きかけようとすること、を諦めずにやり続ける仕事だと思っています。
「組織」という存在に出会ってから、その"わからなさ"に魅了されてから、気づいたらここまで来てしまった感じがあるのですが、「なぜ自分はいつも人と人のあわいに立ち、どろんこになって"わからなさの中にある新しい可能性"を見出そうとしているんだろうか…」というのを、MIMIGURIの『冒険的キャリア』記事リレーを機に振り返ってみようと思います。
人も組織も「変わる」んだ!
はじめて「組織っておもしれぇ…!」と思ったのは、大学を休学していたときにフリーターとして、とあるカラオケ店で働いていた時のことです。
働き始めて半年ほどしたときに、突然店長が変わりました。
岡山の店舗であるにも関わらず、東京から新しい店長がやってきて、店はざわつきました。
前の店長とはキャラクターもやり方も全然違う、なんだか妙に馴れ馴れしい…けど、ウザめに絡んでくる割には、仕事と成果には厳しい。
それまでは、「営業をとりあえず回す」くらいの、なんなら惰性で働いていたようなメンバーが多かった中で、「最小コストで最大の成果(売上)を出すためには?」を店長からそれぞれが問われるようになりました。
そんな中、さらに突然、「お前がリーダーをやれ」と店長から任命されました。営業中、店長は店を空けることも多いので、実質店舗運営は任される形です。自分よりも先輩メンバーもたくさん在籍している中で、やれるのだろうか・・・という不安もある中、とりあえずやってみることにしました。
しかし、店で働くメンバーはめちゃくちゃ多様です。フリーター、主婦、大学生、勤続10年近い人もいれば、直近入社の人もいる。フルタイムで働く人もいれば、週1の人もいる。接客の得意なメンバーもいれば、キッチンにこもって黙々と料理出しをしたい人もいる。飲食業や娯楽業の店舗では「あるある」なのかもしれません。
『この何もかも全然違う人たちと一緒に、どうしたら"最大の成果"を取りにいけるのか?』
これが、最初に持った「組織やチーム」に対する問いかもしれません。
その後は、店長と協力しながら、わからないながらも、あれこれメンバーとの関係構築や技術向上などに取り組み、その年の年末には10年以上の店舗史上最高益を出すことができました。
『ほとんど同じメンバーなのに、同じ店舗なのに、何が組織を変えたのか?』
何が起きたのか、自分でもわかりませんでした。
でもその「わからなさ」から「もっと、人と組織について知りたい・・・!」という思いが募り、中退する気満々だった大学に戻って経営学を学び直しました。15年以上経った今でも、当時の「不思議体験」は鮮明に自分の中に残っています。
いや、やっぱ「みんなで一緒に」は難しいぞ
そこから無事大学を卒業し、自動車メーカーの人事・人材紹介系スタートアップを経て、不動産系ベンチャー企業に入社しました。
入社したタイミングは、創業3年目。従業員数は20名ほど。主幹事業に加えて新規事業がいくつか立てられていた時期でした。当時の私は、その新規事業の立ち上げメンバーとして入社し、「オフィス空間づくりのプランナー」として未経験領域にチャレンジしていました。
「対話」「ワークショップ」ってなんだ
プランナー時代は、ただオフィス空間という「働く環境」を企画・設計するだけでなく、その企画プロセスに、"使い手"である従業員の皆さんを巻き込んでいくことによって、「組織文化」にもアプローチしていく、ということをやっていました。そのアプローチ手法の一つとして、「ワークショップ」というものを用いて、メンバーの景色を対話によって重ねながら、文化醸成を試みていました。
また、当時働いていた会社自体も、事業と従業員数がぐんと伸び、組織文化を問い直すタイミングに来ていて、新たなバリューの策定と理解・浸透が必要な時でした。そこで、クライアントに提供しているものと同様に、自社内でワークショップを開催し、対話の機会づくりを行なっていました。
「対話」や「ワークショップ」というものに魅了されていったのはこの頃からです。一つ一つの場において、参加者にとっても私自身にとっても、発見や学びがあり、その場から「小さな一歩」が歩み出されることに、いちファシリテーターとして面白さと喜びを感じていました。
ワークショップを企画する際には、依頼者・参加者双方に対する解像度を高め、
『この場への参加を通じて、他者とともにどんな未来に向かえると良いのか?』
『未来に向けた前進を全員で生み出すために、この場はどんな場であると良いのか?』
みたいなことを、考えていたように思います。
ただ、どれだけ見立てて設計しても、人と人が交わると「想定外」が生まれるのもまた面白く、「その場から生まれる何か」に遭遇することに味を占めていきました。
「関係性」てむずかしい…
そんな場づくりを社内外でやりながら、気がつくと、自分自身のライフステージの変化もあり、クライアントワークはほとんど手放して、自社内の組織づくりにコミットするようになっていました。
ところが、突然の経営危機。毎月の離職ラッシュ。業績的にも大ピンチの中、追い打ちをかけるようにコロナ危機。一時的な休業と事業縮小。
どんどん疲弊するマネジメントメンバー、どんどん不信感が募る現場メンバー…
『"悪者"はどこにもいないのに、みんな"良くしたい"の気持ちはそれぞれにあるのに、どうして「一緒にやる」がうまくいかないんだろう?』
人と組織に関わってきた中で、もっとも痛みのある時期でした。
組織内のあらゆるレイヤーの声を聞き続け、なんとか編み合わせようとするけれどうまくいかない・・・。無力感やもどかしさが募る一方でした。
そこから、「個人が孤独に頑張る」ではなく「みんなで一緒に頑張る」、その営みやプロセスをサポートするには? という発想から、CRR Global認定 「組織と関係性のためのシステムコーチング」(ORSC)に出会い、学び、資格取得までに至りました。
「関係性」だけが全てではありませんが、「関係性」はあらゆることへの影響が大きい。だけど、とても捉えづらい。当事者であるほどに見えなくなっていく… そんな時に、個々の願いをみんなで受け取り合いながら、少し自分たちを客観的に見て、「私たちらしい前進」を作っていくためには?というようなことを学びながら、社内外で実践を重ねていきました。
さらなる"わからなさ"を求めて
そして、最大のピンチを超え、一息つく頃には、次のチャレンジの場を求めていることに気がつきました。
実は、「対話」や「ワークショップ」について学びはじめた時も、組織文化や関係性を新たに構築し直そうとしていたときも、近くにMIMIGURIがいてくれました。
👇当時何度も読んだり見たりしていたもの
もっと「人や組織に関する探究を深めたい!」と思い、新しいフィールドを探していた時、
①多様な仲間と共に、さまざまな組織の生々しさに触れながら探究できる
②自分自身が当事者として「対話」を中心においた組織づくりができる
上記のような理由から、「MIMIGURIしかない!」と思い至り、門を叩きました。(いちユーザーから、いちクライアントになり、ついに中の人へ!)
ほぼ1年過ごしてみて
まさに入社前に求めていたことを、日々経験させてもらえているような気がしています。
①多様な仲間と共に、さまざまな組織の生々しさに触れながら探究できる
クライアントワークにおいては、主に組織開発や経営伴走を行っていますが、お客様の規模や業種、お困りごと・プロジェクトスコープなども様々です。それに対して、キャリアのバックグラウンドもケイパビリティも志向性も異なるメンバーと共にプロジェクトチームを立ち上げ、一緒にクライアントについて向き合い、見立て、動いています。
向き合っている問いの例としては・・・
・経営危機において、「理念」はいかに機能するのか?
・「ワンマン経営」から「チーム経営」への移行において、何は継承して何は棄却するべきなのか? そもそも「経営」とは何か?
・ナラティブの力を組織変革に生かすには?
・「新しい事業やコト」が生み出される土壌づくりにおいて、まず必要な「一歩目」とは?
どれもすぐに答えの出るものばかりではなく、お客様と長い時間をご一緒しながら、時には感情的な「揺らぎ」「痛み」のようなものも開き合い、分かち合いながら、まさに生々しい組織と人の変容を共にしています。
いわゆる「コンサルティング」というサービス業にはなりますが、「最短距離で答えを出し先導する」という立場ではなく、ファシリテーションによって「わからなさ」を紐解きながら、共に学び、前進していく立場としてお客様に関われることに、とても面白さを感じています。
「あ、今この人たちの目の前の現実が変わったな!」と感じられる瞬間は、何にも代え難い胸の熱くなる瞬間です。
②自分自身が当事者として「対話」を中心においた組織づくりができる
また、クライアントワークと並行して、7月から7名ほどのチームのマネジメントも担うことになりました。
MIMIGURIには、一つのチームに、主に事業を担う「事業(ユニット)リード」と、主に人材・チーム開発を担う「コミュニティリード」という役割があり、2人体制でチームマネジメントを行っています。私は、後者の「コミュニティリード」を現在担っています。
これが実は一番カロリー消費量の高い仕事です。笑
MIMIGURIは新しい経営モデル『Creative Cultivation Model』というものを提唱し、あらゆる場面でこれを参照しながら事業・組織運営を行っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1727336449-SrsyCTdOulWNobVa5E2XA1cJ.png?width=1200)
この「CCM」を体現する組織づくりを行おうとすると、ガチで個人の衝動や探究と向き合い、ガチで集団として対話を重ね知を巡らせ、ガチで社会に届けられる価値を磨き続けていくことになります。
これが、なかなか難しい…!いや、めっっちゃくちゃ難しい!!!
要素要素が満たされるだけでなく、各要素を行ったり来たり、整合させたりすることが必要になるのですが、どこかで「詰まり」が発生したり、分断が起きてしまうこともしばしばあります。
そんな中、ここのところ向き合っている問いはこんな感じです。
・私たち(チーム)は、社会・顧客・社内に対して、どのようなまなざしを持ち、どのような問いを投げかけ、ファシリテーションによって何を実現していきたいのか?
・「このユニットコミュニティー(チーム)に所属している」ということを、どのようにお互いが意味づけられると、「一緒にいることの良さ」が発揮されるのか?
・自分たちらしい、「他者協働」や「共同体」のあり方とは?
・自分と他者の「大事にしたいものを大事にしあう」とはどういうことか?
・対話対話言うけど、私たち「対話」できてる?
私の所属するチームには、社会的な文化や歴史、構造などに精通しているメンバーや、年間900冊もの書籍(あらゆるジャンル)に目を通しているメンバー、遊びと批評性を兼ね備えたファシリテーションの熟達者や、課題探索・定義の得意なメンバーなどが所属しているので、チームミーティングの場はいつも、答えのないテーマに対して、あらゆる方向から問いが投げかけられ、みんなで声を重ねながらそれぞれに気づきを持ち帰っています。
この営みを、いかに『個人の気づきや探究』に留めず、『私たちの探究』としていくかに、目下チャレンジしているところです。
また、目の前の他者やチームと向き合うことは、自分自身とも向き合うことだと痛感しています。
・他者が見ている景色の中の「自分」とは?
・今起きている状況は、何がそうさせているのか? 自分自身の無自覚な振る舞いや言動などが、どのような現実を引き起こしているのか?
・難しさやうまくいかなさにぶつかった時、自分自身を支えてくれる「わたしの良さ」や「大切にしたいもの」とは?
「そんなつもりじゃ全然ないのに・・・」みたいなことが起こりうるのが「他者と関わる」ということの常。その際に、自分自身と、他者と、「私たち」をどのように捉え、学びに変え、次の「現実」を生み出して行くのか?
そんなことに、日々いろいろな場面で汗をかきながら挑んでいます。
やればやるほどわからないけど、気長にいこう
入社前に期待していた通りの、いやそれをはるかに上回る(笑)、わからなさだらけの日々です。綺麗なプロセスを描いても、「本当にそれでいいのかなぁ…」というちょっと待った!が入るかもしれませんし、ご機嫌だと思っていたメンバーがある日突然、雨の中にいる、というようなこともあるかもしれません。
その度に、「あぁ、そうだよなぁ。そういうこともあるよなぁ。」と丸ごと受け取るようにしています。目の前にいる人たちとの、生々しい泥臭い関わり合い。その先の「新たな可能性」を信じて働きかけ続けること。それが自分にとっては、『豊かに生きる』ということにつながっているような気がしています。
そしてそれは、途方もないことなのですが、ありがたいことに、MIMIGURIという会社は『気長な経営』を掲げており、その「途方もなさ」を面白がってくれているような気がしています。
私はこれからも、そんな環境で、「いやー、わからんなぁ…」とブツクサ言いながら、「でも、わかりたい。可能性を諦めない。」と唱えながら、誰よりも「どろんこあそび」を楽しんでいきたいと思っています。