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知恵するからだ《一生モンの知恵の輪》

45年以上前のこと。 夕暮れ時、下町の商店街でふと、足が止まった。 文庫本を手に読みふけっている若者の前にパラパラと知恵の輪。 「これ、売り物ですか? 」学生然とした若者が、あいまいにうなずく。 一つ求めてアパートへ帰った。 文庫本と知恵の輪、妙に絵になって、こころに残っている。

知識は本を読めば身につく。 学校でも教えてくれる。 知ると知らないとでは大違い、だから知識も必要。 でもそれは知恵になって初めてダイナミックに世渡りする。 知識のままではなんかうすっぺらくてひけらかすのも恥ずかしい。

知識が知恵に変わる瞬間は、「こういうことだったのか! 」と、腑に落ちる瞬間。 (腑とは五臓六腑、内臓のことだよ)アタマで分かったつもりを、からだで納得することなんだ。 それも、 手持ちで勝負せず、未知の自分で勝負する。 過ぎ去った体験は結構都合よく、後付根拠にしやすいもの。 そんなものはさっさと手放して、今の自分、これからの自分で向き合って初めて知恵は手に入る。 「火事場の馬鹿力」だって危機の時、瞬時に湧き出る知恵なのだ。 そう、考える前に動いている。

なんと言っても、からだは知恵の宝庫。
例えば食べる。 あれを食べよう、これを食べようと口に入れても、のどもと過ぎれば我関せず。 大事なのはそれが栄養となって生きるエネルギーになることなのに。
例えば呼吸する。 息を吸って吐いてと、 少しばかりコントロールしてお終い。大事なのは体の隅々の細胞まできちんと酸素が届けられることなのに。
例えば歩く。 万歩計で一万歩歩いて満足してお終い?大事なのは歩いて心臓の鼓動が、内臓のリズムが、腰の動きが調うことなのに。
さて、大事なことは?  「知らざあ言って聞かせやしょう!」
知らないところで采配振るう からだのなせる業の見事さ。
 「知恵するからだ」どころか、もっともっとほめたたえたい!

自分で自分のからだをほめたたえる方法は?
 病になって初めてからだのことを考えるんじゃなく、普段から、からだとうまく付き合う。 「知恵するからだ」はそんな賢者の道なんだ!(笑)

一生モンの知恵の輪がここにある。 ほどけるたんびに手に入るのは「賢者の石」 人にとって最高の「賢者の石」は黄金? 否、からだに秘められた神秘だと、真夏の夜の夢でなく本気で思っている。
「知恵するからだ=賢者の石をみつけよう! 」
                          
 次回は「快食 快眠 快便」です。

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