毎月自分に合ったワインが届くLA発のサービス「winc」から考えるサブスク成功のポイントとは?
ワインを飲むのは大好きだけれど、ワインについての知識は全くない私。
お店でワインリストを渡されるとワタワタして、シャルドネやピノノワールなどのメジャーな品種を頼むか、同伴者がいる場合は「任せた!」と言って逃げてしまうくらいのワイン初心者。
「ワインが分かる女になりたい!」
そんな風に思っていた矢先、良いサービスを発見した。
ワインを学びたい!と思っている初心者にピッタリなサービスとは?
それは、毎月自分に合ったワインがセットになって送られてくる「winc」というサービス。
元々オンラインでワインを販売するサービス「club W」を展開していた会社だったが、売上が伸び悩んだためリブランディングを行い、毎月ユーザーに合ったワインを送る「winc」としてサービスをリスタートした。
同様のサービスは他にも複数存在するが、「ワイン醸造者と直接契約することで、質の良いワインをリーズナブルな価格で提供できる」という点を強みに、業績を伸ばしているサービスである。
ワイン初心者に優しいサービスwinc
HPにアクセスすると、何十種類ものワインがズラリと掲載されている。
この中から好きなワインを選べと言われても厳しい…そんな風に躊躇してしまうワイン初心者さんも安心!
wincは初回オーダー時に簡単なクイズに答えることで、自分にピッタリのワインをレコメンドしてくれるのだ。
「柑橘類は好きか?」「新しい味に挑戦したいと思う方か?」など全5問のクイズに回答し、最後にオーダーする赤ワインと白ワインの本数を指定したら、クイズの回答結果から、ユーザーが好きそうなワイン4本をセレクトしてくれる。
それぞれのワインには、テイストやユーザーからの評価などが細かく記載されており、レコメンドされたワインがタイプでなかった場合、他のものに変更することもできる。
これならば新しい品種のワインにも躊躇なくチャレンジできる。
オーダーしたワインが、自分の好きなテイストかだったか否かのデータを入力していくで、レコメンドの精度を更に上げることができる。
(ちなみにこのアルゴリズムを組んだのは、MIT卒のエンジニア2人とのこと。安心して任せられる気がする…!)
初めてチャレンジする品種のワイン。味はいかに…?
申し込みボタンを押してから3日後。自宅にワインボックスが届いた。どどーん!
ワイン4本をスーパーで購入して家に持って帰るのはなかなかの労力なので、送料無料(4本注文すれば送料無料)で家まで届けてくれるというのは、それだけでも有難いサービスである。
さらに「ワインAtoZ」などワインに関する情報が分かりやすく記載されたマガジンも同封されていた。雑誌のデザインもワインのパッケージもとても可愛く、部屋のインテリアになりそう。
ちなみに今回オーダーした「テンプラリーニョ(名前がツボ!)」という品種は初めてトライしたものだが、とても好きなテイストで、あっという間に空けてしまった。
このようにして「ワインが分かる女になる」ための第一歩をエンジョイしたのだった。
最近人気のサブスクリプション
wincのように、毎月一定の料金を支払うことでサービスを受けられるビジネスモデルを「サブスクリプション」と言い、「サブスク」と略され最近よく耳にする。
一旦契約してもらえれば、毎月お金が支払われるこのビジネスモデルは、高収益化と業務効率化を同時に実現できるとあって、多くの企業が注目しているサービスだ。
人気のサブスクサービス。最近の課題は「いかにして継続させるか?」
サブスクサービスを実施している企業は、アメリカのみならず日本でも増加している。しかし、最近は解約率の高さが課題になってきている。
例えば、アメリカで話題のランチのサブスク「MealPal(ミールパル)」
毎月会費を支払うことで、指定レストランのランチをお得な価格で一定数食べることができる。(30日間で12食までランチのオーダーが可能。1食あたりのランチは$6.39)
サラダやサンドイッチなどの軽食でも1食10ドルを超えるNYやボストンなどの都心部では、このお得なサービスは人気だったが、最近私の周りにサービスを解約する友人が増えている。理由を聞いたところ、「前日までに予約が必要なので面倒くさい」「利用できる店の種類が少ないので飽きてきた」などが挙げられた。
2~3か月なら「お得!楽しい!」と思ってサービスを利用してもらえるだろう。しかし、重要なのはその後どのようにして継続して使用してもらうか?ということである。
継続して利用してもらえるサブスクサービスを構築するために大切な3つのこと。
長期間継続して利用してもらう、食関連のサブスクサービスをつくるには、以下の3つが重要だと私は考える。
①付加価値が付けられる商品を選ぶべし!
サブスクサービスを体験したことのない私が今回wincに申し込んだ理由は「色々な種類のワインを飲んでみたいが、自分では選べない」という悩みを抱えていたからである。
「自分が好きなテイストのワインは?」「この料理に合うワインは?」このような疑問を抱いており、アドバイスを求める商品だったからこそ、私は今回このサービスに申し込んだ。
wincのHPには「チョコレートとのペアリングにピッタリのワイン」などの情報も掲載されており、ワイン初心者の私にとっては有難い。
ワインやチーズのように「1人では選べないから専門家のアドバイスを聞きたい」というニーズのある商品がサブスクに向いており、「ずっと寄り添ってアドバイスをして欲しい」と思う商品だから継続率も高まるのではないだろうか。
今「スナックミー」というヘルシーなおやつのサブスクが日本で話題になっているが、これも「おやつをヘルシーなものにしたいが、何を食べて良いか分からない」という悩みに答えてくれるサービスだから人気になっているのではないだろうか。
これが単に「おやつのサブスク」であったならば、ここまでヒットはしなかったと思う。単なるおやつであれば、他人のアドバイスよりも自分の好きなものを好きな時に購入したいから。
継続してサービスを利用してもらうためには、「コンサルテーション」という付加価値をつけられる商品を選択することが先ずは重要だと考える。
②飽きさせない仕組みをつくるべし!
ランチのサブスク「ミールパル」の解約理由でも「種類が少ないので飽きる」という意見があったが、サブスクサービスを実施する上で最も大事なことは「顧客を飽きさせないこと」である。
wincは常時約70種類のワインが用意されていることに加え、シーズンごとに新しいワインも追加されている。
さらにスゴイのは、夏になると「Summer WaterSocieté」と呼ばれるプログラムが開始されること。今アメリカではロゼが大人気なのだが、このプログラムに加入した会員には、会員限定のロゼが5~8月にかけて毎月送られてくるのである。
これだけレパートリーがあれば、しばらく飽きることはないだろう。
③商品そのものではなく「商品がある生活」を訴求すべし!
wincを利用して実感したのが、wincは「ワイン」ではなく「ワインがある生活」を届けているということ。
wincのHPにはブログがあり、そこには「ワインと共に楽しい週末を過ごす方法」「ワインにインスパイヤ―された可愛いお部屋」というオシャレな写真満載の記事や、あるいは「今月オススメしたいワインと本の組み合わせ」という記事の中で本が販売されていたりする。
また、ワインに合う料理のレシピなんかも掲載されており、ワインが届くまでの間、レシピを見ながら「届いたらどの料理を作ろうかな?」と楽しむことができる。
つまり、wincはワインを利用してどのように毎日を楽しむか?を教えてくれているのである。
ワインだけを購入するのであれば、酒屋に行けばいい。酒屋に行けばバラエティの富んだワインがあるだろう。でも酒屋に行っても、ここまで丁寧に、「ワインを用いていかに日々の生活を楽しむか」までは教えてくれない。
商品そのものではなく、「商品がある生活」を訴求することで、「その商品があることで楽しい生活が送れる」と感じてもらい、サービスのファンになってもらうことができるのである。
サブスクサービスを実施するにあたって重要なことを、美味しいワインを飲みながら考えることができたから、私はしばらくwincのサービスを継続するつもりである。
果たして本当にワインが分かる女になれるのか?!は、Twitterで観察してみてください。笑
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