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『Dr.STONE』THE STAGE ~SCIENCE WORLD~ ナメてたドクタローがメチャクチャすごかった件について!
『Dr.STONE』THE STAGE ~SCIENCE WORLD~の配信レポというか感想です。
気に入った部分を好き勝手に書いているだけですよ。
コロナで東京公演が中止になり、作品の応援の意味を込めて『Dr.STONE』THE STAGE ~SCIENCE WORLD~の配信買いました!
最初は買う予定はなかったんですよ。
理由としては
子供っぽいものは好きではない。
どうせ2.5を見るなら生がいいし、配信だと面白味にかける。
原作のタイムマシンオチに全然納得していない。
ドクタローが好きではない。
というのがありました。特にドクタロー。私、こういうキャラが好きじゃないんですよ(ウソップとかも好きではない)
しかも石世界とは違う存在感と服装で、『タイムマシンで大好きな千空に会いに来た!』とかだったら最悪だなと現場はもちろん、配信も見る気はなかったんですね。
でもネットを見るかぎり絶賛の嵐で、ドクタローの評判もいい。
それだけもならまあ見るつもりもなかったんですが、今回のコロナ陽性者による突然の東京公演中止。
神戸公演も危ういという状況になり(神戸も無くなりましたね…)、じゃあ微力ながら配信を買って応援しようかなと思い、配信終了前日というギリギリさで購入したんですが……超当たりでした!
すげー面白かったです!『Dr.STONE』THE STAGE ~SCIENCE WORLD~!!
懸念していた子供向けさ(科学実験ショー)も幼稚とかではなく、大人も子供も楽しめるわかりやすさで、遠くの座席に座る子にも実験の様子が見えるようにカメラで手元を映しながら実験をする姿に好感。
ストーリーも原作基準で、舞台オリジナルキャラ・ドクタローによる世界観崩壊もなく、原作の話を楽しみたい・シリアスな推しの役者の演技を楽しみたいという層にも満足いく出来だったんじゃないんでしょうか。
いやほんと、この舞台の脚本、情報の取捨選択がうまい。
ドクタロー
本編に登場人物として関わってくるわけではない舞台オリジナルのキャラクター。シリアスな場面でキャラの側にいても不思議と不快ではない不思議な存在感を放つ。
舞台の役割としては狂言回しですね。ドクステのナレーションと、漫画では千空が行っていた科学実験の説明を千空に代わってわかりやすく客に見せるメタ的立場。ちょっと活弁士みたいだなと思った。
それくらいわかりやすく物語の世界観や千空が作るクラフトを説明し、なおかつピエロ的な愉快さで常に客席にいるお客さんを楽しませるエンターテイナー。内またでキュッキュ音を立てながら躍り出てくるところがコミカルで楽しい。
彼がいなかったら千空役の木津つばささんの負担はかなりのものになっていただろうし(常にでずっぱりで化学実験やら科学的なセリフを大量に覚えなければならない)、科学ショーをお手伝いする可愛いスイカや杠達の姿も見れなかった。客席にいる子供もトリッキーなドクタローパートがなかったら、途中で飽きてただろうな。
私が想定していた以上に重要な役割でした、ドクタロー。ナメていてごめんな。
そりゃスイカ役の子役や、観に行った子供が『ドクタロー大好き!』となるのもわかる。
個人的にキャストの中で一番の演技力とパフォーマンスがあるなと思った(演劇に詳しいわけではないのでわからんが)
当たり前だが、空間における身体の使い方が上手い。ピエロ役としていつも場を盛り上げ、なおかつメインキャラたちの出番や見せ場を邪魔しない。
声も張りがあり、どの動きもコミカルにキビキビしている。歌唱力も抜群。さすがプロだなと思った。
だからドクタローがどんなふざけた表情や行動をしていても不快感がないく、一旦歌い始めるとその抜群の歌唱力で物語全体がちゃんと引き締まる。
2.5は若手俳優が多くその未熟さも魅力の一つだが、やはり正直『うーん』と思うときが多々あります。
でもドクタローやサイエンスボーイズ&ガールズの方々のような、実力のある演者がわきを固めてくれると、作品自体がしっかりとするんですね。
ミュージカル部分に金を払った欲がちゃんと満たされるというか。
ドクタローとサイエンスボーイズ&ガールズの歌唱部分が気持ちよくて、そこの部分を何度も聞いていました。
まさかここまでドクタローが屋台骨だったとは誰も思わないじゃん!?
物語の内容
内容としては原作一話から杠・獅子王復活→司との決別→石神村でのコハクたちの出会い→ルリの薬作り計画→鉄作り→猫じゃらしラーメン→鉄と磁石で石世界初の科学の灯を作り、夜をねじ伏せるまでですね。
原作25話分。
舞台の話のオチ的にはゲンが科学王国に入るかどうかも未定のままだし、ルリの薬完成や司帝国との決着もない。
けっこう話はサクサク進みますが、RTA感はなかったですね。押さえるべきところは押さえ、省略できるところは省略する。オチも中途半端感はない。
ドクストで大事な『科学って面白い!』で綺麗に〆られていると思う。
この作品の脚本、本当に情報の取捨選択が上手い。
2.5としては短い90分の間に、原作25話分を違和感なく凝縮している。間にオリジナルの科学ショーも入れているので、なおすごい。
百夜さんこそでないものの、サンタ(百夜からの贈られた化学道具一式)からのプレゼントや、子役のチビ千空によるロケット発射など、ファンが外してほしくないポイントはしっかりやってくれる。
もちろん、黒色火薬による杠の不意をついた攻撃(暴力が優位な世界では杠みたいな少女は弱いが、黒色火薬という科学で平等に戦えるようになる)や、千空が石世界で独りで目覚めて大樹と出会うまでの話がカットされているのは残念だったりするんですけどね。
でも当初懸念していた、突然タイムマシンでドクタローがやってきて、石世界の千空たちとワイワイなにかやるという話じゃなくてよかった。
次回作があるかどうかはわかりませんが、次の作品では科学ショー抜きのシリアスな2.5としてもやっていけそうな終わり方だったと思います。
でもドクタロー部分があまりにも良すぎるので、もはやドクステには不可欠な感じもする。最初は彼が嫌で配信すら買う気がなかったのにね。
あとドクステは2.5にはありがちなクィアベイティングな演出や、差別的な表現(例えば原作千空ちゃんのメス発言が無くなってる)がなくてよかったですね。
子供も観ることも意識してからか、そういうのがないので助かりました…。
途中でドクタローのケツが割れるが、子供はそういうのが好きだしまあ許容範囲。
美術
石化した人間をウレタンのフレキシブルマネキンを使うとは思わなかった!
灰色の軽いマネキンにキャラの服装を服装を着せて、石化を解く場面になると暗転して役者と入れ替える。
軽いから大樹が石化したままの杠を持ち運べるシーンも再現できるし、他の石化した現代人も表現できる。
基本的なセットは櫓と、あとは科学ショーで使う実験器具。
舞台の後ろのスクリーンではジャングルや科学的な効果を投影して場面転換ほか、実験ショーの説明や手元をカメラで映して細かいやりとりを実況したりする。
特に手元をハンディカメラで映す手法は、遠くの席に座る人にもしっかり見えてありがたいなと思った。
千空
何度もトライ&エラーする姿や、大樹と杠の再会を黙って見守る場面(ここ本当に好き)、石世界で初めて電気を開発する場面などで何度も泣きそうになりました……。
高校生の子供が…こんな原始の世界で親友が来るまでたった一人きりで…友達と再会してからも試行錯誤の日々で……!!チビ千空のロケット開発を見守る木津千空とかね……。ずるいですよ、あの演出と優しい演技は……!!
千空の夢と好奇心を大切にしたサンタ(百夜さん)が化学道具一式を贈り、そしてまた大樹と杠がその夢に協力してくれたから、今の千空ちゃんがいる。過去と現在がしっかりと繋がっていていて、親子愛や幼馴染との絆、それらに囲まれて育った千空ちゃんがロケット作りに挑むチビ千空を大肯定感を持って見守るという構図が舞台ならではで本当に感動的。
ぜひとも第二弾、第三弾では百夜さんの話をやってほしい。そして天文台の話も絶対にやってくれ…!!
感動するシリアスな場面も多かったんですが、ドクストらしくコミカルな場面も多かったですね。
千空ちゃんの虚勢ではないイキリ具合や、金狼の槍を作るときの「ハィィィィィィィ!!」はテンション高くて笑っちゃった。
あんなテンション高い必要ある!?木津さん、顔も美形だし、力強く科学と人類の希望を歌っているときは、本当に千空ちゃんは人類の希望だなと思うのに、コハクからの『めっぽう好きになってしまった!』には凄い顔をするし、製鉄所のマンパワーではコミカルなダンスを見せてくれる。
もっと木津さんに千空ちゃんを演じて欲しいし、その活躍を見てみたいですね。
石世界でエジソンに追いついた千空ちゃんの光、本当に人類の希望の光だった……。
杠
元アイドルはミュージカル女優として大成する聞いたことがあるんですが、そのとおり舞台上のパフォーマンスが魅力的で、凄く綺麗な歌声をしている方でした!
千空・大樹・杠で歌うと、三人の中で杠の歌声が特に綺麗に響いてくる。歌のお姉さん的な。
声が清らかでいいんですよ。でもちゃんと意思の強さも感じる声。
ヒロインらしい清純さと、司に破壊された石像の欠片を集め、夜な夜な繋ぎ合わせていた、鋼の意思を持つ女でもある杠の声にぴったりだと思った。
あと大樹とのロマンスもよかったですねー!!化石から目覚めてのお姫様だっこ!
大樹との再会し、大樹の目を見つめながら感謝の言葉を伝える場面では正直泣きましたね。だって…このときの為に千空と大樹は一年間頑張ってきて…!!大樹は3700年も杠を思っていて…!!(号泣)
箱根へ行くときの行進振り付けや、火薬作りのダンスも可愛かったですね!
やっぱりアイドルはステージ上のパフォーマンスが抜群に上手い。明るい可愛らしさが無茶苦茶魅力的で、見ているだけ・聴いているだけで元気が出る。
磁石編の科学ショーのアシストするときの笑顔も可愛かったなー!あと一瞬で科学王国の旗を作り上げた仕草も跳ねるように可憐で可愛かった…(私、さっきから可愛いしか言ってないな)
いやでも舞台の杠の一番の魅力は、声が儚くても、そこにはちゃんと芯の強さを感じるところ。
髪を切られ、喉元に刃物を突き付けられても司の脅しには屈しない。
倒された千空を救うために起死回生の可能性を必死に考え、ネバーギブアップと力強く歌う。とにかく好き。
今回、大樹・杠・千空たちの友情に泣かされっぱなしだ。
ゲン
正直このゲンは私は合わなかったですね。(キャラ的には最推し)
少し色気がありすぎる。もっとシャキシャキ喋ってほしかった。
でも原作的にはこれが正解なんだと思います。特に前髪が長いころの初期ゲン。
原作者先生はゲンのことを『楽して楽しく暮らしたい』『人の心を思う通りに動かすためにマジックをはじめた』『学生の頃、心理実験をして学校を二分させた』と言っていたので、この舞台のゲンはそういう原作者先生が考えるキャラ造形の意図をしっかり再現しているとも言える。
最近の『ドイヒー!』とかのリアクション芸や、千空の行動を裏から支える(村人や復活者への説明、SAIと龍水のわだかまり解消のために裏で動くなど)糟糠の妻みたいなゲンのイメージで舞台を見ると、私みたいに戸惑う人もいるかもしれない。
でもまあこれから続編でキャラ造形や演出がどう変わっていくかわからないし、妖しい色気のまま、メンタリスト兼千空ちゃんの相棒・あさぎりゲンを魅力的に魅せてくれるかもしれない。
そういう変化を見たいという意味でも、ドクステ続編絶対希望。
天文台での話とか絶対に見たいですねー。(続編ではあの心理本表紙の衣装を着たゲンをグッズとして売ってほしい。この役者さんだったら無茶苦茶似合うし、絶対に欲しい!)
あと足がなっっっっっがい!!
ダンスで足を上げたとき、あまりにも細すぎてコンテンポラリーのダンサーかと思った。
配信で見るだけでこの細さと色気なので、生で見た人はもっと驚いただろう。
そういう意味でも現場で見たかったなーと思います。
解釈違いも多いが、それでも千空と背中合わせで座るところや、上からのぞき込むゲンの姿は蠱惑的ですげー萌えました……翻弄されたい……
コハク
経歴を見たら少女歌劇レヴュースタァライトに出演経験ありで、ああだから殺陣も様になっていたし、あれだけ多くのアクションをこなしても息が上がらないんだなと感動しました!
コハクの再現性も素晴らしく、卑怯にも女子を人質に取り、人を襲った司が許せず、一人で飛び込んでいく原作コハクの正義感や凛々しさを見事に体現していてメチャクチャ好きになりましたね。(あとサイエンスガールズが掲げる『視力11』には笑った。私はああいう笑いに弱い)
この場面ですごいのは、まさしく原作そのままの!(本当にそのままの!)見事な跳躍蹴り上げ!
サイエンスボーイズに体を持ち上げられながらそのまま回転して司を蹴り上げるんですが、いやもう『体幹!!』と息を飲みました。バレエかアイスダンスのリフトみたい。途中で静止もしてくれる。
サイエンスボーイズも凄いが、永利優妃さんも凄い。止まっていてもあの漫画的なアクション姿勢を決して崩さない。
ここ、円盤が出たらぜひ見てみて欲しいなあ。体の重い民としてはすごいとしかいいようがない。
ドクステとコハクというキャラクター性を出すために、あそこまで大きなアクションをしてくれた優妃さんとサイエンスボーイズの方、演出の人に感謝ですよ。めちゃめちゃテンションあがりました!!(あと水の民を演出するために後ろで水の飾りが流れる演出好きです)
そしてルリ姉のことを歌うときは一転、優しさがあふれている歌声が好きですね。かけがえのない姉妹愛を感じる。
のちに出てくるスイカを見つめる目が優しい所も好き。スイカのリアクションに何度も愛おしく反応してくれる所も好きでした。
サイエンスボーイズ&ガールズ
OPから派手なバク転で登場してくるので、この時点で大好きになってしまった!(体が重い人間なので、身体能力を思う存分生かした華やかなパフォーマンスをしてくれる人が好き)
科学ショーでアシストしてくれる人、とは聞いていたが、まさかここまでのアクションをしてくれるとは思わなかった。ブレイクダンスかっこいい!よく跳ねる!!
よく『子供向けこそ手を抜くな。子供は本物を見抜く』とは聞きますが、現場で見た子供の観客は、楽しい音楽と共に現れたサイエンスボーイズとガールズのダンスで一気にドクステの世界に引き込まれただろうなあ。ちょっとした動作でも目まぐるしく表情やポーズが変わって見ていて豊かだし、これは子供が飽きない。
私も最初はこんなパフォーマンスが見れるとは思っていなくて、新鮮な驚きがありました。原作のキャラ人気だけに頼っていない舞台っていいね。
あと当たり前だが、歌が本当に上手い。男女で歌の調和が取れている。綺麗。ミュージカルにちゃんと金を払っている満足感がある…。
私が改めていうことではないが、本当に多種多様な名アシストっぷりをサイエンスボーイズとガールズの皆さんが見せてくれるので、円盤や再配信があった際は注目してみてください。細かい発見があってありがたさが増す。
個人的に好きだったのは、科学ショーで手伝ってくれるスイカに優しくしている場面と、コハクの『視力11.0』のプラカードを持たサイエンスガールズの人がコハクと一緒に怒っている人の場面。
なんか印象に残っていて好きなんですよ。
大好きなED
ドクステの終わりを『大事なのはここにいる奴らが科学にそそられたかどうかだ!』で〆るところ大好きですね。
原作でも舞台でも、そこが一番大事。
そしてその千空の言葉通り、この舞台を見た誰もが『科学ってすごい!!』と思ってくれた。
個人的にすごくいいと思ったのが、このEDで使われている科学ショー的なアイテム(風船に羽をつけて飛行機のように飛ばせるものや煙を使った空気砲)が自宅でも簡単に再現できること。
炭酸カルシウムの実験は子供のいる家庭では危なくて再現が難しくても、空気砲や風船ロケットなら簡単に家で作れる。
この舞台で化学にそそられた子供が『あれ作りたい!仕組みが知りたい!』と言ってくれたら、この舞台は真の意味で大成功じゃないですか。そこがいいなあと。
あと単純にみんなが楽しそうで良かった!
ドクストキャラたちが楽しそうに風船飛ばしたり、客席に向けて空気砲を撃ったりして、ドクストキャラファンも大満足のEDだったんじゃないんでしょうか!あんなファンサービス受けてみたい!!
本当にいい舞台でした。演者も観客も、全員科学とDr.stoneの世界観を楽しんでいる。
ぜひとも円盤化、そして第二弾希望!!
老若男女、たくさんの人に見てほしい!!